鳩のポーズができない原因は?体の「硬い部分」でわかる「鳩のポーズ」上達練習方法

 鳩のポーズができない原因は?体の「硬い部分」でわかる「鳩のポーズ」上達練習方法
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櫻井麻美
櫻井麻美
2019-12-02

鳩のポーズは、「やってみたい憧れのポーズ」として挙げられることの多いポーズ。一方で「苦手」「やってみたいけどできない」という声も多く聞かれます。なぜ鳩のポーズができないのでしょうか?まずは「鳩のポーズができない理由」を理解することから始めましょう。「できない理由」から探る、オススメの鳩のポーズ練習方法をご紹介します。

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鳩のポーズとは

鳩のポーズ できない
photo by fizkes(canva)

鳩のポーズとは、後ろに伸ばした足先を手でつかむ後屈のポーズ。いわゆる上級ポーズで、体の様々な部分の柔軟性が高く求められるポーズの一つです。ベーシックなポーズで一つ一つ体の動きをしっかり練習してからチャレンジするのがおすすめ。焦らずじっくりポーズを完成させましょう。

鳩のポーズの効果

体の前面を大きくストレッチできる

鳩のポーズでは、大きく体を反らせていくことで体の前側全体をストレッチする効果があります。普段の姿勢ではなかなかない動きだからこそ、体全体の様々な場所へアプローチすることができるポーズです。

姿勢改善効果

特に胸をたっぷり広げることで、猫背姿勢などの日常の中での不良姿勢を改善する効果も期待できます。デスクワークや手元での作業が多い人にぴったりのポーズです。

呼吸を深くする

胸を広げて肋骨の間の筋肉も伸ばすことで、呼吸をする時に動く胸郭の可動性を高めることができます。胸郭の可動域が増えることで、浅くなりがちな呼吸を深くすることができます。

自律神経バランスを整える

自律神経は緊張をつかさどる交感神経と、リラックスをつかさどる副交感神経から成り、交互にバランスを取りながら私たちの体を維持しています。ストレスなどが強くかかると交感神経優位となり、感情が高ぶったり寝つきが悪くなったりと体にも影響を及ぼしてしまいます。ゆったりとした呼吸は副交感神経を優位にすることができるので、呼吸が深くなることで乱れがちな自律神経のバランスも整いやすくなります。

鳩のポーズを行うのに柔軟性が必要な場所

上級ポーズほど様々な場所の柔軟性が求められますが、鳩のポーズでも上半身・下半身両方の筋肉を総動員します。主に柔軟性が求められる場所を解説します。

腹筋と胸筋

まずお腹と胸の筋肉。お腹や胸の前側の筋肉が硬いと体が後ろに反ることができません。背骨の動きをしなやかにするためには、そこに関係している筋肉の柔軟性が欠かせません。後屈系ポーズの場合は、体の前面部の筋肉が硬いと体が動きにくくなってしまいます。

鼠径部

足を後ろにしっかり伸ばして骨盤を立てるためには、後ろ足の鼠径部の筋肉の柔軟性が必要です。腸腰筋と呼ばれるこの筋肉の柔軟性が足りないと、骨盤が前に倒れてしまい、バランスを保ちにくくなったり腰を過度に曲げてしまう原因になります。

ももの前側

足を後ろに伸ばし膝を曲げる姿勢では、後ろ足のももの前側の筋肉が大きくストレッチされます。ここの柔軟性が足りないと、膝が曲がりにくかったり骨盤が前に倒れてきたりして、ポーズ保持が難しくなってしまいます。

おしり

前に曲げているおしりの筋肉が硬いと、骨盤が地面から浮いてきてしまい安定感を失ってしまいます。左右に傾いてしまい、胸を十分に開くことができません。

腕、肩

上に手を挙げて後ろで足をつかむので、手を大きく後方へ持っていく必要があります。そのためには、腕や肩の柔軟性が必要です。ただ、手が上がりにくい原因として胸や背中側の筋肉が関与している場合もあるので、上半身全体に総合的にアプローチしていく必要があるでしょう。

