未来の世代に、自然豊かで美しい地球を継承するためのフレグランスブランド「クリーン」の取り組み
美しくなることは、地球に優しいこと——これからの時代に必要なのはそんなポリシーだ。日々目まぐるしく変化する環境や世界情勢の中で、ビューティーに対するこれまでの価値観が大きく揺さぶられている現在。独自の美を創造することにいち早く乗り出した先駆者たちに聞く、ビューティービジネスと環境への取り組みとは。
様々なフレグランスが市場にあふれ、ジェンダーフリーな楽しみ方も広がるなど、その可能性がますます広がる香りの世界。そんな中、2003年以来“フレッシュでピュアな石鹸の香り”で世界を魅了してきた「クリーン」は、新たな香りのスタンダードを確立したことでも知られるフレグランスブランドだ。そして、業界でいち早くユーザーの安全ファーストの姿勢を打ち出し、香水ならではの複雑な奥深さ犠牲にすることなく、サステナビリティを常に検証してきた同ブランドは、近年ますます環境に配慮した製造方法に力を入れていることで注目を集めている。未来の世代に、自然豊かで美しい地球を引き継ぐことーーそんなミッションを掲げ、責任を持って調達された持続可能な原材料をはじめとしたハーモニーで独特の世界観を醸し出す「クリーン」。そこで今回は、同ブランドを取り扱うブルーベル・ジャパンPRの小林彩さんに、ブランドの魅力と環境への取り組みについて伺った。
サステナブルかつクリーンなフレグランスを追求して
——「クリーン」は、環境への配慮を意識した数少ないフレグランスブランドとして、昨今多くのファンを獲得しています。まずはブランド 設立の経緯と、哲学について教えてください。
「クリーン」は、それまで市場の存在しなかった“フレッシュでピュアな香水”を作りたい、という想いと、シャワーを浴びたての肌から漂う清潔感あふれる石鹸の香りにインスパイアされて2003年に北米で誕生したフレグランスブランドです。当時の化粧品業界では、現在のように〝サステナブル“や”クリーン ビューティ“という言葉が一般的ではなかった時代。そんな中、「クリーン」が追求したのは、フレグランスをまとった瞬間から肌に残るラストノートまで、心地よさが持続するシンプルで優しい香りだけでなく、地球環境や原料を供給する地域住民への配慮のもと生産する、というブランドの信念でした。そのコンセプトが広く受け入れられ、現在では世界30ヵ国以上で展開するブランドとして成長しています。
——化粧品と環境という視点からブランド独自でどのような取り組みをしていますか? また、その取り組みを始めようと思ったきっかけは何でしょうか?
「クリーン」では、製品づくりにおいて〝OUR PROMISE(私たちの約束)“という3つのミッションを掲げています。
そして、これらのミッションは製品のアウターボックスにもロゴで記載しており、クリーンのサステナブルな取り組みへの真摯な姿勢を表しています。
◎「SIMPLE(シンプル)」:必要不可欠な最小限の原料を使った“シンプル”なフレグランスです。また、環境に配慮した必要最低限のシンプルなパッケージを採用しています。
◎「TRUSTED(信頼性)」:製品を手に取るお客様に安心して香りを楽しんでいただけるよう、人体にとって好ましくない化学物質を配合せず信頼性の高い処方に取り組んでいます。具体的には、フタル酸エステル、グルテン、パラベン、染料不使用、動物の副産物不使用、動物実験を行わないヴィーガン、そしてアルコールはトウモロコシ由来のものを採用しています。肌へ直接スプレーするものだからこそ、使用感と安心感の両立にこだわっています。
◎「CONCIOUS(配慮)」:「クリーン」では、製造過程において2つの取り組みを行っています。一つ目は、フレグランスやパッケージの実際の製造におけるフットプリントの削減。製造エネルギーの80%をソーラーパネルからまかなう環境に配慮した製造会社とパートナーシップを提携して製造を行っています。2つ目は、パッケージから出る廃棄物の量を最小限に止めること。再生可能なFSC認証紙や管理された木材から作られたキャップなど、持続可能な素材や生分解性のある素材を使用する企業と協力し、可能な限りプラスチックの使用や製造を減らしています。
また、「クリーン」のフレグランスコレクションのひとつ「クリーン リザーブ」では、フレグランスに欠かせない香料の調達において、「GIVING BACK(ギヴィングバック)」という考えに基づいて行われています。そして、環境に配慮した製造基準を設定する企業と提携し、責任を持って調達したヴィーガンな原料の採用や、その取引を通じて農家をはじめとした生産者とそのコミュニティに利益還元や支援を行っています。
例えばベチバーですが、こちらは自然災害に晒され、地政学的に不安定な世界最貧国の一つであるハイチから持続可能な生産体制で調達しています。貧困にあえぐこの地域の農家で生産されるベチバーは、大変貴重な素材です。そのため、「クリーン」は同国に対する社会的責任を感じ、2012年に企業と提携して300人の子どもたちが通う小学校を建設しました。同時に、専属の医師がいる移動式医療ユニットなど、重要な社会的プログラムも開始したり、学校とコミュニティに安全な飲料水を提供するプログラムにも資金援助しています。「クリーン」がベチバーを継続的に購入することで、農民を中心としたコミュニティへの教育やヘルスケアサポートを提供しています。
また、バニラもマダガスカル産のサステナブルな原料を使用することで、現地の農村に飲料水の井戸や医療施設を提供するパートナーシップや、森林再生プログラムを支援を実施しています。
——成分的に環境に配慮している点は何でしょうか?
