「ついお菓子に手が伸びてたわ…」実は見逃してはいけない心身のSOSサインとは【管理栄養士が解説】

ストレスとは何か？

そもそもストレスとは、「外部からの刺激によって、心や身体に負担がかかる状態」のこと。例えば、職場でのプレッシャー、家族との関係、時間に追われる日々…こうした日常の中に、ストレスの原因は潜んでいます[1]。
ストレスそのものは決して悪いものではありません。適度なストレスは、集中力を高めたり、やる気を引き出したりする原動力にもなります。しかし、過剰になると、心や身体、日常の行動面にネガティブなストレス反応が現れることがあります[2]。

心身のSOSに気がつく：セルフチェック

まずは、ネガティブなストレス反応が出ていないかチェックしてみましょう。主に以下の3つに分けられます[2]。

心理的反応

・イライラしやすい
・気分が落ち込みやすい
・やる気が出ない
・不安感
・緊張感

身体的反応

・頭痛、めまい
・首や肩のこり
・胃腸の調子が悪い
・眠れない
・疲れがとれにくい

行動的反応

・食事の量が増えた、あるいは減った
・飲酒の量やたばこが増えた
・遅刻が増えた
・ミスが増えた
・人付き合いを避けたくなる

心身のSOSに気がついたら：自分に合ったストレス対処法を見つけよう

セルフチェックでネガティブなストレス反応が複数現れている場合には、自分に合った対処法を見つけて実践することが大切です。

生活習慣を整える

良質な睡眠、そして無理のない運動を日々の習慣に取りいれることが、心身の健康維持には欠かせません。あわせて、心を落ち着ける時間を意識的に確保することも大切です。たとえば、腹式呼吸を行う、外の景色をぼんやり眺める、ゆっくり入浴する、軽く身体を伸ばす、好きな音楽に耳を傾けるなど、気軽にできることから始めてみましょう。一方で、つらさを紛らわせるためにお酒に頼ると、かえって睡眠の質が下がり、心の不安定さを招くおそれがあるため注意が必要です[1]。また、喫煙は身体への負担が大きく、ニコチン切れによって逆に新たなストレス反応を生むこともあるため、控えることが望ましいでしょう[3］。

考え方を見直す

自分自身の思考パターンや物事の捉え方を振り返ってみることは、とても大切です。ネガティブなストレス反応が生じている時、私たちは物事を一面的・硬直的に考えていることがあります。たとえば、「○○しなければならない」と強く思い込んでいると、自然と問題やうまくいかない点にばかり目が向き、結果としてネガティブなストレス反応が生じることがあります。そうした時こそ、できていることや順調に進んでいることにも意識を向けてみましょう。自分の思考の癖や捉え方の偏りに気がつき、見直すことで、視野が広がり、気持ちが軽く感じられることがあります[1]。

相談する

悩みやつらさを一人で抱え込まず、誰かに打ち明けることはとても大切です。困っている時に、ただ話を聞いてもらうだけでも、気持ちが軽くなった経験はありませんか。話すことで整理がつき、新たな視点や解決のヒントが得られ、心がスッとすることもあるでしょう。また、話を聞いてもらえるという安心感そのものが、心を落ち着けてくれます。身近な友人や家族、職場の同僚、地域や趣味のつながりなど、日常的に気軽に話せる人との関係を築いておくと、いざという時に支えになるでしょう。ただし、気になる心身の不調が長引く場合は、迷わず医師や公認心理師などの専門家に相談することをおすすめします[1]。

心身のSOSを見逃さないで

食べる量が増えた、間食が増えた――それは、大切なサインかもしれません。
食べるという行動だけに注目するのではなく、その背景にも目を向けることが大切です。
まずは、無意識のうちにとっている行動から自分自身を振り返ってみましょう。

【参考文献】（すべて2025年5月22日閲覧）
[1] 国立精神・神経医療研究センター, こころの情報サイト, ストレスとセルフケア
[2] 厚生労働省, こころの健康気づきのヒント集
[3] 厚生労働省, 健康日本21アクション支援システム ～健康づくりサポートネット～, たばことストレス