鳩のポーズで注意したいポイント

鳩のポーズで注意したいところは、ずばり腰!後屈系ポーズ全般に言えることですが、腰ばかりを反りすぎていては、負担がかかり痛めてしまう原因に…実際に後屈ポーズで腰を痛めてしまうケースは沢山あります。大切なのは、お腹の力をうまく使って胸を広げること。ヨガでいう「バンダ」をしっかり使います。

お腹を薄くするように、奥の方の筋肉を意識してみましょう。そして、お腹の意識を保ちながら後屈を深めます。つまり腰ではなく、胸をしっかり広げて後屈します。腰で反っている時よりも、体は後ろに倒れにくくなり難しく感じるかもしれませんが、ケガの防止のためにもお腹の奥をしっかり使って練習をしてみましょう。

鳩のポーズができない原因

鳩のポーズは様々な場所の柔軟性が求められます。悩みごとに原因を考えてみましょう。

腰が痛い

鳩のポーズを無理にやってしまうと腰が痛くなってしまいます。それは、腰部分の背骨である腰椎が過度に反ってしまっているからかもしれません。後屈のポーズでは基本的に腰椎だけを動かすのではなく、胸の部分の背骨である胸椎を反らせます。ですが、胸椎には肋骨がついているので動きにくく、何も制限のない腰椎が動きやすいのも事実。その結果、腰を大きく反ってしまい痛めてしまうのです。その場合は、しっかり腹部の奥の筋肉を意識し、腰椎を保護しながら胸椎を反らせていきましょう。お腹を薄くするように力を入れて、背骨を伸ばすように意識しながらポーズを取るように心がけてみてください。

または、背中側の筋肉が過度に緊張している可能性もあります。体の前側の筋肉の柔軟性が十分あれば、容易に体を反ることができますが、前側の筋肉が硬い場合、体を反るために背面の力を必要とします。その結果、過度に背中側の筋力を使ってしまい、筋肉を痛めてしまうこともあります。お腹の筋肉や胸の筋肉の柔軟性を高めるストレッチなどを取り入れてみましょう。

手が届かない

手を後ろに伸ばしても、なかなか足がつかめない…足を手でつかむためには、しっかり後屈を深める必要があります。まず上半身では胸を大きく広げ、体を後ろに倒すことが必要です。手を大きく後方へ伸ばすことも求められます。下半身では後ろ足は大きく後ろに伸ばし、そこからひざを曲げて足先を手に近づける必要があります。これらのどれか、またはすべてがうまくいかないと手で足をつかむのが難しくなってしまいます。原因となる上半身や下半身の筋肉の柔軟性を高める必要があるでしょう。

膝が曲がらない

後ろの足の膝が曲がらないのは、ももの前側の筋肉の柔軟性不足が考えられます。骨盤もまっすぐ立ちにくく、前に倒れがちになりやすいので、腰の反りすぎにも注意が必要です。前足の膝が曲がりにくい、安定しにくい場合は、おしりの筋肉が硬いのかもしれません。それぞれストレッチなどで、柔軟性を高めましょう。

体が倒れてしまう

体が前に倒れてしまいそもそも起き上がることが難しい状態は、後ろ足の鼠径部やももの前側の筋肉が硬い可能性があります。鼠径部が硬いと、足を十分に後ろに広げられず、骨盤を地面に対して垂直に立てることができず、前に倒れてしまいます。その結果、上半身も前に倒れてしまうのです。おしりが浮いて体が安定せずに倒れてしまう、横に倒れてしまう場合は、前足側のおしりの筋肉が硬いことが原因と考えられます。それぞれ硬い部分は柔軟性を高めるストレッチなどをしましょう。