先の質問の回答と重複しますが、自然からのインスピレーションや恩恵を受けているフレグランスづくりにおいて、植物が育つ環境への配慮や、農家からの持続可能な原料と倫理的な収穫方法なしには成り立ちません。そのため、香料の原料を提供する生産農家やコミュニティへの適切な利益還元やその生産に携わる人々が生きるコミュニティ自体をサポートすることこそ、持続可能な社会活動につながると考えています。
——化粧品のブラントとしては「クリーン」だけ、という環境 に対するユニークな取り組みはありますか?
「クリーン リザーブ」コレクションでは、3年前より地球を救うという使命を推進するアースデイネットワーク EARTHDAY.ORG)をサポートしています。中でももっとも注力しているのが、アースデイネットワークとその活動の1つである「Protect Our Species」キャンペーンのスポンサーとして、地球の受粉媒介生物を守ることの重要性を啓蒙する活動です。4年目となる2023年は、ボトルとアウターボックスに受粉媒介生物の一つであるてんとう虫モチーフをあしらった限定デザインのフレグランスを発売。植物や花、そして生態系の健全性を保つために、てんとう虫が果たす重要な役割について製品を通じて広く世界に啓蒙していきます。
ヨガするオールジェンダーにおすすめのアイテム
調香師たちが特別に“リザーブ”した原料を使用し、地球環境と地域社会に配慮したサステイナビリティとフィランソロピーを追求する「クリーン リザーブ」コレクション。「ボトルとパッケージにてんとう虫モチーフをあしらった限定版「クリーン リザーブ スパークリングシュガー」は、思わず笑顔がこぼれるほど晴れやかで甘い香りが特徴。エルサルバドルの農家で栽培される高品質でサステナブルなアンブレットを採用しています。一方、「クリーン」のシグニチャーである「クリーン リザーブ ウォームコットン」は、心を奪うような美しいフローラルコットンの香りで多くのファンを獲得しています。ヨガの前には、「クリーン リザーブ ウォームコットン」の清潔感あふれる柔らかな香りで心身の緊張を解きほぐし、ヨガ後のクールダウンには「クリーン リザーブ スパークリングシュガー」を重ね付けしても」。単体でも、重ねづけしても、様々な形でパーソナライゼーションが楽しめるから、どちらも揃えて気分やコンディションで使い分けて。
「フレグランスよりライトな香りで、空間やファブリックをリフレッシュできるスプレータイプのルームフレグランスです。スポーツやヨガの前に空間にスプレーして、気持ちを切り替えたり、集中力を高めたり、シャバーサナ前にシュッとひとふきして心を落ち着かせたりと、お好みでお楽しみいただけます」(小林さん)。クリーンならではの清潔感溢れるフレッシュな香りのラインナップは3種類。こちらも全部揃えて気分や好みで使い分けたい。
AUTHOR
横山正美
ビューティエディター/ライター/翻訳。「流行通信」の美容編集を経てフリーに。外資系化粧品会社の翻訳を手がける傍ら、「VOGUE JAPAN」等でビューティー記事や海外セレブリティの社会問題への取り組みに関するインタビュー記事等を執筆中。
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