妊娠前~閉経後…ライフステージごとに変わるホルモンバランスとヨガの役割
青年期:人生を始動させる
体内で何が起きているのか
ホルモンの大きな変化が最初に起きるのが、激動の青年期だ。この時期には、脳内の神経化学回路が確立しつつあり、出産可能な体に変えるエストロゲンとプロゲステロンの分泌量がうねるように変化して、脳と体にもその影響が及ぶ。思春期にみられるこのようなホルモンの変動は、衝動的な行動を引き起こすこともある。脳の辺縁系の一部であり感情と関係のある扁桃体にホルモンという燃料が満ちているためだ。ホルモンがいっせいに変動することによって、エネルギーがみなぎり、気分が揺れ動き、肌に不調が生じるほか、人づきあい、社会的つながり、性的欲望が新たな関心の的となる。女の子はこの時期にはますます敏感になり、他者からの性的関心にどう対処すべきかわかっていないことも多い。
ノースカロライナ州ダーラムにある統合療法を専門とする医療機関(Duke Integrative Medicine)で働くヨガ療法士、キャロル・クルコフによれば、10代の若者が自分の体と折り合いをつけるうえでヨガが役立つという。「ポーズの練習、呼吸法、瞑想が感情のバランスをとるのに役立ちます。心の声を受け止めて、自分の価値と共鳴する選択ができるようになります」
ヨガを始める
医師で『Women's Bodies, Women's Wisdom』の著者であるクリスチャン・ノースラップは、青年期という時期の性質が「懸命な練習」に向かわせると考えている。若者は激しいエネルギーを注ぐ対象として、力強い太陽礼拝のシークエンスやヴィンヤサフローを行っているという。
しかし、先述のヨガ療法士クルコフは、10代が行うヨガは飛んだり跳ねたりするだけであってはいけないと忠告している。クルコフは、若者たちにとってシャヴァーサナ(亡骸のポーズ)でじっとしていることがどれほど難しいかその目で見てきた。クルコフはこのように話している。「彼らはテレビを見ながら携帯でメールを打ち、CDを聴きながらインスタントメッセージを送ってきた世代です。神経が極度に高ぶり、ストレスがたまっています。ただそこにいる、ただ存在するすべを知らないのです」。
まず、動的なシークエンスを行ってエネルギーを解放するところから始めよう。そして、座位のポーズと前屈のポーズで心と体を静めていこう。
実際の体験談
このページのモデル、リンゼイ・ジーン・スミス(撮影当時19歳)が語っているように、呼吸を観察してその瞬間にとどまることができるようになると、集中力が高まり、心を込めて人と交流できるようになり、毎月周期的に訪れる感情の波にうまく乗れるようになる。難しいポーズに取り組めば自尊心が育ち、回復目的のポーズをすれば月経前症候群が緩和される。
リンゼイは高校4年生の時に「忘れられないほど衝撃的な感情のジェットコースター」を体験したが、ヨガによって救われたと打ち明かす。当時リンゼイは、大学出願のストレスによって孤立感を覚えていた。「どうしようもない孤独を感じて、もうめちゃくちゃだった」と当時を回想する。そこでリンゼイは、体育の一環で行われていたヨガのクラスに申し込んだ。「最初のポーズで、体がありがとうって声を上げたんです。体を動かしたら、体も心も柔軟になって、ストレスが溶けてなくなったの」。こう語るリンゼイはインタビュー当時、見事スタンフォード大学の1年生になっていた。
ウールドゥヴァダヌーラーサナ(上向きの弓のポーズ)
効果:自信が高まる。激しく変動する時期に身をゆだねることを学ぶことができる。
やり方
膝を曲げて仰向けになる。耳の近くに手を下ろし、指先を足のほうに向けて大きく開き、肘を天井に向ける。息を吐きながら、尾骨を引き上げてお尻を床から上げる。深い呼吸を3回する。手を押し下げて、肩甲骨を背中に安定させ、頭頂部を上げて床につける。このときもまだ両腕は平行のまま。深い呼吸を3回する。次に両手両足でしっかり床を押し下げて、吐く息で頭を床から引き上げて腕を伸ばし、十分な後屈に入る。尾骨を膝の裏側に向かって伸ばし、太腿の上部をやや内側に回す。肩甲骨を背中に安定させる。3~10回呼吸する間この姿勢を保ったら、ゆっくり体を下ろしていく。
アドームカシュヴァーナーサナ(ダウンドッグ)
効果:盛んに動く心を静めて、思春期によくある感情の揺れを抑える。
やり方
四つん這いになり、膝を股関節の真下に、手を肩の真下に揃える。手の指を広げて、親指と人差し指で強く床を押す。足の指を下向きに回転させ、吐く息で膝を床から引き上げ、尾骨を骨盤から離すように伸ばし、坐骨を天井のほうに引き上げ、脚を伸ばし始める。太腿の最上部を後方に押し、手で床を押しながら、かかとを床に下ろしていく。頭を両腕の間に入れる。肩甲骨を耳から遠ざけて、太腿の上部をやや内側に回転させる。2~5回呼吸する間この姿勢を保つ。ポーズを出るには、膝を曲げて四つん這いに戻り、そのまま後ろに腰を下ろしてバーラーサナ(チャイルドポーズ)に入る。
プランクポーズ+ウディヤナバンダ(腹部の引き上げ)
効果:一生を通じてきわめて重要な役割を果たす強い体幹をつくり上げる。
やり方
ダウンドッグから胴体を前方に出して、頭頂部から足までを一直線にする。両手が肩の真下にあることを確認する。体重を手の指10本に均等にかける。脚を真っすぐ伸ばして、体の中央が沈まないようにする。手で床を強く押し、肩甲骨を下げ、太腿の前面を上に押し上げ、頭頂部からエネルギーが出ていくイメージをもつ。優しく微笑みながら、目線を床に下げてあごの緊張をゆるめる。30秒~2分間この姿勢を保つ。強度を高めるには、ウディヤナバンダ(腹部の引き上げ)を行う。7つ数える間息を深く吸い、4つ数える間呼吸を止めた後、肺が空っぽになるまで息を吐き切る。息を止めて、へそを脊柱のほうに引き、4つ数えたらそっと息を吸う。これをあと2回繰り返す。ポーズを出るには、体を後ろに押してチャイルドポーズに戻る。
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