「相手の言動についイライラ」そんな時におすすめのポーズは?|日常に役立つヨガ哲学とポーズ

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「相手の言動についイライラ」そんな時におすすめのポーズは?|日常に役立つヨガ哲学とポーズ

毎日のちょっとした感情の揺らぎに振り回されず、安定した心を保つためには、ヨガ哲学が役立ちます。感情の対処法と、それにふさわしいアーサナを教えてもらいました。

ゴウ先生が回答!日々の悩みを解決するヨガ哲学のヒントとおすすめポーズ

Q:相手の言動についイライラしてしまいます

A:イライラする原因はエゴ。「エゴに気づかせてくれてありがとう」と感謝しよう

人間は他人と真剣に向き合おうとするほどイライラするもの。だからイライラすること自体は悪いことではなく、根底にその人への愛情があることが多いのです。

しかしもっと深く自分の感情を見つめてみると、その陰には「こうなってくれたら相手も自分もハッピーになるのに」という自分のエゴがあることに気づくはず。「自分は今、イライラしているな」と自覚したら、「受け入れられないということは、エゴがあるのかも。エゴに気づかせてくれてありがとう」という感謝の気持ちを持つようにしましょう。人に対して謙虚になると、イライラする気持ちも少しずつ消えていきますよ。

おすすめポーズはハイランジ

イライラしているときは上半身に力が入りやすいので土台を強くするポーズを。後ろ脚の付け根を伸ばし、骨盤を立て、左右各5呼吸。

実は難しくない! 悩み解決にも役立つ! 「ヨガ哲学の教えとポーズ
photo by Kenji Yamada Sayaka Ono

Q:予期せぬ自然災害や日々のトラブル、どんなことも受け入れられるようになるには?

A:「どんなことも起こりうる」、そう知っておくだけで焦る気持ちがなくなるはず

ヴェーダ聖典』では人間に起こりうる苦しみとして、「自分の病気やけが」「ほかの人から与えられる苦しみ」「天変地異」が書かれており、これらは決して避けることができません。

大切なのは、なるべく早く自分の気持ちを平穏に戻すこと。ではどう対処したらいいかというと、「すべては起こりうる」そして「自然と去っていく」と、普段から心得ておくことです。遊園地のジェットコースターも「最後に急斜面を落ちる」と知っていればそれほど怖くないのと一緒。「すべては永遠ではない」「トラブルさえもいつかは去っていく」と知っておけば、不必要に焦ることがなくなるはずです。

おすすめポーズは魚のポーズ

逆転ポーズで冷静に。かかとを押し出すようにして力を入れる。肩甲骨を寄せ、鎖骨と足を引っ張り合う。5~8呼吸キープ。

実は難しくない! 悩み解決にも役立つ! 「ヨガ哲学の教えとポーズ
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Q:気が散って一つのことに集中できません

A:目先のモノでなくその先にある大切なものに気持ちを合わせよう

本来、人間の感覚は外に向きがちなもの。心も常に動き続けていますから、一つのことに集中できないのは当然です。そのため、ヨガではアーサナを使って一つのことに意識を集中する練習を重ねるのですが、たとえば呼吸法を練習しているときでも、「これで正しいのかな?」「まわりの人はどうやっているのかな?」など、つい外に意識が向いてしまうこともあるでしょう。

しかしそもそも人間は、興味深いことや関心のあることに集中しやすい性分。だから「集中したい」と思うものにワクワクやドキドキなど、ポジティブな感情を見つければおのずと集中できるのです。

たとえば僕が疲れていて、ヨガのクラスを担当するのが「しんどいな」と思うときは、その先にいる生徒さんのことを考えます。目の前に家族だったり子供だったり、自分の大切な人がいたら、自然と目が釘付けになり、心は慈愛にあふれますよね。

