乳がん検診の受け方、間違えていない? マンモグラフィだけで大丈夫?【乳腺専門医に聞く】

乳がん検診の受け方、間違えていない? マンモグラフィだけで大丈夫?【乳腺専門医に聞く】
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増田美加
増田美加
2026-10-31

乳がん検診は、いつからどんな検査を受ければいいのでしょうか? マンモグラフィだけでいいのでしょうか?間違った情報が多いなかホントのところを、乳がん検診を数多く行う乳腺専門医に聞きました。

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乳がん検診は、いつからどんな検査を受ければいい?

日本では今年、乳がんにかかる人が9人に1人から、8人に1人と増加していることが発表されました。乳がんを早期発見するために効果的な方法について、日本乳癌学会乳腺専門医の島田菜穂子先生を取材しました。

乳がん検診は、いつからどんな検査を受ければいいのでしょうか? 

「国が推奨している乳がん検診は、40歳から2年に1回のマンモグラフィ検診です。自覚症状がないときに受けるのが検診です。自分で触ってわかるしこりの大きさは、だいたい2センチ以上です。手で触って何もないからと安心しないでください。手で触れてもわからない、症状のない段階で、がん検診で見けられるのが早期乳がんなのです。

乳がん検診では、しこりなどの自覚症状が出る前のさらに早い段階の乳がんの発見が可能です。自分で何も異常を感じないときだからこそ、検診を受けて確認をすることが早期発見に欠かせないのです。

もしも、乳房のしこり、ひきつれ、乳首から血が出る、乳首の湿疹など、気になる症状があったら、医療機関をすぐに受診してください。せっかくサインがあったのですから、その症状の原因を突き止める検査や診察を受けてください。自覚症状を感じたら、今年の乳がん検診で異常なしと言われても、乳腺外科などの“医療機関をすぐに受診”していただきたいです」と島田先生。

高濃度乳房なら異常なしでも安心できない?

なぜ、乳がん検診で「異常なし」と結果が出ているのに、症状を感じたら、医療機関をすぐ受診したほうがいいのですか?

「「高濃度乳房(デンスブレスト)」という乳房タイプの人が日本人には40~70%います。マンモグラフィの画像では、脂肪の組織は黒く写って、乳腺組織は白く写ります。そして、しこりも白く写ります。

ですから、乳腺が多いタイプの高濃度乳房の人は、白く写るのでしこりがあってもよく見えません。まるで雪原の白うさぎを探すかのよう、と表現されます。

マンモグラフィで撮影して放射線科医が診断するとき、乳房のタイプをこの乳腺濃度に応じて4つに分類します。このうち乳腺濃度の高い2つを高濃度乳房と分類。日本人では約40~70%の人が高濃度乳房と言われています。

ですから、もしあなたの乳房のタイプが高濃度乳房なら、マンモグラフィ検診で異常なしと言われても、しこりが隠れて見えていないだけかもしれないのです。それに、どんな検診も100%というものはありません。

検診で異常なしと言われていても、自覚症状を感じたら、すぐに医療機関を受診してほしいのは、そういう理由からです」(島田先生)

高濃度乳房だったら、乳がん検診はどうしたら?

高濃度乳房タイプの乳房では、マンモグラフィでは乳がんが見つかりにくく、精密検査を勧められる割合が高い傾向にあります。また、乳がんの発症リスクが高い、という日本女性を対象にした論文も発表されています(※)。

自分が高濃度乳房かどうかは、どうしたらわかるのですか?

「マンモグラフィ検診を受ければわかります。マンモグラフィで撮影した画像を見て、医師が診断するときに、高濃度乳房か、脂肪性乳房かを見極めます。

ですからマンモグラフィの結果をもらうときに、異常有り無しだけではなくて、自分は高濃度乳房か、脂肪性乳房か、を確認してください。

2027年春から全国の自治体で行う乳がん検診で、高濃度乳房かどうかを結果と一緒に通知することが国で決まりました。2027年春以降、自分の自治体で高濃度乳房の通知が行われていないようなら、自治体に問い合わせてみてください」(島田先生)

高濃度
photo/Adobe Stock

高濃度乳房とわかったら超音波検査も併用して

マンモグラフィ検診を受けて、高濃度乳房とわかったら、どうしたらいいのでしょうか?

