「脚を真っすぐ揃える」危険性|土台から関節の位置を整えよう

 「脚を真っすぐ揃える」危険性|土台から関節の位置を整えよう
Jan Spanier
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足先から順に見ていくと、指の付け根には5つの関節があり、つま先で立つと5つの関節が同時に蝶ちょうつがい番のように働く。この関節の次には、足首の下の回転関節がある。回内(かかとが正中線のほうに過度に倒れる)から回外(かかとが外側に倒れる)まで、足を内側と外側に動かしてこの関節を感じてみよう。足首上部の関節も蝶番関節である。立った姿勢から両膝を曲げ、その膝を後ろに引いてみよう。背屈(足とすねが近づく)から底屈(足とすねが遠ざかる)まで、下腿が蝶番によって動くのを感じられる。その上には、膝から足首まで伸びている脛骨と腓骨の間にわずかに回転する関節がある。片方の膝を曲げて指の付け根に体重がかかるように立ち、タバコの火をもみ消すようにかかとを左右に動かして、この関節が回転するのを感じてみよう。さらに上を見ていこう。膝はそれ自体が蝶番になっている。股関節の受け口の部分と球状の部分は、言うまでもなくさまざまな方向に動くことができる。脚部の一連の関節の中で次にくる関節は、仙腸関節である。この関節を確認するためには、腰の最下部のくぼんだ部分に突き出ているいくつかの骨を触ってみよう。仙腸関節も単純な単一自由度系の蝶番関節で、飛び出ている骨の約2.5センチ前から始まっている。腰仙関節は、腰椎と仙骨をつなぐ関節で、若干回ることができる。回転関節では骨の形状、靭帯による制限、筋肉の過度の硬さによって動きが限定される。ただし、回転関節の可動域、相互作用、適応性は、一方向にしか動かない蝶番関節よりも優れている。

足に焦点を合わせるとどうなるか

玄関の扉に使われている蝶番について考えてみよう。ねじがしっかり固定されているかぎり、どの蝶番も自然に問題なく機能する。蝶番は開いては閉じ、屈曲しては伸展して、修理しなくても何年も動き続ける。しかし、蝶番が真っすぐ並んでいなければ、蝶番自体は2、3カ月ももちそうになく、やがて扉は曲がり、ねじは外れ、戸枠は壊れてしまう。

これを脚に当てはめてみよう。両足を真っすぐ揃えると、指の付け根の蝶番と足首の蝶番は、立て付けの良い扉の蝶番のように働く。しかし、足を揃えると、膝と腰が押されてずれる可能性があり、それによって今度は膝、仙腸関節、腰に問題が生じるかもしれない。難度の高いアーサナに挑戦しているときはなおさらである。

この問題を防ぐには、まず腰の下に膝を真っすぐ揃え、足を自然な位置に下ろすといいだろう。両足を揃えたとしても、そのうえで片方または両方の膝がねじれていれば(その確認方法は次ページを参照)、扉の蝶番の位置をずらしているようなもので、長期的には問題が生じる危険がある。

たとえば、歩くときに足を一直線に揃えたら、膝と腰は位置がずれた蝶番のようになって、必要以上に早くすり減り始め、軟骨が骨に不均衡に押されてすり減ってしまうだろう。足を揃えるのではなく、膝蓋骨(膝頭)が正面を向くように両膝の位置を整えよう。こうすると、その上の股関節、骨盤、腰にある重要な蝶番も自ずと真っすぐ揃う。足を揃えても、そのような保証はない。

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Photos by Christopher Dougherty
Model by Karin Gurtner
Illustrations by Michele Graham
Translation by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.63掲載



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体の仕組みを学ぼう 土台から関節の位置を整えよう