【知って得する栄養学】干し椎茸に含まれるビタミンDは生椎茸の30倍?管理栄養士が解説
干し椎茸と生の椎茸。どんな違いがあるのかご存知ですか。 水で戻す必要のない生椎茸を使用することが多くなりそうですが、実は栄養素が大きく違うものもあります。干し椎茸の栄養素について解説します。
今回は干し椎茸の栄養素の解説とお勧めの調理方法をまとめていきたいと思います。
干し椎茸に含まれる栄養素って?
食物繊維
食物繊維は、 整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロールの低下など様々な働きをしてくれるとても大切な栄養素。現代人は食物繊維が足りていないことが問題となっており、積極的に摂りたい栄養素です。干し椎茸には食物繊維が豊富に含まれており、生の椎茸と比較すると倍近くの差があります。
ビタミンD
ビタミンDは骨に必要なカルシウムを吸収する上でとても大切な栄養素。またビタミンDは免疫系にも関係があると言われており、感染症の予防など今の時期に強化したい栄養素でもあります。生の椎茸に比べて約30倍の量が干し椎茸には含まれています。
グルタミン酸
グルタミン酸は、非必須アミノ酸の一つで「旨味」の成分。疲れているとどうしても食欲が出ないものですが、干し椎茸を取り入れることで旨味が足され自然と食欲が出るため、疲れている時の強い味方。疲れている時の食事こそ、干し椎茸を積極的に取り入れることをお勧めします。
グアニル酸
グアニル酸も「旨味」の成分になります。生の椎茸にはこのグアニル酸はほとんど含まれておらず、干し椎茸のみに含まれています。
干し椎茸のお勧めの調理方法
ではこの栄養満点の干し椎茸をどのように調理していけばいいのか、ポイントをお伝えいたします。
旨味を引き出すには「冷水で戻す」が基本
旨味を引き出すには、冷水でゆっくり時間をかけるのがポイントになります。
かさを上向きにして、干し椎茸がかぶるくらいの冷水に浸しましょう。冬場なら涼しい場所で常温で戻すのが可能ですが、夏場であれば、ラップをして冷蔵庫で戻していくことをお勧めします。戻し時間としては、半日~1日程度かかることがありますので、前日から戻しておくと良いでしょう。
時間がない場合は、ぬるま湯や、レンジを使用
ぬるま湯にかさを上にして浸け、常温で戻しておきます。厚さにもよりますが、約3時間程度で戻ります。
またその時間もかけられない方であれば、レンジを使用するのもありかなと思います。椎茸の厚さにもよりますが、耐熱ボウルに干し椎茸が被るくらいのお水を入れて600wで2〜3分レンジで加熱して戻しましょう(加熱時間は椎茸の厚さによって調整してください)。
動物性食品との相乗効果で旨味アップ
グルタミン酸単体よりも、イノシン酸を組み合わせることで、旨味を強く感じることが分かっています。
そのため、単体で食べるよりも、イノシン酸が多く含まれるカツオ(鰹節)、イワシ(煮干し)、鶏肉・豚肉・牛肉など動物性食品とうまく組み合わせるのがおすすめ。鶏肉と干し椎茸を使った茶碗蒸しや、干し椎茸と鰹節の出汁を混ぜた汁物や煮物でも美味しいです。
戻し汁は捨てないで
戻し汁は栄養や旨み成分が溶け出していますので、捨てるのはもったいない!
戻し汁は、冷蔵庫での保存も可能です(一週間以内に使い切らないとアクが強くなるので注意)。
冷凍保存する場合は、香りや風味を損なわず、1か月ほど保存が可能です。ぜひ捨てずに上手く汁物や煮物の出汁に使用しましょう。
まとめ
栄養満点の干し椎茸。戻すというひと手間はかかるものの、生の椎茸では得られないプラス要素が多くあります。
ぜひ乾物としてストックしておいて日常的に取り入れてみてくださいね。
AUTHOR
佐藤彩香
管理栄養士、予防医学士。 企業や保育園で栄養カウンセリング、献立作成、栄養計算、店舗運営を経験し、その後独立。実践型の栄養サポートを行い、プロアスリートからスポーツキッズ、ダイエット希望の方など累計5,000人を超える人々と関わる。現在はパーソナル栄養サポート、専門学校非常勤講師、セミナー講師、ライター活動、レシピ開発なども行いながら「あなたのかかりつけ栄養士」として活動している。
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