寝つきが悪い夜に「ヨガニードラ」で睡眠の質を高める方法

 寝つきが悪い夜に「ヨガニードラ」で睡眠の質を高める方法
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石上友梨
石上友梨
2019-10-21

なかなか眠れない…寝てもすぐに目が覚めてしまう…と悩むことはありますか?睡眠に悩む方はとても多いです。本日は睡眠の質を高める方法「ヨガニードラ」を紹介します。

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日本人は睡眠不足に悩んでいる!

睡眠不足はまさに国民病ともいえます。睡眠になにかしらの不満や不安を抱えている人は国民の5人に1人と言われています。朝早くから夜遅くまで仕事をしたり、長時間通勤だったり、スマホやパソコンなどのブルーライト、カフェイン、アルコール、運動不足、緊張、不安、ストレス社会などなど、私たちの日常生活には睡眠不足になる要素がたくさん潜んでいます。これだけ睡眠不足になるリスクが高ければ、しっかりと対策を取らないと睡眠不足になってしまいます。

それでは、睡眠はそもそも何のために必要なのでしょうか?

睡眠は、疲れを回復するために存在します。疲れを回復する唯一の手段が睡眠なのです。睡眠によって身体だけでなく、脳も疲れを回復します。現在社会では私たちは脳をたくさん使います。睡眠不足ということは、うまく疲れを回復できていない状態です。

睡眠不足は疲れを回復できないだけではなく、うつの原因になることもあります。質の高い睡眠は、身体も脳も回復し、うつ病の予防にもなります。

しかし、眠りたいと思ってもなかなか寝付けない時があると思います。睡眠の質を高めるためにおすすめの方法がヨガニードラです。

眠りのヨガ、ヨガニドラとは?

ニドラとは、サンスクリット語で「眠り」という意味になります。そのまま訳すと、ヨガニードラは「眠りのヨガ」となります。

眠りという名前がついていますが、本当に眠るわけではなく、意識と無意識の真ん中あたりに意識を保ちます。ヨガニードラは、心も体も深くリラックスした状態を作り出す瞑想法の一つと考えられています。睡眠の質を高め、心も体もリラックスし、全身の血流を良くし、痛みが軽減したり、自律神経やホルモンのバランスを整え、免疫機能も促進します。

ヨガニードラはシャヴァーサナ(お休みのポーズ)で行います。ヨガをやっている方にはお馴染みの、クラスの最後に行う仰向けのポーズです。慣れ親しんだポーズだからこそ取り組みやすいと思います。

ヨガニードラのやり方

環境を整える

まずは静かな環境を用意しましょう。ベットの上でも、ヨガマットの上でも、心地よく横になれる場所を用意します。頭の下に枕を置いたり、寒さを感じるようでしたらブランケットなどを用意しましょう。突然人から声をかけられないようにしておくことも大切です。

姿勢を整える

仰向けの姿勢になります。足先は肩幅より広く開き、足首の力を抜きます。両腕は身体の外側にダランと離し、手のひらは上向き、脇の下は拳一つ分ぐらいスペースを作ります頭を左右にコロコロと揺すって心地よいところを探し動きを止めます。肩が上がっていることに気づいたら、肩を下げましょう。準備ができたら優しく目を閉じます。

呼吸に意識を向ける

まずは、呼吸に意識を向けていきます。なるべく鼻呼吸・腹式呼吸で、自然な呼吸を続けていきます。お腹の膨らみや、空気の出入りなど、呼吸に関することに意識を向けます。気持ちが落ち着いてきたことを感じたら、次のステップに進みます。

身体のパーツに意識を向ける

次は身体のパーツに意識を向けていきます。身体全体に意識を向けるのではなく、パーツ一つ一つ順番に意識を向けていきます。まずは、左足の足裏から始めます。足の裏にはどのような感覚がありますか?温かさや冷たさ、痛いやかゆみ、緊張やだるさ、しびれ、どのような感覚でも良いので、気づき受け入れていきます。何も感じない場合もあります。もし、不快感を感じたら、吸う呼吸で新鮮な空気を届け、吐く呼吸で不快感を一緒に吐き出すイメージを送ります。

左足の裏から始め、足首、ふくらはぎ、膝、太もも、同様に右足、お尻、お腹、背中、胸、と段々と意識を上に向けます。顔のパーツは神経が細かいため、あご、舌、喉、顎関節、頬、鼻、目、耳、こめかみ、眉毛、眉間、おでこ、頭のてっぺんと細かく観察します。

重さを意識する

次は、身体の重さに意識を向けます。まずは左足に意識を向けます。吐く呼吸に合わせて、緊張がほぐれ、だんだんと左足が重くなります。重くなるたびにリラックスし疲れが抜けていきます。次は右足です。右足も吐く呼吸のたびに重くなり、ベットに沈み込んでいきます。そのまま、左腕、右腕、お腹、肩周り、頭と続けます。

温かさを意識する

次は、身体の温かさに意識を向けます。まずは左足に意識を向けます。吐く呼吸に合わせて、だんだんと左足が温かくなります。足の裏を中心にじんわりと温かさが広がっていきます。右足も同様です。次は左手です。吐く呼吸に合わせて、だんだんと左手が温かくなります。手のひらを中心にじんわりと温かさが広がっていきます。そのまま右手、お腹、肩周り、頭と続けます。

ゆっくりと目覚める

最後に少しずつ身体を目覚めさせていきます。手足の指先を開いたり、閉じたり、少しずつ力を入れていきます。頭を左右にコロコロ、膝を立て足を左右にパタパタと倒します。左右どちらかにゴロンと身体ごと倒し、ゆっくりと頭が最後になるように起き上がりましょう。準備ができたら、ゆっくりと瞬きをしながら、両目を優しく開きましょう。

ヨガニードラの間に眠ってしまっても大丈夫か?

古典的なヨガニードラでは眠らないようにと教えられています。古典的なヨガニードラは、必ず夢や願いを設定してから行います。ヨガニードラ中の意識と無意識の狭間の部分に自分の願いを深く刻み込むことで、願いが叶いやすくなるという自己暗示的な効果もあります。自分の内なる声に耳を傾け、本当の願いを知り、受け入れていくような作業は、完全に眠っていては難しいかもしれません。しかし、現在はヨガニードラを、寝つきを良くすること、リラクゼーション目的でやる場合も多いかと思います。「眠ってはダメだ!」と思いながら緊張してヨガニードラを実践するよりも、「眠ってしまうのは、体が疲れているというサインかも」と、良し悪し判断せず、そのまま受け止めるマインドフルな気持ちでやってみることもおすすめです。

ライター/石上友梨
臨床心理士/公認心理師 大学・大学院と心理学を学び、警視庁に入庁。職員のメンタルヘルス管理や、心理カウンセリング、スポーツ選手へのメンタルトレーニングなどを経験。ヨガや瞑想を本場で学ぶためインド・ネパールへ。全米ヨガアライアンス200取得。現在は認知行動療法をベースとした心理カウンセリング、セミナー講師、ライター、ヨガインストラクターなど、活動の幅を広げている。また、発達障害を支援する活動にも力を入れている。

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