眠る前の【ネガティブ思考】はどこから来るの?改善法は?【ヨガと睡眠 ♯7】

 眠る前の【ネガティブ思考】はどこから来るの?改善法は?【ヨガと睡眠 ♯7】
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井上敦子
井上敦子
2019-06-26
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潜在意識とヨガ

潜在意識について、もう少し詳しく説明します。私たちの成り立ちを、木に例えて考えてみましょう。行動や思考など表面に現れている部分は、木に例えると幹や枝葉にあたります。その目に見えるものを支えている部分、木に例えると根の部分が潜在意識です。潜在意識が根となり、思考や行動を作り出しているのです。一見バラバラに見える思考や行動も、同じ根を持っているということ。ですので、抱えている問題を解決しても同じ種類の問題がまた起こる場合、その根となっている部分が変化しない限り根本的な解決にはなりません。また、ネガティブな思考や行動を繰り返してしまうのも、その根に原因があると考えられます。潜在意識は、私たちの思考や行動、感情など表面に現れる全てのものの根っことなっているのです。

潜在意識は、私たちが生きてきた全ての記憶の蓄積だといわれます。思い出すことも出来ないような幼少期の記憶や、忘れてしまった些細な出来事も、潜在意識には刻まれています。それはよく、氷山に例えられます。海面から上の見えている部分が、顕在意識。そして、海面から下の水中に隠れている部分が潜在意識。氷山の見えている部分は、氷山の一角と言われるように、氷山全体からするとごく一部にすぎません。大部分は海面下にあり、見ることが出来ないのです。一説には、顕在意識が10%(もっと少ないという説もあります)、潜在意識が90%だと言われるので、私たちが認識出来ている部分というのはほんのわずかだということになります。

客観視するヨガの練習で、自分を根から変えよう

では、潜在意識に潜む膨大な記憶の蓄積をどのように整理整頓し、またどのようにクリーニングしたらよいのでしょうか?私の知る限り、ヨガは自分を根本的に変化させることの出来るとても優れたツールです。ヨガの実践は、まずは身体の浄化から始まり、練習の深まりと共に更なる内側の浄化へと進みます。ヨガの教科書といわれる『ヨガスートラ』では、ヨガの練習の過程を8段階で示していますが(八支則の教え)、身体の練習(アーサナ)のあとに続いていくのは、プラティヤハラ以降の意識の練習です。つまり、瞑想やヨガニードラといった練習が、内側の浄化(潜在意識の浄化)に繋がっていくのです。

ヨガニードラでは繰り返し、今の自分の状態を観察する練習をしていきます。その過程で、身体や心を客観視する力を養っていくのです。客観視するという練習は、言い換えれば、『そこにあるものに目を向け気が付く』練習です。あるけれど、見えていなかったもの。ちょうど眠る前に湧き出てくるネガティブな思考のように。ストレスに気が付く、ネガティブ思考に気が付く、喜びや悲しみといった感情に気が付く。そして、気が付いたものに良い悪いといったレッテルを貼らず、そのまま『そこにある』ということだけを認識していきます。認識は、解放の第一ステップです。あることを『そこにある』のだと認めたときから、浄化や解放は始まります。

その変化は、とても繊細なものです。魔法のように、急にネガティブな思考が消えてなくなるというわけではありません。しかしながらこのゆっくりとした変化は、とても着実で力強い変化です。ぜひ、焦らずにじっくりとヨガの練習を重ね、一つ一つの些細な変化を味わいながら進んで下さい。眠る前に少しでも安らかな気持ちになることが増えたらそれを喜び、寝起きに前向きな気持ちになる日があればそれを喜び、ネガティブな思考が湧いてきても悲観をしない。山を登りながらその景色を味わうように、ヨガの練習の過程を味わいましょう。結果を急がずに、練習を続けましょう。いつか立ち止まって来た道を振り返ったとき、ヨガの練習の積み重ねが着実に自分を根っこから変化させてくれたという実感が得られるはずです。

ライター/井上敦子
15年間の会社員生活を経てヨガ講師に転身。不眠症をヨガで克服した経験を持つ。リラックスが苦手だった経験から、ヨガニードラを通じてリラックスの本質を伝えるクラスを展開。週に8本のヨガニードラのレギュラークラスを持つ他、指導者養成講座やコラム執筆等ヨガニードラの普及に努めている。Instagram:@yoga_atsuko.inoue 

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