鳩のポーズの効果とやり方を解説!初心者にもできるバリエーションも
憧れの鳩のポーズへの道を知りたい!見た目も美しいポーズは、どうやってとればいいの?体が柔らかい上級者にしかできないの?いえいえ、そんなことはありません。軽減法をうまく利用して、少しずつ練習をしていきましょう。初心者にもできるバリエーションもご紹介します!
鳩のポーズの由来
ヨガのポーズは動物の名前が付いたものがたくさんあります。鳩のポーズもその一つです。サンスクリット語で「エーカパーダラージャカポタアーサナ」といい、それぞれ意味は「エーカ」が「ひとつ」、「パーダ」が「足」、「ラージャ」は「王様」、「カポタ」は「鳩」。体をそらし胸を広げていく様子が、鳩のように見えるからつけられたものと言われています。
鳩のポーズの効果
鳩のポーズによってもたらされる効果はたくさんあります。座って行うポーズですが、大きく体を動かすことで様々な部位へ影響を及ぼすことができます。
下半身のストレッチによる腰痛改善
前に折りたたんでいる側のおしりの筋肉、後ろに伸ばしている側の鼠径部やももの前側などがストレッチされます。腰痛の原因は様々なことが考えられますが、股関節周辺の筋肉が関わっていることが多々あります。それらの筋肉がこり固まってしまうことで、正しい姿勢が保てずに骨格や筋肉に影響が出て痛みが発生してしまうことも。その場合、関連する股関節周辺の筋肉を鳩のポーズでストレッチすることで、腰痛が改善することができるでしょう。
上半身のストレッチによる肩こり解消
上半身では腹筋群や胸の筋肉、背中側や肩や腕の筋肉までストレッチすることができます。これらの筋肉が十分な柔軟性がないと、正しい姿勢を保てないことにより、肩周辺に違和感や痛みが発生することもあります。また、デスクワークなどで肩周辺の筋肉が十分に動かされないことによる血行不良で肩こりになることも。筋肉がこり固まって引き起こされる肩こりに関しては、それらの筋肉をストレッチすることで改善する可能性があります。また、肩周辺をしっかり動かすことで血行が促進されることも、肩こり解消に役に立つでしょう。
背面の引き締め効果
後屈をしていく鳩のポーズでは、体の前面部の柔軟性はもちろん、背面部の筋力も必要になります。上半身を反らせていくときには背筋群を使いお腹の前側の筋肉を伸ばし、下半身は足を後ろに広げる時に、おしりの筋肉を使います。背面部の背中とおしりの筋肉をしっかりと使うことで、背面部の引き締め効果も期待できるでしょう。ただし、柔軟性がかなり求められるポーズなので、筋肉を使うだけでは負担がかかりすぎてしまいます。腰に負担をかけすぎないように背骨を無理なく動かすためには、腹筋群は完全に力を抜かないようにコントロールしていく必要があります。筋肉を使うところとリラックスさせるところ、それぞれを加減していくのがこのポーズの難しいところでもあり、大切なポイントとなります。
姿勢改善
鳩のポーズは猫背姿勢の改善にも効果的です。上記で述べたように下半身、上半身の様々な筋肉を伸ばすことにより普段縮こまってしまっている筋肉を効果的に伸ばすことができます。体が前かがみになり、背中が丸まっているような猫背姿勢では、体の前側の筋肉が縮こまってしまいがち。後屈の鳩のポーズで、体の前側全体を心地よくストレッチをすることにより、筋肉の本来の柔軟性を取り戻し、正しい姿勢を保つことにも役立つでしょう。
呼吸が深くなる
鳩のポーズで体を後ろに広げていくことは、呼吸を深くすることにも役立ちます。上半身を大きく動かすことにより、体幹部にある肋骨にも動きが出て、肋骨の間にある筋肉もしっかりとストレッチされます。肋間筋と呼ばれるこの筋肉は、実は呼吸にも大きく関わっています。肋間筋が十分な柔軟性がないと、肋骨が広がりにくくなり呼吸をうまくすることができなくなってしまうのです。姿勢が悪かったり、普段ずっと同じような姿勢をしていると、肋間筋が動きにくくなり、呼吸は浅くなってしまいます。鳩のポーズで体を大きく動かし肋間筋が柔軟になることで呼吸の際に動く範囲も広くなり、深い呼吸につながるでしょう。
自分の状態を知ることができる
憧れの鳩のポーズ、やってみたはいいけど、全然できない…ということもあるかもしれません。どこがが辛くなったり、痛みを感じ足りするということは、自分の状態がまだそこまで達していないということ。十分な柔軟性と体のコントロール力が必要なポーズだからこそ、自分の状態を理解する手助けにもなるでしょう。