人間、物質的なものに集中し続けることは難しいものです。しかし、その先にいる「誰か」のことを思って心を注げば、集中することができるはず。「あの人のためにこれを頑張ろう」「あの人に喜んでほしい」という気持ちで取り組む家事や仕事は、単純に流れ作業のようにこなすだけのものとは、モチベーションも出来栄えも大きく異なるはずですよ。

おすすめポーズは半月のポーズ

難度の高いポーズで精神集中。床につく手には重心をのせず、上げた手で体を引き上げて。軸足は親指側に力を。左右各5呼吸。

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Q:つい自分と他人を比べて、うらやましく思ってしまいます

A:人間はみんな違って当然。まずは自分を受け入れて自分の役割を果たしましょう

「人間はみんな生きてきた環境や経験も違う」「自分にしかできないこともある」ということをまず、念頭に置きましょう。どうしてもほかの人の存在が気になるなら、「自分と比べる」のではなく、「参考にする」程度にとどめましょう。何より大事なのは、自分自身を受け入れること。人間は個々に、できることややるべきことが違っていて当たり前です。だって僕が急に「アイドルになりたい!」って言い出したら、おかしいでしょう(笑)。これと同じ。一人ひとりに果たすべき役割があるのです。

だから、自分ができることややるべきことを精一杯、取り組めば十分。それが、人間として目指すべき生き方の入り口なのです。

おすすめポーズはウサギのポーズ

頭頂を刺激する逆転ポーズで発想をチェンジ。首に痛みや違和感を感じたらストップして。ゆっくり5呼吸キープ。

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Q:職場で激しく叱責されると心が揺れてしまいなかなか気持ちが切り替えられません

A:まずは自分を許すこと。サットヴァが高い人に聞いてもらうのもgood

そもそもは、「人を怒る」という行為を避けたいもの。怒りはタマスな状態の現れで、冷静であれば怒るという選択肢を選びません。

他人からネガティブな感情を向けられたら、誰だって落ち込むものです。たとえば仕事で失敗して上司に叱責されたらショックなのは当然でしょう。まずは、動揺してしまう自分自身を許し、辛い気持ちを誰かに話しましょう。聞いてもらうのは親や目上の人、お坊さん、ヨガの先生など、サットヴァが高い人がおすすめ。自分と同じグナの人(特にタマスの影響が強い人)に相談すると、心の揺らぎが連鎖してしまうからです。ひとりで抱え込まず、上手に消化しましょう。

おすすめポーズは半分の魚のポーズ

負の感情は腸に溜まりやすいと言われているのでツイストで昇華。腹式呼吸をしてできるだけ下腹部を意識して。左右各5呼吸。

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Q:最近、仕事がうまくいかずに悩んでいます

A:うまくいかないのは学びや気づきのチャンス。自分に謙虚に振り返って

うまくいかないことが起こったときこそ、本当に大切にすべきものは何か、仕事の本当の目的は何かを振り返り、そこから離れて自己中心的になっていないか?と行動を見直す良い機会です。また、物質的には、その仕事をこなすための技術や知識が足りていないのかもしれません。スキルアップのチャンスと捉えましょう。

仕事でイライラがひどく強かったり、怒りや悲しみなどの感情に振り回されたりするときは、日常から少し離れてみるのもおすすめ。そうすれば心身がリセットされて、また新しい気持ちで再スタートできるかもしれません。

それでもどうしてもダメという場合は、もしかしたら自分の利益や名声など、エゴに根ざした行動をしているのかも。エゴに根ざした行動は、いっときはうまくいっても必ずあとでツケが回ってきて、うまくいかなくなります。

そういう場合はまず、謙虚になること。そして、「もしかして、自分のために一生懸命になりすぎていなかったかな。周囲の人たちのことを大事に思えているかな」と振り返ってみましょう。そうやって自分を振り返ることで、新たな気づきがあるはずです。

おすすめポーズは橋のポーズ+ガス抜きのポーズ

まずは「頑張るポーズ」。両足で強く床を踏みしめ、その反動で腰を持ち上げる。3呼吸キープ。

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次に「リラックスするポーズ」。両膝をやさしくハグして5呼吸。頑張るポーズの後に行うことで、自身を振り返ることができる。3セット。

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Q:自分を肯定できずダメだと思ってしまいます。肯定力を高めるには?

