【頭痛・めまい・便秘・下痢・倦怠感・疲労感】自律神経の乱れを整える「アーユルヴェーダの知恵」

 【頭痛・めまい・便秘・下痢・倦怠感・疲労感】自律神経の乱れを整える「アーユルヴェーダの知恵」
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私たちの消化器や心臓など、内臓の働きをコントロールし、食べ物の消化・心臓の拍動・発汗・排泄などをサポートする自律神経。リラックスする時間がうまく取れないと、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、頭痛・めまい・便秘・下痢・倦怠感など様々な不調が起こります。今回は、自律神経のケアをアーユルヴェーダの視点からご紹介します。

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自律神経の働きは、風のエネルギー

「最近、疲れやすくなった」という声をよく聞きます。1つの理由は、コロナ渦でマスクをつけっぱなしで呼吸が浅くなったことや、自粛生活で体を動かす機会が減り、体力が落ちたことでしょう。人間の体は、太陽を浴び、適度に体を動かし、人と交流することで健康になりますから、自粛生活で体力も免疫力も落ちるのは当然のことです。そうやって積み重なった心身のストレスは自律神経を乱し、内臓の働きや心臓の働きにも影響を与えます。では、自律神経のバランスを取り戻し、心と体の健康を取り戻すにはどうすればいいのでしょうか。

インド・スリランカ発祥のアーユルヴェーダには、日常に取り入れやすいナチュラルな健康法のヒントがたくさんあります。アーユルヴェーダは、世界三大医学の1つで5000年以上の歴史を持ちながら、今なお世界中でホリスティック医学として使われる、生きた健康増進法&治療法です。ヨーロッパやアメリカでは、例えばコロナの治療や予防でも、アーユルヴェーダ医師の知恵が取り入れられています。

そのアーユルヴェーダで基礎となる理論が、「人間は、五大元素である空・風・火・水・土のエネルギーを持っており、そのバランスによって生まれつきの体質が決まる。そして、その体質に合わせてケアをし、個人の根本的な体質改善をすることにより病気の原因を取り除ける。」という考え方です。

この空・風・火・水・土のエネルギーというのは、それぞれ体の生理作用に当てはめて考えることができるのですが、風のエネルギーをサンスクリット語で「ワータ」と言い、その働きは、神経全般の働きに非常に似ています。ですので、風のエネルギー、「ワータ」のケアをすることで、自律神経の乱れを整え、オン・オフの切り替えができる疲れにくい心身を作ることができます。

アーユルヴェーダ
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アフタヌーンティーで、疲れのリセットをする

普段、私が体質改善の相談に乗っていると、夕方の4時前後に疲れやめまいを感じる人が多いです。これは偶然ではなく、アーユルヴェーダでは、時間帯によって空・風・火・水・土の中の支配的なエネルギーが変わり、それが心身に影響を与える、と考えます。

例えば、午後2時〜午後6時の間の4時間は、風のエネルギー「ワータ」が支配的になるので、この時間帯はワータの特徴である、「軽さ」「乾燥」「冷え」という性質が心身に影響を与えます。具体的には、体が痩せるように弱くなり(軽さ)、皮膚は乾燥し、喉が渇き(乾燥)、手足が冷えてきます(冷え)。午後の時間帯にはワータのエネルギーが体内に増えるため、その結果、午後〜夕方にかけて「疲れやすい」と感じる人が多いのです。

そこで、増えすぎて体に負担をかけているワータ(風)エネルギーをどうすれば良いかというと、「冷え」「乾燥」の反対の性質を取り入れるために、温かい飲み物を飲むのが良いです。

温かい飲み物を飲むと、副交感神経の働きが活性化し、体も心もゆるみます。自律神経の乱れは、交感神経が優位に働きすぎて、うまくオンオフの切り替えができないことが問題ですから、副交感神経をきちんと働かせることが重要です。仕事中は緊張状態や集中状態が常に続いていて、交感神経優位になっていますから、副交感神経が働くことでバランスが生まれます。

体を温めるのに最適なドリンクがジンジャーティーです。市販のものでも良いですが、白湯や紅茶1杯に対し、ジンジャーパウダーを小さじ半分〜1杯入れて自分でジンジャーパウダーを作るのがオススメです。体が温まり、血流も良くなるので、腸内環境を整える助けにもなります。特に交感神経優位な状態が続くと、イライラ、便秘、集中力の低下につながるので、忙しくてもあえて休む時間を10分でも取るのが良いでしょう。

紅茶
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また、牛乳がアレルギーでない場合は、ホットミルクにターメリックを小さじ半分〜1杯入れたものもオススメです。ホットミルクは乳脂肪分が適度な油分となり、腸や皮膚の乾燥を緩和してくれます。そのまま飲むと、少し消化に負担がかかりますから、消化が弱い人は、ターメリックやシナモンなどのスパイスを入れて消化力を高めます。

ターメリックミルク
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席を立って、深呼吸をする

他にも、深呼吸をするのもオススメです。集中している時に、ふと気づいたら息を止めていた、という経験はないでしょうか?人は、心に余裕がある時は1分間に15〜20回程度の呼吸をしているそうですが、焦ったり、緊張していると呼吸が1分間に20回以上になったり、逆に呼吸を止めてしまいます。深い、ゆっくりした呼吸をすると、体中・脳に酸素が行き渡り、末梢まで血液がいきわたるので、筋肉が緩み体がリラックスします。

深呼吸
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また、自律神経が乱れやすい人は、首の後ろ側が張っていることが多いので、呼吸をしながら両手で首を揉むといいでしょう。首には太い血管と、自律神経に関係する迷走神経や星状神経節があります。これらの血流を良くしていくことで、自律神経のバランスが整いやすくなります。

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AUTHOR

アカリ・リッピ―

アカリ・リッピ―

アーユルヴェーダ著者・セラピスト。本場スリランカでアーユルヴェーダ医師のもと修行。帰国後、1万人の体質改善コンサルをしながら講座で実践的なアーユルヴェーダを指導。著書「アーユルヴェーダが教える、せかいいち心地よいこころとからだの磨き方」 (三笠書房)5刷。都内でサロン経営。大手企業の営業マンだった時の経験を活かし、「忙しい人でも無理なくできる」現代的なアーユルヴェーダを発信。



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