心と体を整える春キャベツと新じゃがの重ね煮:レシピと美味しく食べきるためのアイデア4つ
野菜中心の、健康的な食生活を送りたい。そう思う人は少なくないでしょう。だけど実際は、忙しくて自炊もままならない、あるいは、自炊しようと野菜を買ったのにうまく使い切れずダメにしてしまう...そんな経験をした方も少なくないのでは?今回ご紹介するのは、野菜本来の美味しさを引き出しそのパワーを取り入れられる「重ね煮」という調理法です。決して難しくない、だから続けられる、そんな素敵な調理法を連載形式でご紹介します。
重ね煮とは?
美味しく健康的にたくさん野菜を食べたい!そう思っていても、忙しい現代人には、あれこれとたくさんの料理はなかなか大変。それなら、ひとつの鍋の中でたくさんの野菜を重ねてベースを作り、それを使っていろんな料理を簡単に作ろうという調理法です。
鍋底に軽く塩を降り、順番に野菜を重ねたら上にも軽く塩を降り、無水(焦げるようなら差し水を)、弱火でじっくりと火を入れます。いい香りが立ち、野菜からじゅわっと旨みエキスが出てきたらできあがり。作った重ね煮は、冷蔵庫で5日位保存出来て、使いたいときに使いたい分だけさっとアレンジ。5分で具だくさんの味噌汁も作れちゃいます。時短が出来て栄養バランスもバッチリの優れものです。
今ある野菜でざっくり作っても大丈夫ですが、いくつかのポイントを押さえればより美味しく作れます。
旬の野菜を使う
野菜はできれば、地元の旬のものがベター。
でも、何が旬の野菜かわからなくなることも多いですよね。例えばトマトは夏野菜ですが、今は技術革新により、冬でも生で食べることができます。そうすると、身体を冷やす夏野菜の性質によって体調を崩すようなことも。味もやっぱり、旬のものの方が美味しいですよね。
その季節にできる野菜を食べる事で、自然と身体が整います。
近所の八百屋さんに通って、「今の旬の野菜って何だろう?」と探してみると、季節の移り変わりも感じられて楽しめます。
丸ごと使う
人参や大根、ゴボウなど、皮が食べれる野菜は皮をむかずに丸ごと重ね煮します。栄養や旨味も増しますし、調理時間が早くなります。その為にも、できる範囲で無農薬やオーガニックの野菜を選んでみてください。
野菜の性質を利用する
野菜は、種類によって成長する方向性、性質が違います。
人参のような根菜は、根を下へ下へと降ろし、逆に、トマトのような果菜は、葉を上へ上へと伸ばす。この野菜の性質を利用して、鍋の下に上へ伸びるもの、鍋の上に下に降りていくものを重ねます。そして、鍋の中でじっくりと性質の違う力同士のぶつけ合いを起こします。
上の図のように、相反する力の対流を起こすことによって、野菜からじっくり香りと旨みを引き出せます。
いろんな野菜を重ねる
きのこ、玉ねぎ、人参の3種類くらいで重ねるのがベーシックで始めやすいです。
慣れてきたら、好きな野菜をたくさん重ねてみてください。より栄養価が高まり、とても味わい深い重ね煮ができます。
冷蔵庫の整理にももってこいです。
お手当をする
野菜を重ねたら、火を入れる前に手のひらを野菜に近づけて、「美味しくなーれ」と心の中でつぶやきます。
お母さんが子供の背中にそっと手を添えるように。そうすると、心がひとつ落ち着いて料理を始める事ができます。
料理をしている時の気持ちは、水を通して波紋のように野菜にも伝わります。優しい気持ちで野菜に接すれば、実際に味わいもまろやかに変化しますね。
重ね煮の良いところ
重ね煮を始めると、いろいろと面白い変化が起きます。
身体が変わる
・食物繊維、栄養素たっぷりで免疫力がアップ。
・季節に合った身体に、自然と整ってくる。
・味覚が高まり、繊細な味わいが理解できるようになる。
料理が変わる
・野菜の旨みが使えて、調味料が少なくて済む。
・料理が手早く上手くなり、時短になる。
・和洋中アレンジが簡単にできて、料理が楽しくなる。
意識が変わる
・料理を食べた後の満足感が増える。
・心が落ち着き、穏やかさが広がる。
・自然との繋がりに感謝が生まれる。
などなど、重ね煮は単なる調理法に留まらず、今までの野菜、調理の概念を変え、心身、ライフスタイルをも変化させるツールでもあります。
今月の重ね煮:春キャベツと新じゃが
春の野菜のキーポイントは、『緩みとデトックス』です。
冬にため込んだエネルギーや老廃物を排泄し、硬まった身体を緩めて軽くし、夏に向けて開かれた状態を作る必要があります。
そこで、とても身近で使いやすい食材が、キャベツとじゃがいもです。
今の季節、野菜売り場に行くと、朝取れのキャベツが山積みで並んでいますね。
春のキャベツは、冬のそれと比べて水分量がとても多く、ふんわりと広がっていて、葉が軟らかく甘みも強いです。ビタミンなどの栄養素や酵素による解毒、抗酸化作用も高まっていて、冬にため込んだものをデトックスするのに最適。
