「頑張っているのに」「思い通りに進まない」秋はイライラする季節?心を鎮めるアーユルヴェーダの知恵
ヨガ講師でアーユルヴェーダカウンセラーとしても活動するHIKARU先生に、アーユルヴェーダの知恵を借りて、日々を心地よく過ごすヒントを教えていただきます。
"太陽が力を奪う季節"とアーユルヴェーダの古典書で表現されている夏は、一年で一番、体力、消化力、抵抗力が低下する時期。そのような季節を経て次の季節に向かう途中は、不安定な天候になりがちで、自然界の一員である私達にも様々な影響をもたらします。物事が思い通りに進まない、頑張っているのに浮かばれない、特に理由が無いのにイライラするなどの精神の力も奪いかねません。アーユルヴェーダ独特の考え方から見ると、夏に蓄積したピッタ(火のエネルギー)が秋に向けて乱れやすくなる時期になります。
ピッタの代表的な働きは消化です。正常に働いていれば、食事がしっかり消化され様々な体の組織に変化します。肉体の消化だけでなく、様々な物事の理解や判断といった、言い換えると知性の消化にも作用しますので、うまく働けば喜びや充実感、自信や勇気を手に入れることにつながります。しかしながら夏〜秋にかけては、このピッタが乱れやすい時期に入っているために、肉体、精神ともに消化機能が低下し、食欲不振だけでなく、喜びを見出しにくくなってしまうのです。アーユルヴェーダの叡智から、イライラで燃え盛りがちな心のクールダウンの方法を紹介します。
甘味のある季節のフルーツでクールダウン
甘味は「冷性」というクールダウンさせる性質を持っているので、ピッタが乱れやすい夏〜秋にはオススメです。体に一番馴染みやすい味とも言われる甘味は、心にも満足感を与えてくれます。ただし夏は一年で一番、消化力低下の季節ですので、チーズケーキや生クリームでこってりしたスイーツではなく、イチジク、ブドウ、桃、梨などの果物で熱取りをしましょう。夏秋の果物は甘味があり消化しやすく、かつ水分を多く含むので最適です。
目に冷やしたおしぼりを
視覚器官はピッタと関わりが深い感覚器官です。目が疲れた時には、ジリジリとした灼熱感を感じやすいかと思われます。スマホやパソコンの画面を見続けるような現代生活の中では、視覚は最も酷使されている感覚とも言えることでしょう。通常起きている間には、あえて意識をしない限り、目を閉じるという行為はしないそうなので、仕事や家事で次の作業に取り掛かる前や、トイレ休憩の時、電車での移動時を利用して、そっと目を閉じてみましょう。もうひと工夫できる時には、冷やしたおしぼりを目に当てて、休憩時間を作りましょう。同時にシャヴァーサナのポーズはおすすめです。しっかりと休息を取ることで、結果的に効率性や生産性を高められるかもしれません。
足りていることに目を向けてみよう
私たちの心は瞬時に不足感を見つけることが出来たとしても、もうすでに持っているものや、出来ていることなどにはなかなか意識をすることはなく、当たり前と考えがちです。よくよく考えてみると、本当に大切なものや事柄はすでに手に入っていて、自分自身も無意識のうちにかなり頑張っているかもしれません。おやすみ前には反省会ではなく、今日一日の中で、自分自身がやれたこと、頑張ったこと、良かったこと、感謝すべきことなどを思い出してみてください。スーパーで買ってきた梨がめちゃくちゃ甘くて美味しかった!とか、帰り道に優雅に飛んでいるトンボの姿が間近で見られた!などの、生活する中でおこったちょっとした出来事でも良いです。足りていることに目を向けてみると、なかなかおもしろい日だったことに気が付くかもしれません。万が一、何も思い出せなかったら、何事もなくおだやかな一日を送れたことにホッとしてください。
夜のピッタの時間帯の睡眠と耳マッサージ
どうもイライラしてしまうのは、寝不足が原因かもしれません。特に夜の10時から2時はピッタが優勢になる時間帯です。すでにお伝えしたようにピッタは知性と関わりが深く、この時間帯に寝ていると“知性の消化”が進みます。現代的に表現すると、脳が情報処理をするわけです。夜10時の就寝はなかなか難しいかと思いますが、日付が変わらないうちに、せめて今日中にベッドに入ることを心がけてください。頭をたくさん使った日は、まだまだ興奮していて寝つきづらいかもしれませんので、耳のマッサージがオススメです。耳たぶをゆっくり揉んだり、耳の中に気をつけて指を入れ、指の腹を使って内側の壁を押したりしてください。これは日中にイライラがやってきた時のクールダウンとしても、目を閉じながら活用してください。
AUTHOR
HIKARU
アンダーザライト ヨガスクール リードトレーナー、全米ヨガアライアンスE-RYT500、YACEP認定講師、シヴァナンダヨガ正式指導者。アーユルヴェーダ・ヒーリングコンサルタント(日本アーユルヴェーダスクール認定)、Ayurvedic Medicine Practitioner(米国補完医療大学発行)など各資格を取得。AyuSya(アーユシュヤ)にて、ヨガとアーユルヴェーダの叡智を統合させたセルフケアの方法を提供する。著書に「やさしいヨガ」「HIKARUの楽しいヨガ」「はじめての楽しいヨガ」「はじめてのアーユルヴェーダ」(主婦の友社) www.ayusya.jp
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