黒い森の恵みとともに共生する、ドイツ生まれのアンネマリー ボーリンドの美の哲学

ドイツ、といえば美容や食物の分野におけるオーガニック先進国として世界を牽引するリーダー的存在。昨今のクリーンビューティムーブメントに乗って各国から様々なビューティブランドが登場する中、1959年に創業した歴史あるブランド「アンネマリー ボーリンド」が、現在世界のオーガニック・ビューティ・シーンで大きな注目を集めている。ブランド設立当初から「食べられない化粧品は作らない」という確固たるポリシーを掲げ、世界のセレブを始めとする美のプロたちが絶大な信頼を寄せるその製品は、長きにわたり世界中を魅了し続けている。そこで今回は、ドイツ生まれの「アンネマリー ボーリンド」の環境や社会への取り組みと、持続可能な製品開発の背景について日本総代理店・永石郁絵氏にお話を伺った。

「食べられない化粧品はつくらない」

——昨今のクリーンビューティムーブメントの中でも「アンネマリー　ボーリンド」は、オーガニック先進国・ドイツ生まれのコスメとして、デビュー以来多くのファンを獲得しています。まずはブランドについて教えてください。

創業者のアンネマリー・リンドナーは、思春期の頃からにニキビだらけの肌に悩まされており、皮膚科に定期的に通っていたものの、どれも効果がなく、肌が改善する兆しが見えませんでした。そして1946年の秋、彼女は夫とともにドイツのバート・エルスターに泥治療を受けに行き、そこで自然派化粧品の施術を受けました。そして、帰宅してからもそこで勧められた製品を使ってホームケアを続けたところ、非常に効果があったことに感動した彼女は「化粧品職人」への道を進む事を決意しました。

その後1955年に、彼女は夫とともに「アンネマリー・リンドナー・クラウター・プラパラート」を設立。「Stay young, prevent old age（若さを保ち、老いを防ぐ）」というスローガンのもと、初のハーブクリーム、マスク、フェイシャルトニックを発売しました。

しかし、当時のドイツの生活は決して楽なものではなかったことから、夫婦そろって他国に移住しましたが、1959年にドイツのシュバルツバルト（黒い森）にアンネマリー ボーリンド社を設立しました。

アンネマリー・リンドナーは2016年2月18日、休暇で旅行中に95歳で他界しましたが、生前は持ち前の決断力、勤勉さ、そして優れた起業家精神をもって、“ナチュラルビューティー”を市場に定着させ、世界的な成功へと導きました。現在は彼女の息子のマイケル・リンドナーと孫のニコラスが経営に携わっています。

——化粧品と環境という視点からブランド独自でどのような取り組みをしていますか？

私たちは、手つかずの大自然と澄んだ空気に包まれたブラックフォレストを大切にしており、その精神は「Made in Black Forest」という特別なマークに込められています。自然にも人にも優しく、効果的な化粧品を作り続けることは、持続可能で責任ある行動が伴います。近年、持続可能性と資源保護は、政治の場のみならず多くの消費者が注目するテーマでもあります。アンネマリー ボーリンド社にとっても非常に重要なものであることから、その証として製品は全てCSE認証を取得しています。

CSE認証は、ビジネス応用倫理学会（GfaW）から与えられるもので、同会は製品認証の基準を設定し、企業のサスティナビリティ認証のパイオニアでもあります。また、CSE規格で認定された認証・検査機関は、ISO 17065に基づいて活動しています。

CSE認証取得にあたり、同会はまた製品に対してだけではなく、会社のすべての活動が持続可能な3つの基準「エコロジー、エコノミー、社会的責任」のもとに企業活動が継続されているかどうか常に監視しています。使用されている原材料はもちろん、廃水や廃棄物の処理方法から、労働条件、雇用機会に至るまで、会社のすべての活動領域が監査対象です。そしてこの監査は、自社の活動分野にとどまらず、サプライヤーのサステナビリティに関する取り組みも同様です。このため、アンネマリー ボーリンド社のサプライヤーは、サステナビリティをサポートするための対策について定期的に検査を受け、その対策を最適化するように促されます。CSE認証の監査は年度毎に実施され、アンネマリー ボーリンド社は2012年から認証を受け続けていますが、CSEのサステナビリティシールを取得したヨーロッパの企業はわずか10社のみです。アンネマリー ボーリンド にとっての「化粧品」とは、成分に注意を払うだけではなく、会社全体とその社会生態学的な部分も含めた包括的なものなのです。

