漠然とした不安から抜け出すためにできる2つのこと|心の専門家が解説

 漠然とした不安から抜け出すためにできる2つのこと|心の専門家が解説
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石上友梨
石上友梨
2021-06-11

みなさんは、日々の生活の中に不安を感じることがありますか?

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私たちは、特に未来や他人のことなど、どうなるか分からないもの、よく分からないものを不安に感じやすいものです。答えが出ることは解決できますが、答えが出ないものは不安が慢性化しやすくなります。今回は不安についてお伝えしていきます。

不安とは私たちの主観に基づく感覚

そもそも、不安とは何でしょうか。不安とは私たちの主観に基づく感覚です。何か基準があるわけでもなければ、条件があるわけでもありません。私たちが不安に感じる時、身体の内側に不快な感覚を感じます。このような身体内部の感覚のことを内受容感覚と言います。具体的には、呼吸や筋肉の伸び縮み、心拍や内臓の動く感覚などの身体感覚のことです。一方で、外受容感覚とは、視覚、聴覚など五感のことを指します。

不安から抜け出すためにできること

それでは、私たちはどのような時に不安から抜け出し、安心感を感じられるのでしょうか。それは不安に伴う内受容感覚をしっかりと感じ、不快な感覚は永遠には続かずに時間が経てば改善するだろうという予測性を持てることです。身体の中の不快な感覚から目をそらさずに、身体の中の感覚をあるがままに受け入れ、この感覚は一時的なもので永遠に続きはしない、強くなったり弱くなったりするものだと、見通しを持つことが大切なのです。

1. 内受容感覚に気づく

まずは、内受容感覚に気づく練習から始めましょう。身体の感覚に意識を向ける習慣がないと初めは難しく感じるでしょう。しかし、練習するうちに段々と気づくのが上手になっていきます。コツコツと内臓などの身体の内側で得られる感覚に注意を向けていきましょう。例えば、以下の方法がおすすめです。

・腹式呼吸法

腹式呼吸をすることで、肺が広がる感覚や横隔膜が下がりお腹が膨らむ感覚などに気付きやすくなるでしょう。腹式呼吸のやり方については、こちらをご参照ください(https://yogajournal.jp/7612)

・ヨガのポーズ

半分の魚の王のポーズ」など身体をねじるようなポーズによって内臓の感覚に気づきやすくなるでしょう。また、「木のポーズ」などバランスポーズによって、筋肉の力の入り具合や伸び縮みなどの身体感覚に気づきやすくなるでしょう。

・マインドフルネス瞑想

マインドフルネス瞑想によって、呼吸や呼吸に伴う身体の膨らみや縮み、横隔膜の上下運動など身体感覚に気づきやすくなるでしょう。また、内受容感覚には、脳の「島皮質」という部位が関連していると言われています。マインドフルネス瞑想によって、島皮質が活発化することから、マインドフルネス瞑想を実践することが有用でしょう。

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石上友梨

石上友梨

大学・大学院と心理学を学び、心理職公務員として経験を積む中で、身体にもアプローチする方法を取り入れたいと思い、ヨガや瞑想を学ぶため留学。帰国後は、医療機関、教育機関等で発達障害や愛着障害の方を中心に認知行動療法やスキーマ療法等のカウンセリングを行いながら、マインドフルネスやヨガクラスの主催、ライターとして活動している。著書に『仕事・人間関係がラクになる「生きづらさの根っこ」の癒し方: セルフ・コンパッション42のワーク』(大和出版)がある。



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