A:自己肯定力を高めるには「自分の弱さ」を認めること。何をすればよいか見えるはず

自己肯定力が弱い人は、実はとても真面目でポジティブな人。「自分はなんてダメなんだ」と思えるのは、自分と向き合っている証拠ですし、「こうあるべき」という理想と常に対峙しているからです。

ただ目標がちょっと遠すぎるのかもしれません。あるいは、置かれている状況が正しく見えていないのかも。自分がちゃんと成長していることに気づいていなくて、「まだ足りない!」と思っているのでは?理想を掲げたり、人と比べるのではなく、ありのままの自分を見つめ、ダメだと思っている弱い部分を認めていきましょう。どんな自分にもを出せれば、少しずつ自己肯定力も高まりますよ。

おすすめポーズはワニのポーズ

リラックスして自分を癒して。頭の下にブランケットを敷いて頭が落ちないように。ボルスターがなければ座布団でも。約5分。

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Q:物や人間関係...なかなか手放すことができません

A:来世へ持っていける“もの”は何ひとつない。役割を終えれば消えていきます

大切だと思うものが多すぎて、なかなか手放せない人も多いでしょう。ものだけでなく、恋人や友人など、人に執着してしまう人もいるでしょう。しかしヨガ哲学的にいえば、この世にあるものはどれも自分の持ち物ではありません。死を迎えて今世が終われば、来世へ持っていけるものは自分自身のカルマ(行為とその反動)とサンカーラ(行為の貯金や借金)以外、何ひとつないのです。

この世にあるものはすべて、永遠ではないこと、そして、自分の所有物はひとつもなく、人間が死んで棺桶に入ればすべて自分の手を離れていくことを覚えておけば、執着することもなくなるのでは?

おすすめポーズは虫のポーズ

宙に向けて両手両足を振ると、ものや人にしがみつく執着も消えていく。息を吐き出しながら軽い疲労感を感じるまでやってみて。

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ヨガ哲学とは?

ヨガ哲学とは、以下のような聖典に書かれているヨガの教えのこと。聖典にはそれぞれ特徴があるので、段階的に学びましょう。

ヴェーダ聖典

あらゆる生命体の取扱説明書。これを理解することが人生を完成に導く。

バガヴァッド・ギーター

ヴェーダ聖典』のエッセンスを抽出したもの。全18章で構成されている。

ヨーガスートラ

バガヴァッド・ギーター』6章(瞑想による心の制御)の行法が書かれている。

教典で学ぶなら最終ゴールは『ヴェーダ聖典』

ヨガには多くの教典がありますが、それぞれ役割が異なります。「『ヴェーダ聖典』は〝人生の取り扱い説明書〞とも言われており、どう生きればよいかをまとめたもの。そのエッセンスを抽出したものが『バガヴァッド・ギーター』で、『ギーター』の行法書が『ヨーガスートラ』です」とゴウ先生。またヨガ哲学では、人の心にはサットヴァ(徳性)、ラジャス(撃性)、タマス(無知性)の3つの性質(グナ)に影響されると考えます。「ラジャスやタマスになると心が不安定に。アーサナは心の状態をサットヴァに安定させることにも役立ちます」

教えてくれたのは...佐藤ゴウ先生
IHTA顧問、ヨガインストラクター。日本各地でクラスを担当。ヨガ哲学を伝え、心身の繊細な感覚を見つめる「感じるヨガ」を展開。各地でヨガイベントも行っている。

photos by Kenji Yamada Sayaka Ono
illustrations by Nanayo Suzuki
text by Ai Kitabayashi Hiroko Suzuki
yoga Journal日本版Vol.69掲載

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