【大学研究で証明】自分でできるマインドフル・ヒプノセラピー(催眠療法)でストレスと不安が緩和

 【大学研究で証明】自分でできるマインドフル・ヒプノセラピー(催眠療法)でストレスと不安が緩和
iStock.com/Daisy-Daisy

この新しいホームプラクティスで、いつでも手軽に穏やかさとグラウンディングを手に入れよう。

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注目される「マインドフル・ヒプノセラピー」とは?

ストレス緩和やグラウンディングの方法としてアサナ練習、瞑想、呼吸法が挙げられるが、催眠療法も効果的だ。催眠療法と聞くと、催眠術師の華々しいショーや、禁煙のための催眠CDを想像するかもしれない。だが新しい催眠療法はそれらとは全く異なり、リビングルームで瞑想クッションに座ってアプリを開き、心地よい香りのキャンドルを灯しながら実践できる。今や催眠療法は自分で行えるのだ。
ベイラー大学で実施された新しい実験研究では、マインドフルネスと催眠療法を組み合わせると、ストレスと不安の緩和に大きな効果があることがわかった。「マインドフル・ヒプノセラピー」と呼ばれるこの療法は、マントラ斉唱や自分の価値観の認識、感覚の観察などのマインドフルネス実践と催眠療法を統合させたものだ。

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ベイラー大学の心身医学研究所長、ゲイリー・エルキンズ医学博士の説明によると、実験参加者たちは催眠療法についての説明を受けた後、リラクゼーションを深め、意識を集中させ、自然の風景を思い描くための助言を与えられた。催眠状態に入る際には、まずは外界(物など)に意識を集中させてから、その意識を内側に向けていく。意識を内面に移していくプロセスによって、様々な感情や感覚を認識する能力が高まる、とエルキンズは述べている。

研究では、ストレスを抱える大学生42名がランダムに2つのグループに分けられ、8週間にわたって実験が行われた。一方のグループは、催眠誘導とマインドフルネスの実践からなる1時間のセッションに毎週参加した。さらに自己催眠を促す25分間の録音資料を渡され、少なくとも1日1回聴くように指示された。録音資料の内容は、エルキンズの著書「Mindful Hypnotherapy:The Basics for Clinical Practice」に記載されている。 そして、他方のグループは何も行わなかった。

実践を行ったグループの学生たちは療法への満足度を10点中8.9と評価し、ストレスや不安が大幅に減り、マインドフルネス度が高まったと報告している。一方、もう一つのグループの学生たちは、実験前後のストレスレベルに目立った変化はなかったと述べている。

「催眠状態ではポジティブな考えに対する受容性だけでなく、マインドフルネス度や心理的なリラクセーションも高まるので、このような好結果が出たと思われます」とエルキンズは説明する。「催眠療法とマインドフルネスを組み合わせることで、どちらか一つを実践するよりも短時間でより効果的にストレスや不安を軽減できる可能性があります」

アメリカ心理学会によると、マインドフルネスはストレス、不安、抑うつに有効な治療処置として200以上の研究で取り上げられている。研究者たちは、マインドフルネスは脳のストレス経路を変え、身体のストレス反応を改善する効果的な方法であると指摘する。

一方、催眠療法もマインドフルネスと同様にパワフルなストレス軽減法であることが、これまでの研究で確認されている。2019年にPalliat Careで発表された記事では、催眠療法を落ち着きとリラクゼーションをもたらす瞑想状態の一つとして分類している。また他の研究でも、催眠療法が感情的、身体的疼痛の両方を緩和することが明らかになっている。

自宅でマインドフル・ヒプノセラピーを実践してみたい人は、無料の自己催眠オーディオをダウンロードして、自身のマインドフルネスの練習に取り入れてみよう。また、アメリカの一部の都市には、対面で療法のサポートをしてくれるマインドフル・ヒプノセラピーのコーチもいる。

マインドフル・ヒプノセラピー実践法

催眠療法士、瞑想の専門家であり、MindFreeアプリの創設者であるマーク・スティーブンスは、マインドフルネスを催眠療法に取り入れると、通常の催眠療法よりもさらに深いリラクゼーションを得られると述べている。また、催眠療法で克服したい障害や達成したい特定の結果にフォーカスできるため、マインドフルネスの実践も新たなレベルに高められる、とスティーブンスは言う。

マインドフル・ヒプノセラピー実践法
自宅でマインドフル・ヒプノセラピーをしよう

自宅でマインドフル・ヒプノセラピーを実践したい人のために、スティーブンスは以下の練習を勧めている:

ステップ1ー座ったり横たわれる広さで、10〜15分間邪魔されない静かな場所を見つける。

ステップ2ー目を閉じて、周囲の音に耳を傾ける。この時ラベリングは行わないこと。ストーリーを加えたり何の批判もせずに、自分の思考や感覚に注意を向ける。

ステップ3ー身体を出入りする呼吸の流れを感じよう。無理に呼吸をせずに、自然なリズムで身体に出入りする様子を観察し、感じて、耳を澄ませる。意識を呼吸に集中させる。

ステップ4ーアファーメーションも取り入れよう。静かに息を吸いながら心の中で「平和」と繰り返し、息を吐きながら「解放」を思い浮かべる。息を吸うたびに安らぎを感じ、吐くたびに身体を緩めて緊張を手放していく。平和と解放を味わいながら、数回呼吸を繰り返す。

ステップ5ー深くリラックスしていると感じたら、自分が困難を克服する様子や、ゴールを達成する様子、人生に前向きな変化を起こす様子を想像し、その感情も味わってみよう。自分がビーチや熱帯雨林、山頂などの美しい自然の中にいて、身体からストレスや不安が離れていく感覚を思い描いてみよう。

催眠状態では、パワフルなアファメーションの力がより強大になる。例えば次のようなアファメーションがおすすめだ。「私は安らぎ、平和を感じている」「私の体は癒されている」「私は強い」「私はバランスが取れている」「結果は自分次第だ」「私はオープンで正直です」「私は幸せになっていい」「私には価値がある」「私は感謝している」「私は今のままで十分すばらしい」「私は苦難を乗り越えた」

ステップ6ーマインドフル・ヒプノセラピーの自己セッションを終えるときは、深呼吸を数回行いながら意識を自分がいる場所にもどす。あるいは、ゆっくりと1から5まで数えながら身体に再びエネルギーが満ちてくるのを感じる。

ヨガジャーナルアメリカ版/「Beat Stress and Anxiety with DIY Mindful Hypnotherapy

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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by Ellen O’Brien
translation by Sachiko Matsunami



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マインドフル・ヒプノセラピー実践法