感情の解放を促す「フォレストヨガ」を学ぼう
フォレストヨガのシニアティーチャー、エリカ・メイザーが自信を深めるための後屈シークエンスを紹介する。
フォレストヨガを学ぼう
アナ・フォレストは長々と説明をしない。フォレストヨガは感覚を通して学ぶ実践だ。行動して初めてわかる答えがあるように、言葉だけではわからなくても、呼吸と体験を通じて身に付くことがある。とはいえ、アナは思考することを避けているわけではない。彼女のヨガのスタイルは深い洞察に基づいて組み立てられている。彼女がいつも胸に刻んでいるのは「人々の輪(フープ)を修復する」というネイティブアメリカンのスー族の聖者、ブラックエルクの言葉だ。アナは遮断されていても確かに存在する人と人とのつながりを回復したいと考えている。この重要な使命が討論や哲学で取り上げられることはない。行動こそが人生にビジョンや夢をもたらすのだ。呼吸をし、血液がめぐり、汗をかき、魂が輝くことで、私たちのこの混沌とした世界の奥に潜む、傷ついた領域に歩み寄ることができる。そして呼吸が、言葉では到達できない場所へと導いてくれる。
師についてアナにたずねると、彼女は歯に衣着せずに答えた。「世の中を知るために、人が抱く幻想やごまかしや策略を見抜く力はついたわ」と、常に正直だ。とはいえ、フォレストヨガのアーサナは欧米で発展したヨガ流派(シヴァナンダ、アイアンガー、アシュタンガ)から取り入れている。アナは世界中を回りながら、これらすべての流派の創始者や一番弟子たちから深く学んだ。彼女は、アルコール依存症、拒食症、過食症、性的虐待、てんかんなど、自らの数々の困難に向き合うためにこれらのヨガを実践した。だがどの流派も完全ではなかった。ワシントン州のコルビル先住民居留地で数年間過ごしながら、伝統に従って自分の困難の根源となっている「魂とつながっていない状態」と向き合い、自身を鍛えた。そして1989年、効果的なアーサナと先人たちの霊的な癒しの知恵を融合させたフォレストヨガが誕生した。このヨガは腰痛や手根管症候群などの現代疾患にも対処している。また、生きるうえで徐々に枯渇したり、心的外傷によって体と分離した精神との統合を、コーチングを通じて働きかける。フォレストヨガは、いわば魂の家に続く道であり、アナとガーディアンと呼ばれるシニアティーチャー14人とともに進化し続けている。常に最新のフォレストヨガに触れるには、ティーチャーとじかに練習する必要がある。今回紹介するシークエンスを練習するのはもちろん、近くのティーチャーを探してみよう。そうすれば、感じて、動いて、統合する練習ができるだろう。
シークエンス方法論
フォレストヨガのレッスンでは、必ず最初に「どこに向かいたいか」と聞かれる。たとえば、どんな答えがあるだろうか。カカーサナ(カラスのポーズ)を学びたい? 腰痛を和らげたい? 自分を信じる方法を知りたい? 頭痛から解放されたい? 自分の人生に自信を持ちたい? あなたが目指すものは、アーサナと意図する力の相乗効果によってきっと達成されるだろう。フォレストヨガでは、ポーズを通じて体との向き合い方を、意図を通じてマインドとの向き合い方を学ぶ。アーサナと意図の力が働き合って、最初の質問に答えるための道を示してくれる。この2つを結びつけるものは呼吸だ。
フォレストヨガには、あらかじめ決められた要素がある。設定されているシークエンスには少なくとも1つの頂点となるピークポーズが含まれている。イレギュラーな要素もあるが、無作為ではない。フォレストヨガは真のヴィンヤサと言われるヴィンヤサ・クラーマにのっとり、目的に向かって一段ずつステージを上がっていく。練習ではまず体系化されたウォームアップを行い、神経系を落ち着かせる。そしてどの練習でも必ず短いプラーナヤーマから始まる。早い段階で呼吸法を行うと、その後の練習効果が上がるためだ。シークエンスでは一連の立位のポーズ群か、立位のポーズを深める短いフローを行い、その間に少なくとも1つのピークポーズが入る。それから徐々にウォームダウンしていき、最後にクールダウンに入る。各ポーズは体の左側から行う。これは普段私たちが右手中心で生活をしているためであり、このアプローチによって体のバランスが整う。
