背中で握手できない人は巻き肩・反り腰予備軍?手が組めない原因と対策ヨガ&ストレッチ
背中で手を組むことができますか?ヨガでも、左右の手を背中側でつかむ「牛の顔のポーズ」というのがありますが、手が届かない原因は、肩甲骨まわりの筋肉の硬さが大きく関係します。肩関節や肩甲骨周辺の柔軟性を高めて、ポーズを深める練習方法をご紹介します。
背中の後ろで手を組む「牛の顔のポーズ」でチェックしてよう
牛の顔のポーズとは、背中の後ろで手を組み胸を広げていくポーズです。
この写真のように、背中の後ろで手を組むことはできましたか? 片方の手は組めるのに片方は届かないなど左右差があるかもしれません。いずれにせよ、手が届きにくい、あるいは手が組めない場合は、筋肉に原因があるかもしれません。
なぜ背中で手が組めないの?その原因となる筋肉を理解しよう
背中で手を組むためには腕を上下に動かすだけではなく、肩関節を回す動きである回旋動作が入ります。上の手は外側に回る「外旋」、下の手は内側に回る「内旋」です。肩甲骨も肩関節の動きに伴い、上側は「上方回旋」、下側は「下方回旋」していきます。それぞれがうまくいかないと、手が後ろで届きにくくなってしまうのです。手が届かない原因になる筋肉を解説します。
上側の腕の動きで伸ばされる筋肉
上側では、胸の筋肉である「大胸筋下部」「小胸筋」、背中の「広背筋」、肩の「三角筋後部」などがよく伸ばされます。肩関節を外旋することでは、肩甲骨に付着する「大円筋」「肩甲下筋」がストレッチされます。
下側の腕の動きで伸ばされる筋肉
下側では、「大胸筋上部」などがよく伸ばされます。肩甲骨と首をつなぐ「肩甲挙筋」も大きく関わります。内旋するとき、肩甲骨に付着する「棘下筋」「小円筋」がストレッチされます。
大きな筋肉ほど大きく影響しやすく、筋肉が硬くなってしまうとうまく手を動かせません。左右どちらもまんべんなくストレッチすることで、快適なポーズをめざしましょう。
硬いまま放置するとどうなる?
肩周辺の筋肉は、私たちにどのような影響を与えるのでしょうか?
大胸筋・小胸筋・三角筋後部が硬くなると巻き肩や猫背になりやすい
胸側の筋肉である大胸筋・小胸筋は猫背姿勢になると硬くなりやすいです。三角筋後部も硬くなることで肩が前側に出る「巻き込み肩」の原因に。
広背筋・大円筋が硬いと反り腰や腰痛の原因に
背中側の筋肉である広背筋・大円筋は硬くなると手が上がりにくくなったり、肩こりの原因に。広背筋は腰椎までついているので、反り腰になったり、その影響で猫背姿勢にもなりやすいです。腰痛の原因になることも。
肩甲挙筋が硬いと肩こりになりやすい
首から肩にかけての肩甲挙筋は、デスクワークなどの姿勢を続けていると硬くなります。硬くなることで肩こりの症状を感じることもあります。
棘下筋・小円筋・肩甲下筋が硬いと肩が動かしづらい&炎症の原因にも
棘上筋とあわせて棘下筋・小円筋・肩甲下筋はローテーターカフと呼ばれ、肩関節の安定性を高めるための筋群。十分な筋力と柔軟性がないと、動きが悪くなったり周辺の腱に炎症を起こすことにもつながってしまいます。
これらの筋肉の柔軟性を高めると、姿勢改善や肩の可動域を高めることにもつながります。
肩甲骨や肩関節まわりの筋肉を柔らかくする方法5つ
肩だけに注目されがちですが、肩甲骨の動きもポイント。背中が丸まってしまうなどで動きが阻害されてしまうと、連動している腕は動きにくくなります。姿勢を正しながら肩甲骨や腕の動きもスムーズに!初心者でも取り入れやすいヨガと、自宅で簡単にできるストレッチをご紹介します。
ヨガポーズ1.猫伸びのポーズ
上側の手が動きにくい人におすすめ。主に「広背筋」「大円筋」「大胸筋下部」「小胸筋」をストレッチできます。
やり方
①四つ這いになりましょう。この時おしりは膝の真上にあることを確認します
②お尻の位置を動かさないようにしながら手を前に伸ばし胸を床に近づけます
③お腹が落ちすぎないように肋骨を中央に寄せるイメージをしながらお腹を引き締めます
④床についていた手のひらを天井にひっくり返すと効果的!
ヨガポーズ2.後ろで合掌
下側の手が動きにくい人におすすめ。主に「大胸筋上部」「肩甲挙筋」「棘下筋」「小円筋」をストレッチできます。
やり方
①まっすぐ背骨を伸ばします。立ってても座っててもOK!
②肩を下に引き下げながら体の後ろで肘と肘を持ちます(届かなければ前腕部でも)
③いけそうならばそのまま後ろで手のひらを合わせましょう
④さらに首を前に倒すと効果的!
ストレッチ1.椅子を使った胸のストレッチ
このストレッチは主に「大胸筋」を伸ばすことができます。
やり方
①背もたれのある椅子に座り、右側に体をねじり右肘を背もたれにひっかけ、手を天井方向に
②肘をひっかけたまま体を正面に戻す方向へ動かす
③反対側も同様に繰り返します
ストレッチ2.腕をぎゅーっ!肩のストレッチ
このストレッチは主に「三角筋後部」「棘下筋」「小円筋」を伸ばすことができます。
やり方
①右腕を「前へならえ」します
②右手のひらを左の肩に近づけます
③左手で右の肘あたりを胸に近づける方へ引き寄せます
④反対側も同じように繰り返します
ストレッチ3.首肩すっきりストレッチ
このストレッチは「肩甲挙筋」を伸ばすことができます。
やり方
①椅子に背筋を伸ばして座ります。肩はできるだけ耳から遠ざけて
②右手で椅子の座面をつかみ、首を45度左に向けます
③ねじったまま首を下に向けます。左手を頭の上に添えると伸びが深まります
④反対側も同じように繰り返します
全てのポーズやストレッチでは必ず無理のない範囲で、呼吸をしながら自分のペースでやることを大切にしましょう。「ながらストレッチ」も取り入れて、徐々に肩や肩甲骨周辺の筋肉を柔らかくしてみてくださいね!
左右差がある場合は比重の調整を行って
利き手をたくさん使うことが多いため、肩周辺の筋肉にどうしても差異が現れやすいものです。左右差を感じるときは、やりにくい側のストレッチに時間をかけるなど、比重の調整をしてみて。また、姿勢のバランスが原因のことも。足を組むクセ、座り方のクセがないか日常を振り返ってみるきっかけにしてみましょう。
ライター/櫻井麻美
大学在学中に世界一周をし、卒業後は日本各地に住み込みで働く。既存の価値観の中で生き方を考えることに違和感を抱き、自分の生き方について考え始める。20歳の時にヨガに出会い、その後ヴェーダンタに触れ、共感。自身でも学びを続けながら、地域の教室、スタジオ、オンライン、養成講座など様々な場所でヨガを伝えている。
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