上級ポーズが取れなくても、軽減法で自分の体の状態に合わせて段階を踏んで練習することで、心地よいストレッチを味わえます。憧れのポーズだからこそ無理やり体を動かしてしまいがちですが、体の状態にそぐわないストレッチはケガにつながります。自分の今の状態をしっかりと理解しながら、完成形にとらわれすぎずに、焦らずじっくり練習することが大切です。
鳩のポーズのやり方
ひとつひとつステップを踏みながら、必ず無理のない範囲で行いましょう。
1.あぐらの姿勢から手を前について右足を後ろに伸ばす
足がまっすぐ後ろに伸びていることを確認しましょう。お尻が浮いてしまう場合は折りたたんだタオルなどをお尻の下に敷きましょう。
2.上半身を地面から起こす
この時に骨盤が横に広がらないよう注意しましょう。骨盤は正面に向けたまま行います。お腹はへこませるように引き入れて腰が反りすぎないように注意。骨盤から体を起こすようなイメージで。
3.後ろの右足の膝を曲げ、横から手で足先をつかむ
手で足をつかみ、胸を広げるポジションへ。腰に違和感があったり、痛みを感じたりする場合はここでストップ。
4.できる人は足先をつかみながら、肘を天井に向け後屈を深める
しっかりと胸を広げられたら、肘を上に引き上げて完成形へ。後屈がしっかりと深まるポーズです。
鳩のポーズの準備ポーズ
鳩のポーズの準備ポーズをご紹介します。鳩のポーズは上半身と下半身ともに、柔軟性が必要なポーズです。ベーシックなポーズの練習で、しっかり体の準備をしましょう。後屈のポーズの後にはチャイルドポーズをカウンターポーズで入れるようにして。違和感がある場合は無理のない範囲で行います。
半分のカエルのポーズ
主にももの前側の筋肉をストレッチできるポーズです。
やり方
1.うつ伏せになり、右足の膝を曲げて右手でつかむ
2.足の甲をおしりに近づけるようにして、ももの前側を伸ばす
3.左手で床を支えながら上半身を起き上がらせる
4.反対側も同様に行う
三日月のポーズ
主に鼠径部の筋肉をストレッチできるポーズです。
やり方
1.よつんばいの状態から右足を一歩手と手の間に大きく踏み出す
2.上半身を起こし両手を骨盤に添え、骨盤を地面から垂直にする
3.できるだけ垂直の骨盤のまま前足方向に踏み込み、鼠径部を伸ばす
4.手を上に伸ばし、さらに胸を広げる
5.反対側も同様に行う
魚のポーズ
胸をしっかりと広げる練習になるポーズです。
やり方
1.仰向けの状態から背中の下に両手を入れる。手のひらを下に向け、親指同士がつくくらいまで中央に寄せる
2.顎を引きながら肘で床を押し、胸を天井方向へ持ち上げる
3.しっかり胸が開いたら、頭を床方向へ下ろす
4.ポーズを開放した後は、カウンターポーズを入れる。両手を後頭部に添え、顎を引き、首の後ろを伸ばす
弓のポーズ
体全体の前面部をたっぷりと伸ばしてみましょう。
やり方
1.うつ伏せの状態から両足の膝を曲げ、両手でそれをつかむ
2.おでこを床につけた状態から、足の甲を後ろにけりだす。それと同時に顎を引きながら上半身を持ち上げる
3.しっかりと胸が広がったら、頭の位置と目線を自然なところへ移す
牛面のポーズ(上半身)
完成形の足先を持つためには、腕をしっかり後ろに伸ばせることが重要です。牛面のポーズの上側の手を意識して練習しましょう。
やり方
1.下半身はやってもやらなくてもよい。やる場合は長座から右足を立て、左足をまたがせる。そこから左足の膝も曲げ、かかとを右のおしりに引き寄せる。足を組まない場合は正座やあぐらで行う。
2.左手を上に上げ、肘を折り曲げ手を背中の方へ下げる。右手でその肘を持ち、下へ下ろすサポートをする
3.右手を下から回し、背中で左手と握手する。手が届かない場合はベルトを持ちサポートする
4.反対側も同様に行う
鳩のポーズのバリエーション
鳩のポーズと一口に言っても、さまざまなバリエーションポーズがあります。その一部をご紹介します。
眠った鳩のポーズ
眠った鳩のポーズは体を持ち上げるのではなく、前に倒してうつ伏せになっていくポーズ。主に前に折りたたんでいる側のおしりの筋肉をストレッチできます。
やり方
1.あぐらの姿勢から両手を前につき、右足を後ろに伸ばす
2.背筋をなるべく伸ばしながら、股関節から体を倒すように上半身を床に近づける
