1986年から地球と素肌の"美"を見つめ続ける「ダーマロジカ」変わらぬ哲学
美しくなることは、地球に優しいこと——これからの時代に必要なのはそんなポリシーだ。日々目まぐるしく変化する環境や世界情勢の中で、ビューティーに対するこれまでの価値観が大きく揺さぶられている現在。独自の美を創造することにいち早く乗り出した先駆者たちに聞く、ビューティービジネスと環境への取り組みとは。
クリーンビューティムーブメント発祥国であるアメリカ。そのアメリカ・LAで、1986年に誕生した「ダーマロジカ」は、時代の先を行く感性で、創業以来世界のビューティシーンを牽引してきた元祖的ブランドだ。ジェンダーフリーのスマートなパッケージ、肌の健康をとことん追求した成分構成、そして素肌に健康美をもたらす確かな実力で、世界のセレブが絶大な信頼を寄せるブランドとしても知られている。創業者のジェーンが、イギリスからアメリカに渡り、“本物の美しさ”の追求の末にたどり着いた彼女の哲学の集大成でもある「ダーマロジカ」。そこでその魅力と様々な取り組みについて、PRの穐田菜花氏にお話を伺った。
一切の無駄や害を排除し、価格も手間も原料妥協することなく作られたプロダクト
——肌への安全性に着目していたダーマロジカは、昨今の消費者の環境保護意識の高まりも相まって、世界中で多くのファンを獲得しています。ブランド誕生の背景について教えてください。
ダーマロジカは1986年にアメリカ・LAで誕生したスキンケアブランドです。プロフェッショナル・スキンセラピストの資格を持つイギリス出身の創業者のジェーン・ワーワンドは、アメリカに渡った当時、スキン&ボディセラピーの教育がヨーロッパよりも遅れていることに気づきました。そこで、彼女はより高度なスキンセラピーの教育を行うため、1983年に「インターナショナル・ダーマル・インスティテュート(IDI:国際皮膚研究所)」を開設し、多くのスキンセラピストを育てあげてきました。
IDIで教鞭をとるうち、彼女は本当の美しさとは「肌の健康」を追求すること、という自らの信念に沿うスキンケアラインが存在しないことにも気づきました。そこで、自分が育て上げたスキンセラピスト達が自信をもって扱うことのできる、厳選原料のみで構成された確かなスキンケア製品を作りたいという強い想いから「ダーマロジカ」は誕生しました。
そして、肌に不必要なもの、ヘルシーではないもの、そして少しでも有害なものはすべて排除するというコンセプトのもと、現在に至るまで製品の開発を行ってきました。ダーマロジカは、美しさのみならず「健やかさ」を高めるブランドとして、一人ひとりの素肌に向き合っています。
——ブランドとして成分的に肌と環境のために取り組んでいることはありますか?
少しでも有害なものは排除し、価格や手間も惜しまず、厳選した原料で「効果」を実感できるフォーミュラを研究・開発し、製品に取り入れています。また、一部、ヴィーガンフレンドリーなアイテムもありますが、ほとんどの製品は地球の環境にも配慮したヴィーガン製品です。ダーマロジカは、可能なかぎり自然由来の成分を配合し、皆様に安全に安心してお使いいただくため、次のような取り組みを展開しています:
・変性アルコール不使用 変性アルコールの現時点での安全面の問題はないと考えられています。ですが、炎症等で肌のバリア機能が低下している場合は、まれに発赤やかゆみ等の原因となることがあるため、一切使用していません。
・動物実験非実施 残酷な動物実験以外の方法で製品の安全性を証明するための開発に取り組んでいます。
・コンタミネーションフリーパッケージ 雑菌の侵入を防ぎ、酸素に触れさせることなく最後まで製品を使用できるよう、安全で使いやすい形状を採用しています。
・ナノテクノロジー不使用 安全面の保障が確証されていないため、代替技術による製品開発に力を注いでいます。
・パラベンフリー、グルテンフリー
・ヴィーガンフレンドリー:一部の製品(スキン パーフェクト プライマー SPF30、 アクティブ モイスト、AO ハイドラミスト)を除き、動物由来の成分を使用していません。
また、以下成分は使用していません:
鉱物油、コメドジェニック原料(※全ての方にコメドが発生しないという意味ではありません)、人工香料、マイカや二酸化チタンなどにタール色素を配合して作られたカラーティント・D&C着色料、ラノリン、ホルムアルデヒト、ヒドロキノン(ハイドロキノン)。
——化粧品と環境という視点からブランド独自でどのような取り組みをしていますか?