フォレストヨガ・シークエンスは1つではない。決められたシークエンス構造はあるものの、自由自在に応用できるからだ。練習は通常26〜27度の温度環境で行われる。
ウォームアップ 練習の目的の設定と座位のポーズ
フォレストヨガでは8つのステップでウォームアップを行う。各ステップはさまざまに応用できる。あらかじめ決まった枠組みに沿って練習を始められるので、グラウンディングや心の落ち着きが得られやすい。
1.快適な姿勢で座る
ポイント:この時に練習の目的を決めておくと、これから行うことすべてに作用する。5〜8回呼吸
2.バッダコナーサナでのプラーナヤーマ(合せきのポーズでのシヴァナンダ呼吸)
長く心地よく息を吸い、苦しくない程度に呼吸を止める。長く心地よく息を吐いたら、また苦しくない程度に呼吸を止める。この練習中はバンダを行わないこと。3回呼吸
3.パリヴルッタジャーヌシールシャーサナ(ねじった頭を膝につけるポーズ)
腕を背中に回して5~8回呼吸。次に上に伸ばして5~8回呼吸。右側でも繰り返す。
4.肘を膝につけるポーズ
両足を床から浮かせ、曲げた両膝が腰の真上にくるようにする。頭の後ろで手を組み、息を吸って頭と肩をマットから浮かせる。息を止めて尾骨を上に引き込む。息を吐いて両肘を左の太腿に近づけ、右脚を真っすぐ伸ばす。息を吸って上体を真ん中に戻し、両膝を曲げる。各サイドで5~8回ずつ繰り返す。
ウォームアップ 腹部
呼吸をし、練習の目的を思い出そう。
5.セツバンダーサナ(橋のポーズ)5〜8回呼吸
行い方:息を吸い肋骨を大きく広げる。息を吐きながら座骨を膝のほうに長く伸ばす。
●ポイント:腹筋運動のカウンターポーズで、後屈の準備運動にもなる。また脚のウォームアップにもなる。
6.ドルフィンポーズ5〜8回呼吸
●ポイント:逆転の準備運動として、手首と手に余分な圧をかけずに肩と上背部のウォームアップができる。
7.バーラーサナ(子供のポーズ)5〜8回呼吸
8.ウディヤーナバンダクリヤ5〜8回呼吸
行い方:足を腰幅に開いて立ち、両膝を曲げて、手を太腿の上においたら両腕を真っすぐ伸ばす。口から息を強く吐き出す。息を吸わずに腹部を背骨のほうに引き込む。腹部をゆるめてから息を吸う。
注意:代わりにアグニサーラやナウリの呼吸法を行ってもよい。妊娠中は行わないこと。
熱を生み出すパート 立位ポーズのシークエンスとピークポーズ
フォレストヨガには立位ポーズを深めるための3つのアプローチがある。2つのポーズを繰り返すアプローチ。3つのポーズを繰り返すアプローチ、そして立位ポーズのシークエンスだ。どのピークポーズを目指すかによって、この3つのうちから選ぶ。今回紹介するシークエンスでは2つのポーズを繰り返すアプローチを組み込み、流れるように動きながらできるだけ多くの立位ポーズを行って熱を生み出していく。 フォレストヨガでは特に脚を重点的に鍛える。これは多くの人が一日中椅子に座って過ごすためだ。さらに体を温めるために、太陽礼拝を好きなだけ加えることもできる。フォレストヨガではシヴァナンダスタイルの太陽礼拝と、アシュタンガヨガの太陽礼拝Bを取り入れている。
9.ヴィーラバッドラーサナⅡの応用(肩をすくめた戦士のポーズII)5〜8回呼吸
ポイント:戦士のポーズIIは、腕の動きや背中のウォームアップの基本ポーズとなる。
10.アンジャネーヤーサナ(ローランジ)5〜8回呼吸
11.ブジャンガーサナ(コブラのポーズ)の応用 5〜8回呼吸
行い方:肘を曲げた状態で肩を下げる。床においた手を後方に引くようにしながら、肋骨を前方に出す。戦士のポーズIIとローランジを右側でも繰り返す。
12.アドームカシュヴァーナーサナ(ダウンドッグ)2〜3回呼吸
13.ウッティタートリコナーサナ(三角のポーズ)5〜8回呼吸
14.ローランジの応用(ラウンジランジ)5〜8回呼吸
行い方:後ろの脚を真っすぐに伸ばし、下側の肋骨の脇が弧を描くように下げて前方に押し出す。後ろの脚の膝が横に倒れすぎないようにする。
15.シャラヴァーサナ(バッタのポーズ)の応用 5〜8回呼吸
三角のポーズとラウンジランジを右側でも繰り返す。
16.ダウンドッグ 2〜3回呼吸
17.戦士の呼吸ポーズIのバリエーション(手を腰にあてて後屈する)5〜8回
行い方:両手を腰に押しあてながら、肋骨を引き上げ、腰が圧縮されないようにする。
