親の介護やいざという時は、もう目の前かも。子世代がすぐに始められる〈むずかしくない〉親の終活


自分の終活は、サクサク進めたとしても、親の終活となると……。世代・常識が違うため、死後のことを話すだけで、気分を害されたり、怒り出しそうな気が……。でも、いつかは必ずやってきます。そのために今、子供世代ができる、ここだけは押さえておきたい終活ポイントをお知らせします。
今、親としたいことはなんですか?
まず、お金や相続のことは、少し横に置いておいて、この記事を読んでいる人に聞いてみたいことがあります。
「今、親としたいことはなんですか?」
仰々しいものでなくて、かまいません。たとえば、我が家のレシピを聞いておきたい。ずっと行きたいと言ってきた温泉に連れていきたい。旧友と合わせてあげたい、など。
私自身、母が床に伏せた時、母の旧友の方が飛んでいらしてとても後悔されていたんです。お互いずっと会いたいねと言い合っていたのに、なぜ会わなかったんだろう、と嘆かれていました。私も連絡を取り合っていたのを知っていたのに、なぜ会わせてあげられなかったんだろうと、今でも後悔しています。
なので、「親と、これをしておかなかったら後悔しそう……」
まずはそれを今、具体的に思い浮かべてすぐに実行しましょう。
もしものときに、知っておきたい3ポイント
私自身の経験から、親のいざという時は、本当に突然やってきます。なので、そのとき困って慌てないために、〈これだけは押さえておきたい3つのポイント〉を覚えておいてください。
ポイント1〈お金〉
もしもの時のお金のこと、親と自分を守るために
・銀行口座、通帳、印鑑の保管場所
・クレジットカード
・保険加入の有無 など
親が入院したり、自宅介護になる場合があります。その時に必要なのは、やはりお金。立て替えが続くと「なんで私が!」という、犠牲感につながりかねません。そうならないために、親のお金の情報を聞き取り、できるだけ親のお金で工面できるようにしておきましょう。
また意外に、通信販売の定期購入を利用されていている方が多くいらっしゃいます。保険は、加入していることを家族の誰にも知らせていなかったり、見直しをしていない親御さんも多く、いざという時使えなかった、ということも!
ポイント2〈アカウント〉
現代人ならではの、デジタルツールも忘れずに!
元気なうちは、画面越しに話せて便利だったスマホ。でも、親本人が使えなくなると、たちまちブラックボックスになってしまうので、早めに情報共有しておきたいものです。
・スマホ画面のロック
・有料アプリ など
インターネットを利用される親なら、いつの間にか自動引き落としで無駄に支払っているもの。スマホのパスワードを知らないと、親戚や友人の連絡先が全くわからないという場合も。SNSアプリや通販の定期購入契約などの中には、本人以外ではすんなりと解約できないものもあるので、事前に子世代の私たちが共有し、調べておきたいものです。
ポイント3〈お葬式〉
悲しみに暮れている時に、探すのはしんどいから
お葬式については親世代から言い出して欲しいのが、本音ですが(苦笑)。
私も高齢者向けのセミナーの中で、親のほうから子に伝えて欲しいと何度もお願いしていることが、葬儀のことです。
・どこで行うか
・呼んで欲しい人、欲しくない人
・親戚の連絡先
・遺影の写真
・お墓の希望 など
最近は身内のみで執り行う『家族葬』を希望されるケースが増えていますが、もしかしたら家族以外で呼んでほしいと思っているお友達がいるかもしれません。一方、もし呼んでほしくない人がいるなら是非伝えておいてほしいところです。呼んでほしい人を聞くより「お母さん、万が一の時お葬式に呼んでほしくない人っている?いたら絶対教えといてね(笑)」と聞く方が、笑いながら答えてくれるかも。遺影もしかり。「もし気に入らない写真を私たちが遺影に選んじゃったら、死んでもイヤでしょ?」遺影に使ってほしい写真は本人に選んでおいてもらわなきゃです。
お伝えした3ポイントは、親だけの問題ではありません。子世代である私たちも、自分の終活として、この3ポイントは、今からしっかり準備しておきたいもの。
そして、親の終活は先延ばしにせず、日頃のコミュニケーションから始めることが、最初の一歩です。それとは別に、自分が親のことについて相談できる、誰かを作っておきましょう。それは介護のプロでもいいし、友人でもいいし、もちろん私でも。親の問題は、一人で抱え込まないで。
子供同士で、話し合えない事情がある方へ
親のことについて、きょうだい間でコミュニケーションが取れない方は多くいらっしゃいます。同じ子供同士でも、親の終活についての考え方や想いに温度差があったりするので、けっこう難しい問題ですよね。たとえば兄と弟がいる長女の場合、兄・弟ともに「親の介護は娘のおまえがやるのが当然」と思われていたり、自分は親の老後が心配なのに、他のきょうだいは気にも留めていない感じだったり・・・。しかし、いざとなれば、話し合いを避けることはできません。
そのために、できることは「自分は何ができるか」を明らかにし、事前にきょうだいに伝えておくこと。そして相手に期待しすぎないこと。この2つを行うことで、将来トラブルとなる原因を、小さく収めることができるかもしれません。
親に『もしものこと』が起こってしまう前に、今できることを少しずつ始めてみませんか?
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