見るだけで血圧や心拍数が下がる?「水」を眺めることで得られるリラックス作用とは|研究結果が示唆

 見るだけで血圧や心拍数が下がる?「水」を眺めることで得られるリラックス作用とは|研究結果が示唆
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HIDEMI
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2024-05-31

次に心臓が速くなり、血圧が上がりそうになったら、外に出て、水面を眺めてみよう。

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水を眺めることによる心拍数と血圧の変化

カリフォルニア大学デービス校の心理学者の研究によると、たとえプールであっても、水を眺めることは心理的な健康に良いようだ。リチャード・コス心理学名誉教授と教え子クレイグ・ケラーは、2つの研究において、さまざまな屋外の風景を1分40秒間眺めた後の心拍数と血圧を測定した。

1つ目の研究では、32人の参加者において、駐車場の木や道路標識を見た後よりも、プールを見た後の方が、平均心拍数が減少し、血圧(収縮期/拡張期比)が低下した。2つ目の研究では、73人がUCデイヴィス植物園沿いの一連の場所を訪れた。参加者の血圧と心拍数は、隣接する地面を見たときよりも、植物園の水路を見たときの方が、平均して低かった。水路の広い部分や、小さな湖など、水域が広ければ広いほどその効果は顕著であった。

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水を眺めることによるリラックス感の助長

2つ目の実験では、参加者は水面を見ているときによりリラックスした気分になったと報告し、それは血圧の低下とも相関していた。また、広い水路の横の地面を見ているときにも、よりリラックスしていると報告された。

逆説的となるが、リラックス度が高いと答えた人たちは、いくつかの実験の場において、特に広い水域を眺める際に心拍数が速くなった。コスによると、これは心拍数を上げさせる高揚感という感情が反映されている可能性があるという。「研究の参加者が、より広い水面を眺める喜びを、リラックス効果が高まったと誤解した可能性は高い。」とのことだ。

水を短時間眺めることによる心血管系や心理的な効果は一時的なものであり、持続的に眺めることでより長期的な効果が得られるかどうかについては、さらなる研究が必要だという。

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幼児は光沢のある皿を口にする傾向

進化が人間の行動や神経生物学にどのような影響を与えるかを研究しているコスは、以前から水を見ることによる生理的効果や気分を高める効果に興味を持っていた。彼は1980年後半の研究において、水のある風景の写真が、当時計画されていた国際宇宙ステーションでの宇宙飛行士の生活体験を向上させる可能性があることを発見した。

その後の研究では、人間がマットな紙やざらざらした紙よりも、光沢のある紙やきらきらした紙を濡れていると認識すること、そして幼児はくすんだ皿よりも光沢のある皿を口にする傾向が強いことを示した。これらの研究は、水の知覚は一部生まれつきのものであり、水を感知する能力の長きにわたる本能的な選択を反映している可能性が高いことを示唆している。

この研究結果は、公共衛生だけでなく、景観デザインにも応用できる可能性があるという。

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水辺にいると精神的健康が高まる

「水辺にいると、心が穏やかになります」と、NBCニュースの医療担当記者、ナタリー・アザール医師は語る。「これは、誰もが経験したことがあることだと思いますが、決して意識したことはないでしょう」。

水の中や 水の近くにいることは、いくつかの方法で精神的な健康に恩恵をもたらす。

畏敬の念が生まれる

水に囲まれていると、「自分自身よりも偉大な何か 」を感じることができる。「そしてそれが心を少し開放してくれる」とアザールは言う。

癒しの感覚を与えてくれる

水辺の音、匂い、光景は、とても心を落ち着かせるものだとアザールは言う。また、子供のころに感じた潮の香りのする海の空気のような、なじみのあるものを思い出すことで、心が落ち着き、ポジティブな状態になることもある。

マインドフルネスと内省を促す

「水はダイナミックです。さまざまな色を持ち、動いています。だから、周囲のノイズよりも、そちらに意識が向くのです」とアザールは言う。「また、水に浮くことは、体を休め、意識を持続させることができる。」

最近の研究によると、水の近く、つまり専門家が 「ブルー・スペース 」と呼ぶ場所にいることには本当にメリットがあるようだ。『Scientific Reports』誌に発表された研究では、「ブルー・スペース」の近く住んでいる人は、メンタルヘルスの問題のリスクが低いことがわかった。

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出典:

https://lettersandscience.ucdavis.edu/news/viewing-water-outdoors-slows-heart-lowers-blood-pressure

https://www.today.com/today/amp/rcna45254#anchor-Beingnearwaterboostsmentalhealth

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HIDEMI

HIDEMI

ヨガ講師 /ヨガ翻訳・通訳者 色、音、言葉が好き。同志社大学国文学科在学中は日本語学を学び、中学生の頃から独自に英語の学びを深める。サロンモデルをしながら、ジュエリーブランド、コスメブランド勤務を経て、2015年よりヨガの指導を始める。外国人講師のWSやTTの通訳、テキスト翻訳等、ヨガ関係の通訳/翻訳業も行う。



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