18.パリヴルッタパールシュヴァコーナーサナ(ねじった横に伸ばすポーズ)5〜8回呼吸
●ポイント:このパートのピークポーズになる。ほかにもピークポーズになり得るポーズを練習生同士で考えてみよう。
19.シャラヴァーサナ(バッタのポーズ)の応用 5〜8回呼吸
行い方:胸を前方に出し、両脚を上げて後ろに伸ばしながら背骨を長くする。
17の戦士のポーズIのバリエーションと18の横に伸ばす戦士のポーズを右側でも行う。
20.ダウンドッグ 2〜3回呼吸
21.ローランジのバリエーション(アローランジ)5〜8回呼吸
行い方:後ろの足の甲で強く床を押して、座骨付近の筋肉を引き締める。後ろの膝に違和感があれば、太腿の下(膝のすぐ上)にボルスターを置く。ただし体重をかけないこと!両脚を強く使おう。
22.ローランジのバリエーション 5〜8回呼吸
23.コブラのポーズ 5〜8回呼吸
21のアローランジと22のローランジのバリエーションを右側でも繰り返す。
24.ダウンドック 2〜3回呼吸
呼吸をしてハートをサポートしよう。
25.戦士のポーズIのバリエーション(ランスドジャー)5〜8回呼吸
行い方:両腕を使って、腰にスペースをつくる。
26.戦士のポーズIのバリエーション(伸ばしてねじった戦士のポーズ)5〜8回呼吸
27.ウシュトラーサナ(ラクダのポーズ)の腕の応用 5〜8回呼吸
行い方:1回目は両手を腰にあててポーズを行う。2回目は片方の手で座骨を下げ、もう一方の腕で肋骨を引き上げて腰から遠ざけながら、肋骨を起点に上下に伸びる。それから最初に左手を後方に下ろし、次に右手を下ろす。
25と26の戦士のポーズIのバリエーションと、この27ウシュトラーサナを右側でも繰り返す。
ウシュトラーサナは、この練習パートのピークポーズとなる。
緊張をゆるめる ウォームダウンとクールダウン
フォレストヨガの最後のパートとなる。今回のような後屈のシークエンスではクールダウンする前にウォームダウンする必要がある。体の両サイドで行う立位ポーズのシークエンスはウォームダウンに適している。後屈で沸き立つエネルギーが両脚に流れ、腰が広がってほぐれるためだ。
28.ヴィパリタヴィーラバッドラーサナ(戦いをやめた戦士のポーズ)3〜5回呼吸
29.ウッティターパールシュヴァコーナーサナ(体の脇を伸ばすポーズ)3〜5回呼吸
行い方:左腕を左の太腿にのせて、右手のひらを仙骨にあてる。息を吐くたびに座骨と尾骨から後ろのかかとに向かってエネルギーを流す。
30.三角のポーズ(腕を後ろに回すバリエーション)3〜5回呼吸
31.アルダチャンドラーサナ(半月のポーズ)3〜5回呼吸
32.戦士のポーズI 3〜5回呼吸
33.戦士のポーズIのバリエーション(オストリッチウォーリアー/ダチョウの戦士)3〜5回呼吸
行い方:首の力を抜き、頭の重さを利用して上体を前に倒す。ハートのエネルギーを足に流してグラウンディング。
34.戦士のポーズIのバリエーション(ねじった戦士のポーズ)3〜5回呼吸
35.鳩のポーズ 3〜5回呼吸
28~35のポーズを右側でも繰り返す。
36.ストラップを使ったアルダマッツェーンドラーサナ(半分の魚の王のポーズ)各サイドで3〜5回呼吸
行い方:ストラップの輪を右足首にかけ、ストラップを腰に巻き付けて左手で前からつかむ、右手を背中に回して右の足首近くでストラップをつかむ。ストラップを利用して背骨を引き上げ、背筋を伸ばす。
37.合せきのポーズのバリエーション 5〜8回呼吸
38.シャヴァーサナ(亡骸のポーズ)5〜7分間
指導●エリカ・メイザーはフォレストヨガを世界に伝える14人のガーディアンのひとり。著書に『Radical Body Acceptance: End the Time-Sucking, Confidence-Crushing Pursuit of Unrealistic Beauty Standards and Start Living Your Life』 (New Harbinger) が ある 。ニューヨークに住みながらヨガを教えている。詳細はericamather.com へ。
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