3.呼吸とともに深められそうなら、少しずつ手を前に歩かせながら体を倒す。骨盤は横向きにならないように気を付ける
4.反対側も同様に行う
小鳩のポーズ
小鳩のポーズは体側を伸ばすことができます。左右に体を傾けることで、脇腹を心地よく伸ばしましょう。
やり方
1.正座の姿勢からおしりを右に落とす。骨盤が傾かないように、両方のお尻は床につけたまま
2.両手を後頭部で組み、上体を左に傾け体側を伸ばす
3.体側がしっかり傾く人は、左足のかかとを上に持ち上げ、左ひじにひっかける
4.反対側も同様に行う
初級向けポーズ
初心者は、下半身をしっかりストレッチするところから始めましょう。お尻や鼠径部の筋肉を伸ばして、ポーズの土台を安定させることをめざします。
やり方
1.あぐらの姿勢から手を前について右足を後ろに伸ばす。この時、上半身は前に傾けたままでいいので骨盤に意識を向ける
2.骨盤の面が正面を向くように体を調整する。右足が後ろの場合、右側に骨盤の面が傾きやすい。左のおしりに体重が乗っかりすぎている場合は、骨盤が傾いている可能性あり。骨盤を正面にするとおしりが地面からかなり離れてしまう場合は、折りたたんだタオルなどを隙間に挟むと安定しやすい
3.骨盤の面が正面の状態をキープしながら、骨盤とともに上半身をゆっくり起き上がらせる。骨盤が動かないまま上半身を起こそうとすると、腰が過度に反って痛めてしまうことがあるので注意
4.鼠径部の伸びを感じながら、呼吸を続けてキープ
5.反対側も同様に行う
中級向けポーズ
初級向けポーズに慣れてきたら、ももの前側や胸をさらに広げてみましょう!基本は忘れずに、一つ一つ積み上げて。
やり方
1.上記の初心者向けポーズ同様に進める。あぐらから手をつき右足を後ろに伸ばし、骨盤を正面に
2.そのまま骨盤ごと上半身を起き上がらせる。腰を反りすぎないように、お腹を少しへこませるようにしながら行って
3.後ろの右足の膝を曲げ、右足の先を右手で持つ。体が右側に広がってしまわないように注意する
4.腰を反るのではなく、胸を広げる意識でみぞおちを上に持ち上げる。ポーズが深まれば、足が上半身に近づいてくる
5.反対側も同様に行う
上級向けポーズ
中級者向けポーズで、無理なく足を上半身が近づいてきたら、完成形をめざして。最初はベルトを使いながらやるのもOK!
やり方
1.上記の中級者向けポーズ同様進める。あぐらから手をつき右足を後ろに伸ばし、骨盤を正面に
2.そのまま骨盤ごと上半身を起き上がらせる。腰を反りすぎないように、お腹をへこませるような意識を必ずします
3.後ろの右足の膝を曲げ、ベルトを足先にひっかけてそのベルトを右手で持つ
4.ベルトでサポートしながらしっかり胸を広げてから、肘を上に持っていく
5.ベルトがなくてもできそうならば、足先を持つ
6.反対側も同様に行う
まとめ
鳩のポーズは自分の体の状態に合わせて、軽減法を使いながら練習をするようにしましょう。完成形に急ぎすぎると腰を痛めたり、ケガをしてしまうことがあります。そうなっては練習が続けられなくなってしまい、元も子もありません。ヨガはポーズをマネすることがすべてではありません。その過程で自分の状態を理解し、自分に心地よいところへポーズを導くことが大切です。ひとつひとつ着実に、ベーシックな練習もともに進めながら、鳩のポーズを練習してみてくださいね!
ライター/櫻井麻美
大学在学中に世界一周をし、卒業後は日本各地に住み込みで働く。既存の価値観の中で生き方を考えることに違和感を感じ、自分はどうやって生きるのか?何をして生きるのか?について考えはじめる。20歳の頃にヨガに出会い、ヨガの哲学の部分に触れ、共感。第一子出産後インストラクター資格取得。ヨガを通じて様々な人により心地よい生活を送ってほしいという思いを持ち、ヨガスタジオ、スポーツクラブ、助産院、公民館、児童館、出張ヨガなど様々な場所でレッスンを開催中。講師養成講座も担当している。IHTAヨガインストラクター2級/IHTAヨガインストラクター1級/全米ヨガアライアンスRYT200取得/E-RYT/YACEP®️/IHTAマタニティヨガインストラクター/YOGAed.キッズヨガPI1修了/IHTAベビーマッサージ初級講座修了
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