肩が痛い

手を後ろに持っていくときに肩が痛いのは、肩や腕の柔軟性不足も考えられますが、肘を上に持ち上げる動きには背中や胸の筋肉も関連しているので、上半身全体にアプローチする必要があります。また、肩や腕の問題ではなく、後屈が十分にできていないことが原因のケースも。後屈が深まれば、手を後ろに少し持っていくだけで足先に手が届きますが、後屈が浅い場合は、その分手を大きく後ろへ伸ばす必要があります。その結果、可動域以上に手を動かすことで肩に痛みが生じているのかもしれません。どちらにしろ、肩や腕だけでなく、後屈をより深められるように上半身全体をバランスよく柔軟性アップさせる必要があるでしょう。

ももの前側が痛い

後ろに伸ばした足のももの前側が痛いのは、ももの前側の筋肉が強くストレッチされていることが原因でしょう。硬い筋肉を無理やり引っ張ると、痛みを感じるだけでなく、縮まる力を強めてしまうことでストレッチ効果が半減してしまいます。自分の体の状態に合わせたところまで軽減したり、難易度の低いアーサナやストレッチから初めて徐々に体を慣らしていきましょう。

ももの後ろがつる

後ろの足の膝を曲げたり、体に引き寄せようとしたり、手に近づけようと力を入れると、ももの後ろがつってしまうことがあります。これも過度にももの後ろの筋肉を使ってしまうことが原因として考えられます。ももの前側の筋肉の柔軟性が十分にあれば、膝を曲げるのにそこまで力はいりません。ですが、ももの前側の筋肉が硬いと、その分後ろ側の筋肉の力が必要となり、結果として強く筋肉を縮めすぎてしまいつってしまうのです。つってしまったら応急処置として、ももの後ろの筋肉のストレッチをしてあげましょう。つらないようにする根本的な解決は、ももの後ろの筋肉をそんなに使わないで済むように、前側の筋肉を柔らかくすることが必要です。

首の後ろが痛い

体を反らせていくときに首の後ろに痛みを感じるのは、首を過度に反らせていることが考えられます。確かに背骨と合わせて頭も後ろに倒していきますが、背骨の延長線上に頭蓋骨が来るように意識しましょう。上を向きすぎると、首だけが後ろに反ってしまいます。しっかり首の前側の筋肉を使いながらコントロールしつつ後ろに倒すようにしてみましょう。

できない原因別・鳩のポーズ上達練習方法

鳩のポーズができない原因別の上達方法をご紹介!体の部分ごとに大きく5つに分けて練習しましょう。

おしりのストレッチ

前側の足のおしりが硬く、体が浮いて安定せずに体が倒れてしまう、前足の膝をうまくセッティングできない人におすすめのストレッチ。

・薪のポーズ

薪のポーズ
薪のポーズ

やり方

1.右足を下に重ねたあぐらの姿勢になる

2.左足の外くるぶしを下側の右足のももの上に乗せる

3.さらにいけそうであれば左足の外くるぶしを右ひざまで移動させる

4.下側の右足も内くるぶしを左ひざの下まで移動させて両足のすねが重なる状態にする

5.そこから体を前に少しずつ傾けて前屈する

6.足を入れ替えて反対側も同様に行う

鼠径部のストレッチ

腰を反りすぎて痛くなる、手が届かない、後屈が深まらないまま無理やりポーズを取ることで肩や首が痛い人におすすめのストレッチ。

・三日月のポーズ

三日月のポーズ
三日月のポーズ

やり方

1.よつんばいから右足を大きく一歩、手の間に踏み込む

2.上半身を持ち上げて骨盤に手を添えながら、会陰部と腹部を引き締めるようにお腹を薄く上に引き上げる

3.地面から垂直に立った骨盤を保ちながら、前足に少しずつ踏み込む

4.骨盤が傾き腰が反り始めたら、骨盤を垂直にキープできるところまで戻る

5.両手を上に持ち上げ、体の前側を広げるように呼吸する

6.足を入れ替えて反対側も同様に行う

ももの前側のストレッチ

鼠径部のストレッチ同様、腰を反りすぎて痛くなる、手が届かない、後屈が深まらないまま無理やりポーズを取ることで肩や首が痛い人に。また、ももの前側が痛い、ももの後ろがつる、後ろ足の膝が曲がらない人にもおすすめ。

