陰ヨガとは何か|忙しすぎる時に効果を発揮!陰ヨガが良い10の理由とは
休みの日にヨガをする時間なんてないと思っていないだろうか。ポーズを保つ時間を3分よりはるかに短くしても無理だと思っていないだろうか。ヨガ・メディスンで指導をしているシャノン・スティーブンズが、陰ヨガが忙しい時にもっとも適したヨガである理由を説明する。
陰ヨガがもたらすうれしい効果とは
フルタイムのインストラクターとして、クラスでの指導と個人レッスンで1日の大半を慌ただしく過ごしている私にとって、エネルギーを充電し、心と体と精神を本来の状態に戻すためには陰ヨガの練習が欠かせない。陰ヨガは内観的なヨガで、陰ヨガを行えば、内側をみつめて、どの人にも備わっている静かで落ち着いたセンターを育てる機会を得られる。陰ヨガは、静止して根気強く行う非反応的な(刺激に応じて活動を起こさない)ヨガである。陰ヨガを行えばセルフケアがうまくできるようになる。また、内側に波長を合わせることによって、自分の声をもっとよく聴けるようになる。そして、自分のことをよく理解していくにつれてもっと知恵が働くようになり、自分の内なる世界を探っていくにつれて外の世界にもっと関心をもてるようになる。
陰ヨガを行うということは、思い通りにするのを諦めることだ。疲労回復という観点からすると、今の生活ではあまりにも斬新な考え方なのだ。陰ヨガの練習では一見、特に面白いことが起きないように思うかもしれない。しかし、波長を合わせることができれば、皮膚の下のさまざまな層で生じる魅力的な出来事に出会うことができる。納得していただけないだろうか。では、他に類を見ないこの治療を実践して、受講生たちと私自身が経験した治療効果と体にいい影響を10つのポイントに掘り下げて紹介しよう。
1.陰ヨガは可動域を取り戻すのに役立つ
可動域を健全に保つためには、さまざまな筋肉が互いに滑らかに動くことができるように結合組織の層が働く必要がある。しかし、結合組織はけがや毎日の姿勢の癖、または加齢によって固まる可能性がある。すると、いわゆる癒着が生じて、ひとつの筋肉の表面と別の筋肉の表面の間の滑るような動きが制限される。これは交通渋滞のようなもので、癒着によって栄養とエネルギーの流れが全身で滞り、その結果、痛みが生じるほか、体の動きが悪くなるという影響が出てくる。筋肉と筋膜を静かに伸ばすポーズを保つことは、癒着を解消するのに役立つ。また、関節と結合組織に軽いストレスをかけると、関節と結合組織の可動域が増大する。
2.陰ヨガによって全身の組織に新たな活力がもたらされる
全身の組織は、固くなった古いスポンジのように、液体に十分浸ければ元の姿に蘇る。陰ヨガのポーズを保っている時に、体を解放してポーズを深めると、組織は伸びて潤い、しなかやかになる。よく注意してみれば、全身の組織が伸びたり、圧迫されたり、ねじれたり、押し込まれたりするのが感じられる。陰ヨガでは、まるで体からメッセージを受け取ったように感じられる。
3.陰ヨガは体への感謝の心を育む類いまれな機会だ
陰ヨガはわかりやすいヨガなので、体に意識を向けることができる。すると、私たちがいかに優れた存在であるのかわかってくる。私たちは陰ヨガを通して体の奥深くへ旅をしながら、内なる働きに波長を合わせ、呼吸機能や循環機能や内臓につながり、さらには筋肉や関節の内側の感覚にもつながっていく。このように全身の生理学的過程への意識が高まると、やがてはサントーシャ、つまり知足に近づいていくことができる。
4.陰ヨガではスピードを落とさざるをえない
陰ヨガではポーズを長時間保つことによって、静けさに浸ることができる。自分を今ここに存在させて、ポーズを保っている間に生じるほとんど感知できないような変化を経験すると、時間が開けてくる。締め切りや約束、急務、やるべきことのリストは脇へ押しやられ、休息し再生する余裕が目の前に大きく開けてくる。