新じゃがは、皮が薄くてそのままでも食べやすく、豊富に含まれているカリウムで塩分を排泄、バランスを調整してくれて、むくみにも良いそうです。
世界中で肉料理の付け合わせにジャガイモが多いのは、お肉を食べて高まり過ぎたエネルギーや血圧を、じゃがいもがちょうどよく緩めて調整してくれる性質を持つからだそうです。理にかなっていますね。
この春の重ね煮と、解毒の作用が強い苦みのある菜の花やルッコラ、山菜などを一緒に取ることで、より効果的に春の身体が作れます。自分自身を緩ませることも楽しんでいきたいですね。
春の重ね煮の材料と重ね順
(上から順に)
人参
玉ねぎ
新じゃがいも
春キャベツ
きのこ
※きのこが一番下、その上に春キャベツ→新じゃがいも→玉ねぎ→人参の順になるように重ねていきます。
※作りやすい分量でお作りください。
※保存容器に入れて冷蔵保存してください。
重ね煮を美味しく食べきるためのアイデア
重ね煮はそのまま食べてももちろん美味しいのですが、様々な料理に取り入れることで変化がつき飽きずにいただけます。
味噌汁
・鍋に重ね煮とお水を入れて沸かし、味噌で溶くだけ。ネギなどの薬味や、豆腐、油揚げなどをお好みで。
ぺペロンチーノパスタ
・ニンニクと唐辛子をオイルで温め、重ね煮と茹でたパスタを合わせます。シラスや桜えび、ルッコラなどで味にバリエーションを。
べジコロッケ
・重ね煮を軽く刻んで塩コショウで味付けし、成形したらパン粉をつけて揚げるだけ。
ポテトサラダ
・重ね煮のじゃがいもを軽く潰して、塩こしょう、マヨネーズで仕上げる。菜の花などの苦みのある春野菜、マスタードとも相性が良いです。
重ね煮で「食べる瞑想」にチャレンジしてみよう
どんなに美味しいものを食べていても、テレビや携帯などを観ながらだと、心が今のこの瞬間の感覚から離れてしまい、その喜びが半減してしまいます。
逆に意識を食べることに集中してみると、口の中いっぱいに広がる味や香りにしっかりと気づけて、幸せな気持ちが倍増します。これは、心が食べることそのものに集中して、今この瞬間の感覚にしっかりと引きつけられているからです。
何かに心を集中させて、今起きている事にただありのままに気づくのが瞑想のひとつだとすると、「食べる」という日常の何気ない行為であっても、充分な瞑想となります。
少し静かな環境を作ってゆっくりと食べてみる。
目で形を観て、鼻で匂いをかぎ、口の中の味、食感を楽しむ。
あふれる唾液やのどを通る音、動き出す胃の動きにまで意識を広げてみる。
そうして静かに食べ終わった時、心がひとつ落ち着いて、ほっと満足しているのを感じられるでしょう。
また食べる瞑想は、ゆっくりと食べる事で暴飲、暴食を防ぐ効果もあります。
「今食べている」という認識をしっかり持つことで身体が反応し、消化器官が目覚めて活性化、酵素が分泌されて消化力が上がります。当然、栄養の吸収力も高まりますね。
どんなに栄養価の高いものを食べたとしても、それが適切に消化、吸収されるかどうかは、あなたの意識ひとつで変わってきます。
心身がより健康であるために、「どのように食べるのか?」はとても重要なのです。
一日一日を大切に生きるために
重ね煮は、季節によってどんどん変化していきます。
これから夏になると、ナスやピーマン、とうもろこしなど色鮮やかなものに。秋から冬にかけては、かぼちゃやレンコン、ごぼうなどの滋養豊かなものに。それらの食べ物でできている私達の身体もまた、季節によって移り変わっていく自然そのものです。
自分自身が「大きな流れと繋がっている」という感覚を得ることは、ヨガの練習と何ら変わらないこと。それを食べることで感じられるのは、何よりの日常の幸せですね。
この大変な時代に、変化を恐れずに一日一日を大事に生きていくために、ぜひ重ね煮をトライしてみてください。
ライター/山田直
ヨガ講師・自然食料理人。ヒツジナヨガ主宰。福岡県博多市出身。写真学校卒業後、作家活動をしながら横浜でホテルサービス勤務。東日本大震災を契機に仕事を辞め、ヨガとマクロビオテックを学ぶ。後に、湘南のオーガニックレストランにてキッチンに入り、重ね煮と出会う。その野菜の美味しさ、味わいの違いに深く感動。学びを深める。現在は、東京、横浜、湘南エリアにてヨガ講師の仕事ヨガをメインに活動し、イベント、ワークショップにて、重ね煮やオーガニックの料理を伝えている。全米ヨガアライアンスRYT200認定ヨガ教師/クシマクロビオティックLevel2修了
Instagram: @hituji_nao
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