【最新の研究で証明】認知力向上から美肌効果まで!マインドフルネス瞑想の驚くべき「14の効果事例」
マインドフルネスがリラックスをしたり、頭の思考を整理するのに適していることはよく知られています。最新の科学的な研究では、マインドフルネスによって脳の機能が強まり、さまざまな人間のパフォーマンスを向上させる効果があることが分かってきました。今回は、臨床瞑想コンサルタントでもあるアンディ・プディコムさんの著書『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』(辰巳出版刊)に書かれている、マインドフルネスの効果的な事例を紹介します。
科学が証明するマインドフルネスの効果
近年、MRI技術の発達と高度な脳機能マッピング・ソフトウェアのおかげで、神経科学者はまったく新しい形で脳の働きを観察できるようになりました。私たちが瞑想している時に脳に何が起きているか、また瞑想の長期的な効果の一部についても解明できるようになったのです。
当初、瞑想中に変わるのは脳の活動だけだと考えられていました。しかし複数の研究の結果、神経の可塑的変化と呼ばれる脳の構造そのものの変化が起こりうることがわかりました。
つまり、体のトレーニングで特定の筋肉を厚く、強くできるのと同じように、瞑想を通じた心のトレーニングによって、安らぎや幸福感と結びついた脳の部位をより厚く、強くできるのです。以下に、最近の研究でわかった事例をご紹介します。
事例1:医療関係者もマインドフルネスを支持
イギリスの精神保健財団が実施した最近の調査では、内科医の68パーセントが、特に健康に問題を抱えていない人にとっても、マインドフルネスを学ぶのは有益であるとの見解を示しました。
事例2:瞑想は幸福感に関係する脳の部位を活性化させる
もしあなたが楽天的でめげないタイプなら、脳の左前面がとても活発である可能性が高いでしょう。逆に、不安になったりネガティブ思考に陥りやすいタイプなら、脳の右前面のほうが活発だと思われます。
ウィスコンシン大学の神経科学者チームは、マインドフルネスをわずか8週間実践しただけで、被験者の脳の左側が右側よりも活発になり、それに従って幸福感や満足感が増したと報告しています。
事例3:マインドフルネスはネガティブな感情をやわらげる
カリフォルニア大学ロサンゼルス校の神経科学者チームは最近、マインドフルネスを実践した人が、していない人に比べてネガティブな感情を感じにくいことを発見しました。同チームによれば、それらの感情に「レッテルを貼って」より意識することで、その強さが大幅に減じられたということです。
今度、腹いせのメールを書こうとしたり、かっとなって相手を怒鳴りつけたくなった時は、自分の怒りに「怒り」のレッテルを貼るようにすれば、後になってばつの悪い謝罪をしなくてよくなるかもしれません。
事例4:瞑想はストレスの悪影響を抑える
ストレスが健康に相当の悪影響を及ぼすことはよく知られています。医師はこれまで、「ストレス反応」が血圧やコレステロール値を上昇させ、心臓発作、高血圧症、心疾患などを引き起こす場合があることを発見しています。
またストレスは免疫系にも影響を与えるほか、妊娠の確率を低下させることも示されています。逆に、瞑想は「リラクゼーション反応」を生じさせ、血圧や心拍数、呼吸数、酸素消費量がいずれも低下する一方、免疫系が大幅に強化されることが示されています。
事例5:マインドフルネスは不安を減少させる
数年前、マサチューセッツ大学医学部では、全般性不安障害の患者に対するマインドフルネスの効果を調べました。その結果、8週間瞑想を実践した後、実に90パーセントの被験者が不安やうつ状態の大幅な改善を報告しています。
さらに驚くべきことに、最近のフォローアップ調査では、当初の実験から3年経過後もこれらの症状の改善が維持されていたことがわかりました。
事例6:瞑想で脳の形が変わる
モントリオール大学の研究チームは、瞑想をしている人としていない人のあいだで、痛みを感じている時の脳の反応の違いを調べました。その結果、瞑想をしている人では、していない人に比べて、痛みや感情をつかさどる脳の部位がかなり厚いことがわかりました。