——成分的に環境に配慮している点は何でしょうか？

アンネマリー ボーリンドの製品の大きな特徴は、石油由来成分や合成されたグリコール等を含まないことです。また、プラスチックは化粧品に使われることもある素材ですが、これに関してもアンネマリー ボーリンドの製品には、固体・液体を問わずマイクロプラスチックは一切含まれておらず、このことは「Look for the zero - zero plastic inside（ゼロを目指す。プラスチック素材使用をゼロにする）」と製品に記載しています。また、合成シリコーンやクロルヒドロキシアルミニウム不使用 、クロルヒドロキシアルミニウムや水溶性アルミニウム塩も一切使用していません。

また、乳化剤として使用されるポリエチレングリコールや、そのPEG誘導体も石油由来成分ですのでこちらも一切使用していません。アンネマリー ボーリンドは持続可能なライフスタイルを確立するため、天然資源の責任ある利用と世界の自然保護に取り組んでいます。そのため、製品はすべて100％植物由来の成分のみを採用しています。

——化粧品を開発する上での挑戦はどんなことでしょうか？

従来の化粧品に比べて使用できる原材料が限られていることから、自然派化粧品の開発は非常に困難です。ですが、私たちには先進の研究で開発した技術があります。製品の開発には約9〜12ヶ月かかることがあり、複雑な研究プロジェクトや新技術の場合はそのプロセスに4年ほどかかることもあります。

——化粧品のブラントとしては御社唯一のユニークな取り組みはありますか？

1974年に発売されたシステムケアシリーズ「LL REGENERATION」には、アンネマリー ボーリンドの研究所で特別に開発・テストを実施し、2016年に特許を取得した「LLバイオコンプレックス*」を配合しています。

*トウキンセンカ花エキス、セイヨウオトギリソウエキス、カミツレ花エキス、ハイビスカス花エキス、ハマメリス葉エキス、セージ葉エキス、ビサボロール（すべて整肌成分）

また、自然派化粧品メーカーの中で本来肌に存在するセラミドと近い成分を製品に使用したのは、アンネマリー ボーリンドが初めてです。そして1997年、新たな乳化技術を開発し、この画期的なセラミドを配合した最初の自然派化粧品「ナチュパーフェクト」を発売しました。

„Was ich nicht essen kann, gebe ich nicht auf meine Haut.“ – 「食べられない化粧品はつくらない」、というアンネマリー・リンドナーの設立当初からの理念は、今も変わることなく継承されています。

スポーツやヨガを実践するオールジェンダーに向けてお勧めしたいアイテム

「オールジェンダー、オールエイジ、そして肌質を問わず、肌悩み別で使用できる２層式美容液は、アンネマリー ボーリンドの世界的ヒットアイテムです。上層はブレンドオイル、下層は植物エキス配合の美容液で、乳化剤を使用していません」。溶け込むように肌に馴染んで、みずみずしい潤いともっちり感をもたらすオイルイン美容液は、ベラ セラム（敏感肌用）、アルゲ セラム（乾燥肌用）、ブロッサム ケア セラム（エイジングケア用**）、シシリアン ブーケ セラム（くすみ肌用）の肌悩み別4種類。フェイシャルのみならずヘアやボディにも応用できる、マルチタスキングなアイテムだ。

**年齢に応じたケアのこと

くすみ、毛穴汚れ、皮脂や古い角質等を除去しながら肌を整え、透明感のある毛穴レスな肌へと導く2in1タイプのマスク。リンゴ酸*¹と乳酸*²が古い角質をピーリングしながら、コメ粉由来のスクラブ*¹物が物理的に毛穴汚れや古い角質をやさしくオフ。さらに、ドイツ産の火山灰がそれらの汚れを吸着し、スッキリ除去してくれる。同時配合の整肌成分・ライラックエキスが細やかなキメと、透明感をもたらしてくれるから、今日からデイリールーティンに取り入れたい。

*¹整肌成分*²整肌成分*³コメ粉（角質除去成分）*⁴ベントナイト（吸着成分）