補助具でポーズを深めよう|8つのポーズで学ぶセルフアジャストメント

Jeff Nelson  

補助具でポーズを深めよう|8つのポーズで学ぶセルフアジャストメント

プロップス(補助具)を工夫して使うと、ヨガクラスで受けるようなアジャストメントを自分でも実践できる。プロップスは自分専用のアシスタントだ。ニューヨーク在住のアイアンガーヨガのシニアティーチャー、キャリー・オワーコと、ブルックリンのMalaYogaの創立者であるアンジェラ・クラークとステフ・クリチュロによる、セルフアジャストメントのためのプロップスのユニークな使い方を紹介しよう。

8つのポーズで学ぶセルフアジャストメント

ヴィーラバッドラーサナⅠ(戦士のポーズⅠ)

●ゴール:前に出している脚の太腿前面とヒップポイント(骨盤前部の出っ張り部分)の間にスペースを生み出す。
●方法:前の脚の膝頭の真下にブロックを添えて、すねで壁に向かってブロックを押す。
●効果:ヒップポイントの前面が引き上がって大腿骨から遠ざかり、骨盤が安定する、とクリチュロは言う。

ヴィーラバッドラーサナⅠ(戦士のポーズⅠ)
Photo by Jeff Nelson

ヴィーラバッドラーサナⅡ(戦士のポーズⅡ)

●ゴール:股関節が沈みすぎないようにし、正しい腰の位置を見つける。
●方法:ヨガチェアの座面に太腿をのせてポーズを行う(さらに高さが必要な場合はほかのプロップスも用いる)。
●効果:椅子を使うことで、後ろの足の外側でマットを押しやすくなるため土台が安定し、脚の筋肉と大臀筋を強く使って体を引き上げることができる、とクラークは言う。また、前に出している脚の大腿四頭筋が活性化するので、大臀筋などのほかの筋肉群も使いやすくなる。

ヴィーラバッドラーサナⅡ(戦士のポーズⅡ)
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パサーサナ(輪縄のポーズ)

●ゴール:ねじりを深める。
●方法:壁から1mほど離してブロックを置き、両足を揃えてかかとをブロックにのせる。膝を深く曲げてスクワットの姿勢になる。右手を壁について、かかとを安定させる。息を吸って左腕を上げ、息を吐きながら肘か前腕を右膝の外側にひっかける。背骨を長く伸ばしたら、右の胸骨と鎖骨を壁に向かって大きく開き、右の肩甲骨を下げる。反対側も。
●効果:ねじりを深められるだけでなく、足底筋膜(足裏を覆っている筋膜)やアキレス腱(足首の後面)もしっかりとストレッチできる、とクラークは言う。

パサーサナ(輪縄のポーズ)
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ヴルクシャーサナ(木のポーズ)

●ゴール:骨盤を安定させ、軸脚側の腰を強く使う。
●方法:膝を曲げて壁との間にブロックをはさみ、ブロックを壁のほうに押しながら太腿だけを股関節から外旋させる。軸脚側の腰の筋肉を引き締める。反対側も同様に。
●効果:この練習によってポーズを長くホールドできる、とクラークは言う。

ヴルクシャーサナ(木のポーズ)
Photo by Jeff Nelson

シャラバーサナ(バッタのポーズ)

●ゴール:緊張しがちな上背部と肩に意識を向け、余分な力を抜く。
●方法:長めのストラップを用意し、輪をつくって両足をかける。脚全体で床を押して、脚、腰、お尻、下腹部の筋肉を引き締め、恥骨を床に押しつける。両肘を曲げて、胸と上背部が床から浮くようにストラップをたぐり寄せる。肩を後ろに回し下げ、耳から遠ざける。胸を引き上げてから頭を高く上げる。
●効果:この練習の後は、ゆったりした広がりを感じるという生徒が多い、とオワーコは言う。

シャラバーサナ(バッタのポーズ)
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アルダチャンドラーサナ(半月のポーズ)

