【旬のみかん】食べ過ぎると起こる不調とは？注意が必要なのはどんな体質の人？管理栄養士が解説

実は効能がたくさん！みかんが持つ栄養パワー

抗酸化作用の「ビタミン C」
免疫力を高め、風邪予防や肌の健康維持に役立ちます。水溶性で体内に蓄積されにくいため、日常的な摂取が大切です。

疲労回復を助ける「クエン酸」
運動やストレスによって発生する乳酸の分解を促進し、体のだるさを軽減します。エネルギー代謝の効率を高める働きも期待できます。

むくみ予防に働く「カリウム」
余分な塩分を体外に排出し、むくみや高血圧の予防に役立ちます。

腸内環境を整える「食物繊維」
便通改善や血糖値の上昇抑制に関与します。みかんに含まれるペクチン（水溶性食物繊維）は腸内フローラのサポートに効果的です。

みかんの食べ過ぎで起こる不調

血糖値の急上昇
みかんに含まれる果糖やブドウ糖は吸収が早く、大量摂取すると血糖値が急上昇することがあります。特に糖尿病や血糖コントロール中の方は注意が必要です。

お腹の不調
食物繊維が豊富なため、食べ過ぎると腸内で水分を吸収して膨張し、腹部の張りや下痢につながることがあります。

胃酸過多による胸やけ
酸味成分のクエン酸は胃酸の分泌を促進します。空腹時や胃の弱い方が過剰に摂取すると胃もたれや胸やけを感じることがあります。

口腔・歯への影響
甘みと酸味の影響で、食べ過ぎると虫歯や酸蝕症（歯のエナメル質が溶ける症状）のリスクが高まることがあります。食後はうがいや水を飲む習慣をつけましょう。

みかんの白い筋（薄皮・アルベド）の特徴と注意点

白い筋ごと食べる場合
みかんをむくと見える白い筋や薄皮（じょうのう膜やアルベド）には、食物繊維やポリフェノールが豊富に含まれています。健康効果が高く、腸内環境を整えたり、抗酸化作用で体のサビつきを防ぐ働きがあります。ただし、大量に食べると消化器に負担がかかり、腹部の張りや下痢の原因になることがあります。

白い筋を取り除いて食べる場合
甘みが際立って食べやすくなりますが、食物繊維やポリフェノールの摂取量は減ります。その分、満腹感を感じにくく、つい食べ過ぎてしまう場合があります。

みかんの1日の適量

厚生労働省と農林水産省の《食事バランスガイド》では、果物の目安量を1日あたり約200 gとしています。みかんの場合、中サイズで2〜3個（約200 g程度）が目安です。手のひらに軽くのる程度の量を朝食やおやつに取り入れると、無理なく食べられます。

健康的にみかんを楽しむための工夫

・デザートとして小皿に盛り付け、最初から食べる量を決めておく
・白い筋ごと食べられる品種はよく噛んで満腹感を得る
・午後など活動量が多い時間帯に取り入れる
・糖尿病や血糖管理中の人は、一度に大量ではなく小分けで楽しむ

まとめ

みかんはビタミン Cやカリウム、食物繊維が豊富で、美容や健康に役立つ冬の代表的な果物です。ただし、食べ過ぎると血糖値の急上昇や消化不良、胃酸過多などの不調につながることがあります。「1日2〜3個（約200 g）」を目安に、白い筋を含めた品種の特性を理解して取り入れることで、旬のみかんを安心して楽しむことができます。

参考文献

文部科学省「食品成分データベース」うんしゅうみかん（普通・生）
https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=7_07027_7

厚生労働省 e-ヘルスネット「果物1日200 gのすすめ」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-01-003.html

農林水産省「食事バランスガイド」
https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/

記事監修／亘美玲

管理栄養士。病院栄養士を7年経験後、食品会社で約15年間メディカルサプリメントや機能性表示食品の商品開発責任者として従事。2児の母で、自身の妊娠と出産、離乳食作りの経験から母子栄養の研究を重ね、産前産後ママの栄養サポート、栄養相談、料理教室、レシピ提案、執筆、栄養学講座の活動を行っている。離乳食や調理の基本についてSNSでも発信をしている。