ダーマロジカは、健やかな肌と地球の健康は等しく重要だととらえています。理由は、私達の毎日の生活と日々の1つ1つの選択こそが地球の環境の保全に直接つながっているからです。化粧品業界は、長い間、プラスチックやリサイクル不可能な素材に依存してきました。そこでダーマロジカは、「Healthy Skin, Healthy Planet」をスローガンに掲げ業界の一端を担うブランドとして、環境への影響を強く意識し、サステナブルな取り組みにコミットしています。
1番人気のアイテム「デイリーマイクロフォリエント」はレフィルの販売を行っておりますが、それ以外にも2025年までに以下の目標の達成に向けて、グローバルな取り組みを実施しています:
・原材料の90%を持続可能な方法で調達。
・チューブ、ボトル、ボックスの100%を、再利用、リサイクル、コンポストできるよう設計。
・パッケージのプラスチックの大半を、リサイクルまたは植物由来の素材に代替。
・主に二酸化炭素排出量を監視・管理するサプライヤーとビジネスを展開。
・フタル酸不使用 プラスチックを柔らかくするための可塑剤であるフタル酸は使用していません。
・マイクロプラスチック不使用 海の生態系に悪影響を及ぼすと言われているため採用していません。
・FSC認証取得の紙素材の使用
ダーマロジカの紙箱は森林管理協議会(FSC)、または持続可能な森林管理イニシアティブ(SFI)によって認証された製紙工場からのみ調達しています。さらに、包装資材の回収と再生利用を促進するヨーロッパのグリーンドット制度を支持しています。
製品は全て米国、カリフォルニア州にて製造 ダーマロジカの商品は全てInternational Dermal Instituteにて研究開発され、アメリカ・カリフォルニア州にて製造されています。カリフォルニア州は、環境と消費者の安全に関し世界最高レベルの基準を設定しており、ブランドの品質管理部門が直接製造業務を監督し、高品質を保つ生産体制をバックアップしています。
——化粧品を開発する上で、もしくはコンセプトを立ち上げる時点で何か困難なことはありましたか?
創業者のジェーン・ワーワンドは、幼少期より母親から“learn how to do something” (何かをする方法を学ぶ)と教えられてきました。 そしてその教えを活かし、サロン業界でのキャリアを積み上げ、起業家として世界中のビジネスオーナーにインスピレーションを与えてきました。1983年に渡米したジェーンは、当初エステティシャン養成学校の開校資金もなく、生徒獲得のノウハウを伝授してくれる業界の知人もいませんでした。そこで彼女は、カリフォルニア州の美容委員会に連絡して、州内でスキンケア施術ライセンスを持つ人のリストを入手し、全員に自分と自分の学校の紹介状を送りました。そして、無料の1日講習会を開き、スキンケアブランド「ダーマロジカ」の前身「インターナショナル・ダーマル・インスティテュート」を広めていったのです。彼女の努力は、やがて業界屈指のクオリティを誇る教育モデル構築へと結実すると同時に、皮膚の専門家が小規模なビジネスで成功するためのスキルをも身につけられるようにしたのです。
一方で、スキンセラピストや顧客の関心を引くため、製品ラインナップ拡充に着手した彼女は、誰も欲しがらないような製品のチューブを大量に購入しました。そして、限られた予算でOEM担当者にアイデアを伝え、製品化し、それを自分たちで試用テストし、納得いく製品をつくりあげていきました。ダーマロジカでは、製品開発にの際に現場や市場の声を反映することもあり、既存製品の改善にも積極的に取り組んでいます。
——化粧品のブラントとしてオリジナルな環境に対する取り組みはありますか?
今は、一般的になりつつありますが、AIの肌診断「Dermalogica Face Mapping」は、他のブランドに先駆けて取り入れたシステムです。ダーマロジカは、肌コンディション等からスキンセラピストが個々に合った製品やスキンケア方法をご提案します。ですが、このAI肌診断により、自宅でご自身で肌診断を行い、自身の肌状態を把握し、スキンケア方法や必要な製品等の情報を得ることができます。移動を必要としないサービスである事から、車などの二酸化炭素排出の削減にもつながると考えています。
ヨガするオールジェンダーにおすすめのアイテム
「創業者のジェーンにとっても、とても思い入れの深い製品です。コメヌカ成分配合で、肌に優しく作用し、洗い上がりはツルツル。しなやかなシルク肌へと導きます。家族やパートナーの方と一緒にお使いいただけます」(穐田さん)。ブランドのロングセラーアイテムであり、リピーターも絶えないダーマロジカの“切り札”的アイテムだ。
「創業時から販売している、ミスト化粧水「MAトナー」です。スポーツやヨガで汗をかいて水分不足になった肌に、シュッと水分補給を。スプレー式なので、片手で簡単に塗布できます」(穐田さん)。ほのかなラベンダ―の香りが、運動後の心身をリフレッシュし、みずみずしい潤いで素肌に健康的な美しさをもたらすトナー。ポータブルなアイテムだから、ポーチにインしていつでもどこでもリフレッシュ&リラックスを。
AUTHOR
横山正美
ビューティエディター/ライター/翻訳。「流行通信」の美容編集を経てフリーに。外資系化粧品会社の翻訳を手がける傍ら、「VOGUE JAPAN」等でビューティー記事や海外セレブリティの社会問題への取り組みに関するインタビュー記事等を執筆中。
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