●ゴール:両肩と体の背面が板のように一直線に並ぶ。
●方法:壁のほうを向き、下になる手を椅子にのせる。上に伸ばす手の指先を壁伝いにゆっくりと上に歩かせる。指先で壁と椅子を押しながら、肩にスペースが感じられる位置を探り、姿勢を調整する。反対側も同様に。
●効果:椅子と壁を押す反動で、下になっている側の胴体が長く伸び、胴体の上部と下部が一直線上に並びやすくなる、とクリチュロは言う。また立っている脚の腰部も安定する。

アルダチャンドラーサナ(半月のポーズ)
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エーカパーダラージャカポターサナ(片足の鳩の王のポーズ)

●ゴール:肩と腰の可動域を広げる。
●方法:椅子を背にして膝立ちになる。片方の足首またはすねを椅子の座面の前につけ、もう一方の足は前に踏み出してランジの姿勢になる。片方の腕を後ろに伸ばし、上腕を外旋させて肩から長く伸ばす。手が椅子に届いたら、手のひらを上に向けて肘と胸を引き上げる。頭を反らせて、もう一方の腕も同様に椅子に向かって伸ばす。両手で椅子をつかみ、余裕があれば、手の位置をできるだけ下にずらす。骨盤の両脇を引き上げて安定させ、後ろの足に頭をつける(または近づける)。反対側も。
●効果:この応用練習では、骨盤に安定をもたらし、体側から体を引き上げることができる、とオワーコは言う。

エーカパーダラージャカポターサナ(片足の鳩の王のポーズ)
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パリヴルッタジャーヌシールシャーサナ(ねじった頭を膝につけるポーズ)

●ゴール:伸ばしている脚をマットに根づかせ、体側を長く伸ばす。
●方法:両脚を開いて座り、左膝は曲げてかかとを鼠蹊部につける。伸ばしている右脚の上にブランケットをのせる。その上に、折りたたんだ椅子をのせ、椅子の頭が太腿の付け根にあたるように置く。椅子の重さによって脚の付け根が床に安定しやすくなるだろう。右腕を外旋させて、椅子の前側の脚をつかむ。左腕は頭上から伸ばして椅子の後方の脚をつかむ。右脚の上に上体を倒しながら、椅子を利用してできるだけ上体を腰から遠ざける。足先や伸ばしている脚のほうに向かって体側を長く伸ばそう。椅子に上体が近づいたら、椅子をいったん床に下ろし、頭を支えるためのブロックを椅子の座面にのせる。再び椅子を脚の上にのせたら、椅子の上部を右腰のほうに引き込み、左右の体側を長く伸ばしながら、胸と頭を天井に向ける。反対側も同様に。
●効果:椅子を用いて体を伸ばすことで、このポーズでの安定感や広がりを感じることができる、とオワーコは言う。

パリヴルッタジャーヌシールシャーサナ(ねじった頭を膝につけるポーズ)
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トラウマを抱えた生徒を指導する際の注意

むやみに触れてはいけない

ヨガティーチャーは、すべての生徒がトラウマ(心的外傷)を抱えていると想定して、不快な記憶や感情を呼び起こさないように接したほうがよい、とほとんどの専門家が勧めるほど事態は切迫している。「生徒が不安げだったり混乱していれば、トラウマのサインだと気づくこともありますが、たいていの場合は、それほど明確にはわかりません」とOfftheMat,IntotheWorldの共同創立者で、トラウマインフォームド(トラウマ理解に基づく)ヨガのティーチャートレーニングを主宰するハラ・コーリーは言う。

またトラウマはあまりにも複雑なため、あるトラウマサバイバー(克服者)にとっては有効なものであっても、他のサバイバーにも有効であるとはかぎらないのです、とヨガティーチャーのアレクシス・マールバッハは言う。マールバッハは性的暴力の被害者と、トラウマを熟知したホリスティックヒーリングアートの施術者たちを結びつける組織、TheBreatheNetworkのメンバーでもある。「判で押したように、常にこれをしなさい、あれをしなさい、と言うのは簡単です。でもトラウマサバイバーとの接し方については、もっと臨機応変に考える必要があります」

ヨガティーチャーとして何ができるのか?