「まず、高濃度乳房ではなく、脂肪性乳房と分類されたら、マンモグラフィでしこりの有無をよく判断できるので、自覚症状がなければほとんどは心配ありません。もしも、脂肪性以外の分類(乳腺散在、不均一高濃度、高濃度乳房)と言われたら、超音波検査を組み合わせることが大切です。

今、欧米に比べて、若い人の乳がん発症が多い日本女性の乳房に対して、どのような乳がん検診が有効かについて、「J-START」という大規模検証が行われている最中です*。

マンモグラフィだけの検診の場合、乳がんの発見率が約70%であったのに対して、マンモグラフィに超音波検査を組み合わせることで、発見率が93%に上がったという中間報告が出て来ました。高濃度乳房の方の乳がん検診には、マンモグラフィに超音波検査の組み合わせなどの工夫が必要だということは、この結果からも言えると思います。

この研究では、さらにマンモグラフィと超音波検査を組み合わせることによって、より乳がんの死亡率を下げることができるのかという最終的な検証を行っているところです。

また、高濃度乳房か、脂肪性乳房かどうかの乳房のタイプは、年齢によっても変化します。若いときに高濃度乳房でも、年齢を重ねると脂肪性乳房に変化することもあります。定期的なマンモグラフィ検診で、確認することが大切です」(島田先生)

マンモの被曝で乳がんになる?というウソ情報に騙されないで!

最近、「マンモグラフィの被曝で乳がんになるから受けないほうがいい」という不確かなSNS情報が流れています。乳がん検診は、マンモグラフィではなく、超音波検査のほうがいいのでしょうか?

「マンモグラフィの1回の撮影で乳房が受ける放射線の量は、東京からニューヨークへ飛行機で往復するときに浴びる自然放射線の量とほぼ同じといわれています。ごくわずかな線量ですので体への影響はほとんどありません。安心してください。国が推奨しているのは、40歳から2年に1回のマンモグラフィ検診です。

また、症状があって乳腺外科を受診した場合も30代40代以上の人は、マンモグラフィを安心して受けてください。乳房が成長期にある10代、20代の人や妊娠中の人には、超音波検査などほかの方法を行ないます」(島田先生)

マンモグラフィが痛くなくなる!

マンモグラフィは痛くてイヤという人がいます。痛くない怖くない検診をするために、何かいい方法はないでしょうか?

「そんなに痛みを感じないという人もいる中で、痛いからと、乳がん検診へ向かう足が遠のくのは、早期発見の機会を逃してしまい残念です。超早期乳がん(0期)の悪性の石灰化を見つけられるのは、現状ではマンモグラフィだけです。超音波検査では石灰化は見つけられません。

マンモグラフィは、乳房を引き延ばして、一部、大胸筋も一緒に透明な板で挟みます。乳房を薄く引き延ばすことで、被曝のリスクも下がり、診断しやすい綺麗な画像が撮影できます。

撮影するときに、緊張しすぎて体に力が入ってしまうと、痛みを感じやすくなります。リラックスして肩の力を抜いて受けていただけると、痛みはずいぶん軽くなります。

実は、乳腺は大胸筋の2層の筋膜(大胸筋浅層と深層)の間に存在しています。マンモグラフィを受けるときは筋膜ごと挟み込むことになりますので、大胸筋の筋膜が固まっていると、痛く感じることがあるかもしれません。

ですから、乳がん検診を受ける前に、家で大胸筋のストレッチをしたり、胸の筋膜をほぐす筋膜リリースをしてから受けてみてください。痛みが少なくなるという方もいらっしゃいます。よければ試してみてください。

また、技師さんがマンモグラフィの扱いに慣れているかどうかも関係するかもしれません。見落としを防いで、精度の高い検診を受けるためにも、「日本乳がん検診精度管理中央機構」という組織で認定試験を行なっています。ここで認定をとっている医師、技師、施設のリストがあります。どこで検診を受けるか探すときの参考にしてみてください」(島田先生)

 

※ Ohuchi N, Suzuki A, Sobue T, et al: Sensitivity and specificity of mammography and adjunctive ultrasonography to screen for breast cancer in the Japan Strategic Anti-cancer Randomized Tria(l J-START): a randomised controlled trial. Lancet, 387(10016): 341―348, 2016

お話を伺ったのは・・・島田菜穂子(しまだなおこ)先生

ピンクリボン ブレストケアクリニック表参道 院長。NPO法人乳房健康研究会副理事長。1988年 筑波大学医学専門学群卒業。その後、筑波大学付属病院などを経て、東京逓信病院放射線科で乳腺外来開設。1998年~1999年 米国ワシントン大学メディカルセンターブレストヘルスセンター留学。2002年、日本初、乳がん啓発ランニングウオーキングイベントを開催。2008年より現職。放射線科診断専門医、日本乳癌学会乳腺専門医、マンモグラフィ読影指導医。乳房超音波診断認定医、日本がん検診診断学会認定医。認定スポーツドクター、健康スポーツ医、東京2020聖火ランナー、サウナ・スパ健康アドバイザー。

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