ユラユラ揺らすだけで股関節が柔らかくなる?理学療法士が勧める「ジグリング」とは
股関節が硬いのは生まれつき、もう絶対に柔らかくなることはないと思っていませんか?今回は理学療法士でヨガインストラクターの堀川ゆきさんに、股関節を柔らかくする方法をご紹介いただきます。
股関節が硬いと全身に影響する
股関節の硬さを自覚していて、ヨガの際に「もっと股関節が柔らかかったらな」と感じている人も多いでしょう。
実際、股関節は人体で最も大きな関節で、重い上半身を支える安定性と、歩行をはじめとするいろんな動作を実現するための可動性も必要な、とても重要な関節です。
股関節が硬いと、骨盤や腰椎の可動性に影響して、脊柱全体から更に腕の動きの土台となる肩甲骨にも波及したり、股関節から膝関節・足関節など下半身の遠位の関節にも影響して、パフォーマンス全体が下がってしまうことが考えられます。
ストレッチで柔らかくなるとは限らない
「ヨガを続けるうちに柔らかくなっていきますよ」と、インストラクターには決まり文句のように言われると思います。その通りではあるのですが、股関節の硬さを克服するまで、ヨガを続けるモチベーションを維持できなければ、結局柔軟性は改善されないままに終わってしまいます。
股関節の柔軟性を上げるために、ヨガのポーズに含まれるようなストレッチを行うことは効果的です。しかし、ストレッチを正確に行えていない人が大半です。股関節のストレッチ法については以前の記事「理学療法士が教えるヨガ前のタオルストレッチ」で詳しくお話しています。ストレッチが正しく行えていないと、柔軟性が高まるどころか股関節を傷めてしまうリスクも出てくるかもしれません。
そこで今回は、ストレッチよりもずっと簡単で分かりやすい「ジグリング」というエクササイズを紹介します。股関節のストレッチを行う前の準備体操のようなつもりでぜひ行ってください。
「ジグリング」とは
「ジグリング」(jiggling)とは、貧乏ゆすりに似た運動で、股関節や膝関節を自分で小刻みに動かすことです。行儀が悪いと言われている貧乏ゆすりが、まさにジグリングの代表的なエクササイズです。1970年代にSalterらがジグリングの概念を提唱しました。細かい振動により繊維軟骨が再生されて骨の表面が覆われ、関節がスムーズに動くようになると考えられています。医療現場では自動ジグリング器を用いているところもあります。
ジグリングの効果は、
・変形性股関節症・変形性膝関節症の関節裂隙の開大
・軟骨再生
・痛みの寛解
などの研究報告や、
・血液循環の改善
・筋肉の疲労の軽減
・関節や姿勢などアライメントの歪みの解消
・筋肉の張りや硬さの軽減
・身体の脱力
・エコノミークラス症候群の予防
・ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の改善
などの効果が考えられますが、エビデンスはまだ多くはなく今も研究が続けられています。
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