ヨガティーチャーとスタジオオーナーは、安全で開かれた場をつくり、クラスで触れられることを拒む権利を生徒たちに与える責任があります」とコーリーは言う。特にトラウマを抱えている生徒は、体に触れられたくないことを先生に言えない場合がよくあります、と彼女は説明する。「先生が気分を害するのではないかと恐れていたり、トラウマを負った詳細を話さなくてはいけないと感じているためです」。

また、「新しい生徒の多くは、アジャストメントが必須ではないことを知らないため、ヨガはこういうものだとあきらめて、アジャストメントを受けています」とコーリーは説明する。「生徒たちに『アジャストメントをされたくなければ、そう言ってください』と言っても、生徒たちは何らかの理由でなかなか言い出せすに、傷ついたり、不安になったり、ひどいアジャストメントを受けたりします。そして、必ず先生からは『嫌だと言えばよかったのに』と言われるのです」とマールバッハは言う。「それは、性的暴力の被害者が加害者から言われる典型的な言葉のひとつです。本当にトラウマを理解する環境をつくりたいなら、被害者を責めるサイクルを断ち切り、被害者にも責任があるという主張をやめるべきです」解決例としては、「スタジオ側は、アジャストメントが必須でないことを生徒たちに伝える注意書きをドアに貼っておくといいでしょう。シャヴァーサナ中は邪魔しないように、と注意を促す張り紙と同じです」とコーリーは言う。

「また、生徒たちがクラスで触れられたくない理由を説明する義務はないことを、先生たちははっきりと伝える必要があります」常に臨機応変な対応を心掛けよう。そうすれば個々の生徒のニーズに合わせられる。また、自分のアジャストメントに対する考えを振り返ってみてください、とマールバッハはつけ加える。

ぜひ自分に問いかけてみてほしい。なぜアジャストメントをするのか?それによって自分は何を得られるか?生徒は何を得られるか?アジャストメントのタイミングをどのように決めているか?生徒がアジャストメントで恩恵を受けているかどうかはどのようにわかるか?

マールバッハはいくつかの理由を挙げて、あえて生徒に触れないアプローチを提唱している。「身体的なアジャストメントを行わずにクラスを行うと、体への理解を深めたり動かす方法が決してひとつではないことを生徒たちに示すことができます。多くのティーチャーは、アジャストメントによって生徒たちを『修正する』必要があると感じています。けれども身体的な矯正や調整に対する必要性や欲望を手放すと、触れているたった一人の生徒とだけではなく、クラスのすべての生徒たちと一緒に今この瞬間にいる感覚が得られます。私たちは自分たちのエゴや、ティーチャーの役割についての偏った思い込みを手放すことができます。私たちはただ癒しの場を提供するためにいるのです。アーサナ練習はこうあるべき、という基準を押しつけるためではありません」

さらにマールバッハはつけ加える。「ヨガは本来の自分に戻るための手段です。心身の声に耳を傾け、それらが求めるものに気づき、応えるために実践するのです。身体的なアジャストメントは、自分の体を理解するには他人の助けが必要だというシグナルも送ってしまいます。私たちは自分で方法を見つけるために、すでに受け取りすぎている余分なメッセージを排除する必要があります」

8つのポーズで学ぶセルフアジャストメント
Photo by Jeff Nelson

著者/ジェン・マーフィー
コロラド州ボルダー在住のライター兼エディターでヨギでもある。

モデル/ステフ・シュワルツ
コロラド州ボルダーのヨガティーチャーで、ウルトラマラソンのトレーニング中の1999年にアシュタンガヨガに出会った。シュワルツはクラスでプロップスを利用することは生徒たちに自信を与えると考えている。「プロップスは生徒たちの呼吸をサポートし、自信を高め、可動域を広げてくれます」と彼女は言う。

Story by Jen Murphy
Photos by Jeff Nelson  
Model by Steph Schwartz   
Hair&make-up by Beth Walker
Transtation by Sachiko Matsunami
yoga Journal日本版Vol.63掲載

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