・仰向けの英雄のポーズ

仰向けの英雄のポーズ
仰向けの英雄のポーズ

やり方

1.正座の姿勢から、かかとを左右に開き間にお尻を落とす割座の姿勢になる

※膝が痛い場合は無理に行わず、お尻の下にブロックなどを入れて高さを出すか、片足ずつ行う

2.手を後ろにつきながら少しずつ体を後ろに倒す

※ももの前側が痛かったり、腰が反ったり、膝が浮いたりする場合は、その少し手前の心地よいところで上半身の動きを止める

3.さらにいけそうであれば、肘を床につき、背中まで床に下ろす

体の前面のストレッチ

鼠径部やももの前側のストレッチ同様、腰を反りすぎて痛くなる、手が届かない、後屈が深まらないまま無理やりポーズを取ることで肩や首が痛い人に。腰を反るのではなく、胸を広げる意識で必ず行う。

・コブラのポーズ

コブラのポーズ
コブラのポーズ

やり方

1.うつ伏せの姿勢で手の平を下向きに肩の下あたりに置く

2.足は両足後ろに伸ばし、両足をつけるか腰幅くらいに置く

3.おでこを床につけながら首の後ろを伸ばし、お腹をへこませるように地面から離し、恥骨を床につける

4.顎を引きながら上半身を少しずつ持ち上げる。腹部は億を意識したまま、みぞおちを斜めに引き上げるように、胸を広げる意識で

5.最後に頭を背骨の延長線上に置く

腕、肩、上半身のストレッチ

上半身の後屈をしっかり深めることが優先ですが、手が後ろに届きにくい人におすすめのストレッチ。痛みのない範囲で行うようにして。下半身はおしりのストレッチにもなるので一石二鳥!

牛面のポーズ

牛面のポーズ
牛面のポーズ

やり方

1.両足を伸ばした長座の姿勢から、右氏の膝を立てて伸ばした左足をまたがせる

2.左足も膝を曲げて左かかとを右のおしりに近づけるようにして足を組む

3.左手を上に伸ばし、肘を曲げる

4.右手は下から回し、背中側で左手をつかむ

5.手がつかめない場合はベルトなどを使ってサポートする

6.左右を入れ替えて反対側も同様に行う

まとめ

鳩のポーズは様々な部分の柔軟性を問われるポーズです。ひとつひとつの体の部分ごとに、丁寧に練習を重ねてみてください。痛みや違和感があるままやり続けるとケガをしてしまうこともあります。自分の体に意識を研ぎ澄ませながら、体のコントロールを練習しましょう。また、それが必要だからこそ上級ポーズでもあるのです。見た目にとらわれずに、体の感覚を感じながら挑戦してみてくださいね!

ライター/櫻井麻美
大学在学中に世界一周をし、卒業後は日本各地に住み込みで働く。既存の価値観の中で生き方を考えることに違和感を感じ、自分はどうやって生きるのか?何をして生きるのか?について考えはじめる。20歳の頃にヨガに出会い、ヨガの哲学の部分に触れ、共感。第一子出産後インストラクター資格取得。ヨガを通じて様々な人により心地よい生活を送ってほしいという思いを持ち、ヨガスタジオ、スポーツクラブ、助産院、公民館、児童館、出張ヨガなど様々な場所でレッスンを開催中。講師養成講座も担当している。IHTAヨガインストラクター2級/IHTAヨガインストラクター1級/全米ヨガアライアンスRYT200取得/E-RYT/YACEP®️/IHTAマタニティヨガインストラクター/YOGAed.キッズヨガPI1修了/IHTAベビーマッサージ初級講座修了

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text by Asami Sakurai



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