世界的ヨガ指導者に聞くヨガレッスンのつくり方|シンディー・リー氏の場合
STEP5:後屈と逆転
ここでは床をプロップとして利用して、動きの始め方を統合するほか、大腿骨に対する骨盤の正しい位置を理解する。また、腕と脚がどのように脊柱を支えているのか観察する。
重要な動き
34.杖のポーズ
手のひらを太腿の前面に当てる(意識の向け方①)。足を上げずに、背中を丸めて体を下ろす。体の前面が背面に入っていくとイメージして動く。
35.橋のポーズ
肩と手と足を押し下げて、へそから体を上げていく(押し込む動きと傾ける動きを拮抗させることと、意識の向け方④を意識する)。多くの人が骨盤を押し込んで尾骨から体を引き上げるものと誤解しているが、骨盤を押し込むと脊柱を後屈させられない。骨盤を押し込まなければ、太腿に外旋が生じて脚を正しく使うことができる。
36.ラクダのポーズ
足の指を押し下げて胸部を引き上げる。また、太腿の前面を太腿の裏側に引きつつ、骨盤を「押し込まない」ようにすると、腰を支えて保護することができる(意識の向け方①)。骨盤を押し込まないこと、これが私たちが発見した「NG」だ。
38.壁に脚を上げるポーズ
体を押し下げながら、脚を引き上げる(意識の向け方④)。肩と腕と手のひらを押し下げて、胸部を開く。ブロックを使ったポーズから出るためには、片足ずつ床に下ろす。足が触れ合う瞬間を感じとろう。
33. 英雄のポーズのバリエーション
手首を回転させる腕を肩の高さまで上げて両手首をつけ、そのまま手首を両方向に5 回ずつ回転させる
34.ダンダーサナ(杖のポーズ)のバリエーション
背中を丸くしながら床に下ろす滑らかに呼吸しながら体を下ろす
35.セツバンダーサナ/橋のポーズ
10回呼吸する間保つ
橋のポーズの軽減ポーズ(足首を膝にのせる)
へそから引き上げてこのポーズに入る練習をしよう(肩と腕と手を押し下げて、胸部を広げる)。骨盤を左右対称に保ち、片方の太腿を付け根から外旋させながら天井に向かって伸ばす。次に、上になる脚の膝を外側に曲げ、足首を反対の脚の膝にのせる。この脚の状態は、シークエンスの橋のポーズと同じなので、バランスを気にせずに動きを刻み込むよい機会になる。反対側も同様に。
36.ウシュトラーサナ( ラクダのポーズ)のバリエーション
ブロックを2つ使う 3〜5回呼吸する間保って、息を吸いながらポーズから出る3回繰り返す
37.腹部のねじりのポーズのバリエーション
ボルスターを使う 息を吐きながらねじり、息を吸いながら戻す左右それぞれ8回繰り返す
腹部のねじりのポーズの代わりに>腹部のねじりのポーズのバリエーション(足首を膝にのせる)
仰向けに寝て、左脚を真上に伸ばし、太腿の付け根から外旋させて、4の字をつくる。息を吸いながら、右側にねじって、無理がなければ左足をブロックか床に下ろす。上の膝を押して開かないこと。膝を今の位置においたまま、床に重みをかける。体が開いていく様子に注意を向ける。5回呼吸する間この姿勢を保ったら、息を吸いながら体を中央に戻す。反対側も同様に行う。
38.ヴィパリタカラ二(壁に脚を上げるポーズ)のバリエーション
壁を使わずに行う 1〜5分間または10回呼吸する間保つ
STEP6:ヨガへの信頼
サンスクリット語で練習、実践のことをサーダナという。私はこれを「信頼すること」だと解釈している。シークエンスのこの部分では、ヨガという過程を信頼する。アイアンガー氏の言葉を思い出して、ただリラックスして、動きがもたらす結果に心を向けよう。こうすると、あらゆるものをコントロールする必要がないことに気がつく。つかんでいるものを文字どおり手放して、この素晴らしいヨガの練習を信頼しよう。
40.亡骸のポーズ
太腿にボルスターを置くと、太腿がしっかり落ち着く(意識の向け方①)。また、ボルスターの重みが、手放すことと関係のある下向きのエネルギー、アパーナを高めるのに役立つ。
瞑想をするときには、目を開けて目線を下に向け、自然な呼吸をしよう。呼吸法とは違って、呼吸を操作しないこと。呼吸の感覚に意識的に心を集中させる。心が呼吸から逸れたことに気づいたら(心が逸れること自体はまったく問題がない)、静かに、しかししっかりと心を再び呼吸に向ける。瞑想は心を特定の状態に保つことではなく、心を覚醒させて、自分を解き放ち、元の状態に戻ることである。
39. 前向きな休養
大切な人(自分自身)を抱きしめて、1〜2分間休む腕を入れ替えてやはり1〜2分間休む
40. シャヴァーサナ(亡骸のポーズ)のバリエーション
ボルスターを使う 10分間休む
41. スカーサナ/安楽座
この姿勢で5〜10分間瞑想する
頂点ではないピークポーズ
ヨガのレッスンですべてのピースをまとめていって、複雑なポーズに組み立てていくのは楽しいことです。複雑なポーズの多層的な面に挑むためにはたくさんのことを調整しなければなりません。それは楽しい挑戦になるはずです。ただ、一日の終わりに行うヨガは、山頂に登ったり、何らかの頂点に達したりするのを目指すものではありません。一日の終わりのヨガは、落ち着きと一体化を求めるものです。ヨガは自分のすべてを取り込むのに役立ちます。あまり好きでない部分も、大好きな部分も、自分の気難しさや、恐れ、嫉妬など、まだ受け入れる勇気を持てない部分も含めたすべてをです。特定のポーズに入ることに集中しすぎると、特定の部分を過度に伸ばして酷使してしまいます。特定の結果に執着してしまうことは言うまでもありません。ヨガは仕事とは違います。ヨガは長期的に取り組むもので、一生続く可能性もあります。ヨガによって無数の経験を得られます。その多くは予想もできなかったものです。ですから、何らかの頂点を求めずに、探求し続けていきましょう。複数の動きがどうやってポーズをつくり上げるのか観察しましょう。そして、その経験が消失して終わるのを感じてみましょう。私たちは非永続性という真理を学んでいるのです。あらゆるものが生じては通り過ぎていくのですから、それがここに存在する瞬間に味わうことに心を配りましょう。
指導&モデル/シンディー・リー
欧米の女性のヨガ指導者としてはじめて、ヨガのアーサナとチベット仏教を融合させた。新刊書はニューヨークタイムズで高く評価された『May I Be Happy: A Memoir of Love, Yoga, and Changing My Mind (幸せになってもいいですか。愛、ヨガ、心の変化の回想録)』。
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