風邪の期間を約36%短縮!冬を元気に乗り切るのに欠かせない『ビタミンD』どれくらい摂取すべき?
数年のマスク生活やソーシャルディスタンスの後、風邪を始めとする様々な感染症が再び流行している。冬に風邪が増えるのは、室内で過ごす時間が増えることとそれに加えて、ビタミンD不足が原因かもしれない。私たちはビタミンDの80〜100%を太陽光から得るが、北緯30度以上の地域(日本も含まれる)、冬にビタミンD不足のリスクが高くなる。
寒い時期を元気に乗り切るために意識したい「ビタミンD」
ビタミンDは私たちの体にとって欠かせない栄養素であり、主に骨の健康を維持する役割がある。しかし、その影響はそれだけに留まらない。アメリカ国立衛生研究所(NIH)によると、成人の約25%はビタミンD不足と言われており、特に冬の間にこの割合が高くなるとされている。ビタミンDレベルが10 ng/mL未満の人は、うつ症状が強く現れる可能性が高いとされている。アメリカ家庭医師会によると、ビタミンDが不足すると、神経系に悪影響を与え、気分の落ち込みや不安感が増し、季節性感情障害(SAD)のリスクが約20%増加することが示されている。したがって、冬にうつ症状を防ぐためには、意識的にビタミンDを摂取することが重要だ。また、風邪やインフルエンザにかかりやすくなる寒い時期にも欠かせないのがビタミンDだ。イギリスのバンゴール大学の研究によると、ビタミンDの補充は風邪を引く確率を減少させることはなかったものの、風邪の期間を約36%短縮し、症状のピーク重症度を15%軽減することが確認されている。
日光に浴びると体内で生成されるが、冬は減少傾向に
ビタミンDは、主に日光を浴びることで、体内で生成される。皮膚が紫外線B(UVB)の影響を受けることでビタミンDを合成するが、冬の寒い時期には日照時間が短く、太陽の光を浴びる機会が減少する。ニュージャージー州の登録栄養士ジャクリーン・ゴメス氏は、「日が短くなる冬の間は、ビタミンDの生成が減少する。特に夏の終わりから秋の初めにかけてビタミンDのレベルがピークに達し、冬が来る前にそのストックが減少し始めることがある」と警告する。このため、冬の間にビタミンDが不足しやすくなり、結果としてうつや風邪にかかるリスクが高まる。
ビタミンDを豊富に含む食品
ビタミンDを効率よく摂取するためには、以下の食品を意識的に食事に取り入れることが効果的だ。
- 脂肪分の多い魚類:サケ、マス、マグロ、サバなど。
- 缶詰の魚:ニシンやイワシなど。
- 卵黄
- 牛レバー
- 魚の肝油
特に脂肪分の多い魚は、自然界で最も優れたビタミンDの供給源だ。これらの食品を積極的に摂取することで、冬のビタミンD不足を防ぐことができる。
日常生活の中でできる限り日光を浴びる時間を増やす
ビタミンDが非常に重要であることがわかったところで、実際にどのくらい摂取すればよいのか?NIHによると、成人の推奨1日摂取量(RDA)は600国際単位(IU)または15マイクログラム(mcg)だ。1歳から18歳の子どもも同様の量を摂取する必要があるが、70歳以上は少し多めの20マイクログラム(800 IU)を1日摂取することが推奨されている。
また、日常生活の中でできる限り日光を浴びる時間を増やすことも大切だ。冬の寒い時期でも、晴れた日は外に出て太陽の光を浴びることで、ビタミンDの生成を促進できる。散歩や軽い運動を日課にすることが、心身の健康維持にも繋がる。日照時間が短くなるこれからの時期に備え、ビタミンDが豊富な食品を意識的に摂取し、必要に応じてサプリメントなども活用することが大切だ。健康的なライフスタイルを心がけ、冬を元気に乗り越えよう。
出典:
4 Simple Ways to Get More Vitamin D as the Days Get Shorter and Darker
Study confirms vitamin D protects against colds and flu
14 Ways to Ease Seasonal Depression
Vitamin D supplements may reduce the duration of the common cold
AUTHOR
山口華恵
翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。
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