「タダーサナ」がすべてのアーサナの基本!理学療法士が重視する理想的な「姿勢」とは?

 「タダーサナ」がすべてのアーサナの基本!理学療法士が重視する理想的な「姿勢」とは?
Getty Images
堀川ゆき
堀川ゆき
2019-08-29
広告

これが理想的な「姿勢」です

本来の背骨は、横から見た時に頚椎は前弯、胸椎は後弯、腰椎は前弯、仙骨と尾骨は前弯のS字カーブを描いていることが理想です。それを「生理的弯曲」(せいりてきわんきょく)といいます。背骨と骨盤は身体の「軸」となる部分なので、このアライメントはとても大切です。
次に、3つの運動面を理解しましょう。

「タダーサナ」がすべてのアーサナの基本!理学療法士が重視する理想的な「姿勢」とは?
引用:川島敏生「ぜんぶわかる筋肉・関節の動きとしくみ事典」

・矢状面とは、身体を左右に分けるように横から見た面です。
・前額面とは、身体を前後に分けるように正面から見た面です。
・水平面とは、身体を上下に分けるように上から見た面です

この3つの運動面で姿勢を見ていきましょう。

矢状面・前額面からみた立位姿勢の理想的なアライメントは、以下の通りです。

「タダーサナ」がすべてのアーサナの基本!理学療法士が重視する理想的な「姿勢」とは?
引用:川島敏生「ぜんぶわかる筋肉・関節の動きとしくみ事典」

矢状面からみた時に、耳たぶ・肩の先端・大転子(お尻の中にある骨の突起)・膝関節の前・外くるぶしの前、を重心線が通ります。
前額面からみた時には、後頭部の突起・背骨・お尻の割目・両膝関節の中心・両内くるぶし間の中心、を重心線が通ります。
理想的なアライメントとは、イラストのようにこの5つのポイントが床から垂直に引いた重心線上に一列に並んでいることです。

この姿勢、ヨガで登場しますよね?そうです、「ターダーサナ」(山のポーズ)です。ターダーサナは本来の理想的な姿勢と同じです。ターダーサナはすべてのアーサナの基本であり、アーサナの起点であり終点でもあります。

そして、水平面から見た場合の理想的なアライメントは以下の通りです。

「タダーサナ」がすべてのアーサナの基本!理学療法士が重視する理想的な「姿勢」とは?
川島敏生「ぜんぶわかる筋肉・関節の動きとしくみ事典」/有賀誠司「骨と関節のしくみとはたらき」より編集

肩甲帯:頭上から身体を見下ろした時に、左右の肩甲骨は一直線上ではなく、横長の楕円形をした胸郭の形の関係で、約35°前方に向いています。
骨盤帯:骨盤にある左右のASIS(上前腸骨棘)が同じ高さにあることです。

水平面からみた場合は、主にこの肩甲帯と骨盤帯のアライメントをチェックします。もちろん、この理想的な姿勢を維持するためには他に、

・「インナーユニット」(骨盤底筋群・腹横筋・多裂筋・横隔膜)の働き
こちらの記事で説明した「足のグラウンディング
こちらの記事で説明した「抗重力筋」

これらの働きなしにはまず成立しないことを覚えておいてください。
そしてもう一つ誤解しないでほしいのが、常に正しい姿勢でいることが良いとは限らないということです。肩こりの記事でも少し触れましたが、問題は悪い姿勢をとることだけでなく「姿勢を変えないこと」です。長時間同じ姿勢で仕事や作業をする際は、時々立ち上がったり伸びをしたり、歩いたり姿勢を変えるといった「リセット」をする時間を設けることが大切です。そうすることで、筋肉内の循環が改善されて、疲労物質や発痛物質が滞りにくくなるのです。

正しい「姿勢」による効果

正しい立位姿勢をとることができてはじめて、正しく歩ける。そして正しく走れる。そして更に体幹や四肢をダイナミックに動かすスポーツ動作につながる、と私は考えています。
すべての動作の基本は、立位時の「姿勢」です。その基本が崩れていると、パワーの伝達が全身に効率よく行き届かずに、思い通りのパフォーマンスにつながらなかったり、疲労しやすかったり、故障しやすかったり、怪我など今後の不調につながっていく可能性が高いのです。

ヨガでも全く同じことが言えると思います。理想的な姿勢はヨガの「ターダーサナ」と同じだとお伝えしました。すべてのアーサナの原点はターダーサナです。まずターダーサナが正しくとれないと、ほかのアーサナへのチャレンジには限界があると思います。ある程度のアーサナはクリアできるかもしれませんが、ターダーサナが崩れていると、いつか必ず限界が来ます。限界とは、思い通りのアーサナの形にならなかったり、なかなか達成できないアーサナがあったり、アーサナの持久力がなかったり、ヨガによって故障や怪我など今後の不調につながってしまうという意味です。

私もヨガで苦手なポーズはいくつかありますし、決してもともと姿勢が良かったわけではありません。ヨガインストラクターも理学療法士も、あまり大きな声では言えませんが姿勢の悪い方を時々見かけますし、その方達が正しい姿勢を知らない場合や、そもそも姿勢が重要だと考えていない場合も残念ながらあります。

私の場合は、ヨガインストラクターになってその後理学療法士になって、いろんな生徒さんや患者さんと出会うことで、その方達の姿勢とともに自分自身の姿勢を見直す機会をいただくことができたのかもしれません。少なくとも私は姿勢の重要性を理解していて、その正しい姿勢を伝えることはできると思っています。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

広告



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

「タダーサナ」がすべてのアーサナの基本!理学療法士が重視する理想的な「姿勢」とは?
「タダーサナ」がすべてのアーサナの基本!理学療法士が重視する理想的な「姿勢」とは?
「タダーサナ」がすべてのアーサナの基本!理学療法士が重視する理想的な「姿勢」とは?
「タダーサナ」がすべてのアーサナの基本!理学療法士が重視する理想的な「姿勢」とは?
「タダーサナ」がすべてのアーサナの基本!理学療法士が重視する理想的な「姿勢」とは?
「タダーサナ」がすべてのアーサナの基本!理学療法士が重視する理想的な「姿勢」とは?
「タダーサナ」がすべてのアーサナの基本!理学療法士が重視する理想的な「姿勢」とは?
「タダーサナ」がすべてのアーサナの基本!理学療法士が重視する理想的な「姿勢」とは?