5. 陰ヨガは自分を思いやることを教えてくれる
自分のあらゆる面(体、心、感情そして精神)を大切にできるということは、幸せでいるために欠かせない能力だ。陰ヨガによって、自分自身を観察し、育み、落ち着かせ、静める機会を得ることができる。ポーズを保っている間、注意深く姿勢を決めて、自分の体が発するさまざまな声に対応することは、一種のセルフケアになる。
6. 長時間ポーズを保つことで感情と向き合うことができる
私たちの体のなかには感情がため込まれている。陰ヨガを行っていると、繊細な考え、感情、記憶などがさまざまな形で表に出てくることも珍しくない。陰ヨガは、あらゆるものに対して優しく忍耐強い存在になって、反応しないためにはどうすべきか教えてくれる。感情が泡立って表面に出てくるとすれば、それは健全な状態だ。
7. 陰ヨガはストレスから立ち直るのに役立つ
ポーズを数分間保っていると、不安がかき立てられることがある。しかし、不安に優しく近づいていけば、体は順応する。陰ヨガでは諦めることがテーマのひとつになっている。状況を思い通りにしたいという欲求を諦めることは、毎日の生活にも応用できる教訓だ。人生の浮き沈みに順応し、いさぎよく変化に対処することができると、私たちはストレスを受けにくくなる。
8. 陰ヨガは副交感神経を優位にする
横隔膜を使った呼吸、つまり腹式呼吸は、副交感神経を優位にする効果的な方法だ。副交感神経を活性化させるものは体によい(ストレス、緊張、血圧、睡眠、消化、免疫機能、ホルモンなどに関してよい影響を及ぼす)と聞いたことがあるかもしれない。また、ほとんどの人が副交感神経を十分に活性化させていないこともご存知かもしれない。私たちは実際には、交感神経が過剰に働いている状態で毎日を過ごしている。重要な締め切りが次から次へと迫ってきて、切迫した状態にある。腹式呼吸はこの状態を素早く変える簡単な方法である。腹部から呼吸をしながら注意深く観察すれば、すぐに大きな変化に気づくはずだ。リラクゼーションの波が全身に広がっていくように感じるかもしれない。腹部の最も深い層が柔らかくなり、額がぞくぞくして、脳がリラックスする。まるで全身が深いため息をついたような感じだ。陰ヨガを深めていくにつれ、呼吸のペースは顕著に落ちていき、その結果、副交感神経が優位になる。つまり、リラックスモードをどんどん深めていくことができる。この段階になると内臓が、(消化、解毒、治癒、修復といった)やるべき仕事の遅れを取り戻すようになる。
9. 静寂のなかで行う陰ヨガは瞑想の準備段階だ
瞑想は必ずしも私たちが探し出さなければいけないものではない。瞑想の方が私たちを探し出してくれることがある。陰ヨガを行えば、瞑想の周波数のなかに入っていく準備が整う。自分がどのような人間なのかわかっていることはまれだ。さまざまな考えが浮かんだり心が乱れたりするために、自分自身をみつめられないのだ。私たちは陰ヨガで体を静止する機会を作り出しているのと同時に、脳から不要なものを取り除くのに完璧な状況も作り出している。そのような貴重な瞬間に、私たちは本当の自分をみつめることができる。
10. 陰ヨガによってバランスがよくなる
健康と幸せとは、バランスを取る行為にほかならない。陰陽のシンボル、陰陽太極図を見れば、白と黒の形が完璧なバランスを取って存在しているのがわかる。多くの人は極めて活動的な(陽の)生活を送っていて、静かな内向きの側面を育てる時間はほぼ皆無だ。このような生活は、時間が経つにつれて身体的にも精神的にも感情的にも私たちを消耗させる。陰ヨガの練習を通じて、バランスを取り戻し、全体を感じられるようになる。
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