ポーズ間の移行を安全に行うポイント|ケガを予防しよう

 ポーズ間の移行を安全に行うポイント|ケガを予防しよう
JEFF NELSON

ケガの予防ということから見れば、ポーズ間の動作は、ポーズそのものと同じくらい重要になる。この一筋縄ではいかない次のポーズへの移行を、安全にスムーズに行う方法を紹介しよう。

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ポーズの移行で怪我をしやすい理由

長時間働いた後、ヨガスタジオに到着したばかり。太陽礼拝が始まると、心はあちらこちらに移ろう。上司とした議論を頭の中で再生していることも、心の中で自分の体を周囲の人の体と比較していることもある。チャトランガからアップドッグへと進んでいくと、突然、腰が痛みで悲鳴をあげる……。そこで思う、「何でこういうことになったんだろう?」と。
カリフォルニアのサンタクルーズを拠点にし、著書『Yoga Sequencing』を持つヨガ指導者マーク・スティーブンスによると、ヨガでケガをしやすいのは、1つのポーズから次のポーズへと移るときなのだそうだ。ポーズの移行時には、急いだり気が散ったりしやすく、そのプロセスよりも移って行く先へと気持ちが向いてしまうのだ。すると、今するべきことに集中できずにケガが起きやすくなる。では、ケガ予防のための最善のアプローチとは何だろう?「ペースをゆるめ、意識的に集中するということだよ」とスティーブンスは言う。実際、外を意識したパフォーマンスより、内へ集中した気づきのあるプラクティスのほうが、効率を上げたり問題を解決したりする能力の保持へとつながることは、研究でも明らかになっている。
スティーブンスによれば、注意深くゆっくり、細かい部分へ意識を高めてヨガをすればするほど、プラクティスがもたらす喜びも大きくなるという。「細かい部分には悪魔がいる。けれどそこには天使も美しさも、喜びもあるんだ」と彼は言う。ヨガには元来、賢く次のアーサナへ移行するのに必要な自己への気づきを支える性質が備わっている。「呼吸、意識、アラインメントといった、アーサナの中での細かいプラクティスは、マットの上で気づきや集中を高めることを教えてくれるんだよ」。
次のページからは、ポーズへの移行という一筋縄ではいかない動きを、マット上で安全に行うコツを紹介する。とは言っても、彼からのアドバイスは、実践者が自らの内に持つ知性を信頼することがもっとも大切だ、というものだ。   
「他人から教わったコツも、自分の練習をサポートするものではあるけれど、一番のいい先生は自分の内側にいる。だから、ゆっくりと意識を高めて動けば動くほど、その先生が話しかけてくる声がよく聞こえてくるんだ。マットの上でも、人生のそれ以外の瞬間においてもね」

上手に次のポーズへと移行するための4つのカギ

1.意識

そのとき自分が経験していることや、その瞬間に行っていることに集中しよう。

●流れるように移行するには
あちこちにさまよう視線と一緒に意識を散漫にせず、視線を安定させて、マット上での動きに意識を集中するようにしよう。

2.呼吸

バランスのいいウジャイプラーナヤーマ(勝利の呼吸)を用いて、緊張している部分に意識的に呼吸を送るようにしよう。

●流れるように移行するには
息を吸うときに体の前面を広げる動きを始め、吐くときに体を折り曲げ、体をしまっていくスペースを作り出す動きを行おう。

3.体

体のパーツはそれぞれ他の体のパーツや、地や空間と特有な関係を持ち、アラインメントを生み出している。

●流れるように移行するには
1つのポーズから次のポーズへとゆっくりと意識的に動き、次のポーズへ移行するときにも、ポーズそのものをとるときと同じぐらい、体のポジションに気を配るようにしよう。

4.エネルギー

アラインメント、安定感、安楽さをサポートするエネルギーの動きを用いよう。

●流れるように移行するには
どこに力が入り、どこがゆるんでいるのかに気づこう。その後、動きの中で、アライメントや安定感、安楽さの支えとなる部位へ、もう少し力を入れるようにして、その割合を細かく調整しよう。これは、頑張りすぎている、とか、頑張りが足りない、というようなことではなく、楽に動きながら、どこに、どのようにエネルギーを使っていくのか、という問題だ。

プランクからアップドッグのシークエンスで実践してみよう

プランクポーズ

ポーズ間の移行を安全に行うポイント
(Photo by JEFF NELSON)

ダウンワード・フェイシング・ドッグから息を吸い、肩が手首と一直線上になり、かかとが拇指球の上にくるまで胴体を前へ移動する。肩、骨盤、足首を一直線にする。肩甲骨を下げながら手全体で床を押す。胸骨を前へ押し出しながらかかとを後方へと押し、コアが落ちてこないよう腹部に少し力を入れて太腿を引き締める。

プランクからチャトランガへ移るときのポイント

ポーズ間の移行を安全に行うポイント
(Photo by JEFF NELSON)

手と脚をしっかりと使い、お腹に少し力を入れ、肩甲骨を背中下部へと下げ、胸骨を前方へ押し出す、というプランクポーズのすべての動きを行いながら息を吐く(これで腹筋に力が入る)。ゆっくりと肘を曲げ、肩甲骨を肋骨背面のほうへ引き下げながら、肩が肘と同じ高さになるまで体を下ろす。

チャトランガダンダーサナ(四肢で支える杖のポーズ)

ポーズ間の移行を安全に行うポイント
(Photo by JEFF NELSON)

息を吐いた後、体が自然に静止する間だけポーズを保つ。かかとを後方へと押し、脚に力が入った状態をキープする。人差し指の指関節で床を押し続ける。肩は肘と、頭は肩と同じ高さに保ち、首を保護するようにしよう。

チャトランガからアップドッグへ移るときのポイント

ポーズ間の移行を安全に行うポイント
(Photo by JEFF NELSON)

息を吸い、つま先を丸めて返しながら、ゆっくりと腕で床を押す。腕をまっすぐに伸ばしながら、実際には動かさずに、手のひらで外向きのらせんを描くような感覚を作り出し、胸全体が開くのを感じる。ゆっくりと背骨を引き上げて曲線を描き、首をそる場合は最後に。肩は手首の一直線上にくるようにする。

ウールドヴァムカシュヴァーナーサナ(アップワード・フェイシング・ドッグ)

ポーズ間の移行を安全に行うポイント
(Photo by JEFF NELSON)

足を真後ろに伸ばし、甲で床を押して脚に力を入れる。小指側を強めに押し、内腿の内旋を助けよう。尾骨をかかとのほうへ伸ばし、骨盤が前に押されるのを感じる。手で床を押す力で胸を引き上げ、肩は下げて耳から離す。肩を後ろに引き、鎖骨を広げて背骨を胸のほうへ押す。頭は水平に、視線は前か首に問題がなければ上へ。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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Text by KAREN MACKLIN
Photos by Jeff Nelson
Model by Nancy-Kate Rau
Styling by Emily Choi
Hair&make-up by Beth Walker
Translated by Yuko Altwasser
Guest teacher by Mark Stephens
yoga Journal日本版Vol.44掲載



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