これは重要な発見です。なぜならその部位が厚いほど、痛みへの感受性が低くなるからです。この脳の形態変化の可能性は神経可塑性と呼ばれます。つまり瞑想をすると、ものの見方や考え方が変わるだけでなく、脳の器質的構造も変えられる可能性があるのです。
事例7:マインドフルネスで生活の質が改善する
ランダム化比較試験の結果、うつ病の再発防止にはマインドフルネスを取り入れたアプローチのほうが投薬よりも効果が高いことがわかりました。投薬が必要な状況はもちろんありますが、この研究は興味深い内容を示しています。
マインドフルネスを実践した患者の75パーセントが6か月以内に完全に投薬を中止しました。また、それらの患者は再発の可能性もより低いことがわかっており、さらに、投薬を受けた患者に比べて「生活の質の改善」を経験しています。
事例8:瞑想で肌がきれいになる
マサチューセッツ大学医学部のある教授は、瞑想が乾癬の治癒に影響を与える可能性について調べる研究を行いました。乾癬は心理的ストレスと強い関係があることで知られる皮膚炎です。
研究の結果、瞑想をしている人の場合、していない人に比べて4倍も早く症状が消え、他のストレス性皮膚炎でもはっきりした相関が見られました。マインドフルネスは不安や抑うつを軽減する ボストン大学の研究チームは、39件の研究の総合分析において、様々な疾患をもつ患者の不安や抑うつの治療において、マインドフルネスがどれだけの効果を示したかを調査しました。
その結果、瞑想が幅広い健康障害の症状に大幅な効果を示したことがわかりました。効用がこれだけ広範囲に及ぶのは、瞑想をする人が一般に困難とうまくつきあう方法を身につけていて、日ごろからあまりストレスを感じないからだと研究チームは結論づけています。
事例9:瞑想で妊娠の確率が上がる可能性も
オックスフォード大学の最近の研究によれば、18歳から40歳までの健康な女性274人を対象にストレスの影響を調査した結果、ストレスが女性の妊娠の確率を下げる可能性があることがわかりました。
研究チームのリーダーは、瞑想などの方法が出生率低下への対策に有効である可能性を示唆しています。
事例10:瞑想はセルフコントロール力を高める
マインドフルネスの効果を調べている研究チームによれば、被験者がごく短時間の瞑想をわずか5日間しただけで、感情や行動のコントロールに関係する脳の部位への血流が増加したことがわかりました。
また、計11時間の瞑想の終了後には、この脳の部位の器質的変化が起こっていました。さらには、おそらく意外ではないでしょうが、マインドフルネスが薬物依存、喫煙癖、摂食障害の治療にも有効であることが複数の予備的研究で示されています。
ある研究では、わずか42日間で過食行動が50パーセント以上減少しました。
事例11:マインドフルネスはストレス下でのパフォーマンスを向上させる
ペンシルベニア大学の神経科学者チームは、ストレスのかかる状況でのアメリカ海兵隊員の心理的パフォーマンスの低下を補う目的に、マインドフルネスが有効かどうかを調査しました。
「マインドフルネスのトレーニングによりマインド・フィットネスを鍛えることで、救急隊員、救助隊員、外科医からプロスポーツ選手やオリンピック選手まで、極度のストレスのかかる状況下でピークパフォーマンスを維持しなければならない者なら誰でもメリットを得られる」と研究チームのリーダーは語っています。
事例12:瞑想は眠るまでの時間を半減させる
マサチューセッツ大学医学部の研究チームは、瞑想を取り入れた効果的な不眠治療へのアプローチを開発しました。研究によれば、不眠症と診断された患者の58パーセントが大幅な改善を報告し、投薬を受けていた患者の91パーセントが薬の服用量を減らすか、完全に服用を中止しました。
またスタンフォード大学付属病院の神経科学者チームが実施した別の関連研究では、マインドフルネスを実践してわずか6週間で、被験者は通常の半分の時間で寝つけるようになった(平均で40分から20分に)ことがわかりました。
事例13:マインドフルネスで締め切りが守れるようになる
複数のマインドフルネスに関する研究によれば、わずか4日間のトレーニングで被験者の認知能力の大幅な改善が見られたことがわかりました。被験者は特に持続的な集中が求められる身体的・知的なタスク、および時間的制約が課された中でのストレスのかかるタスクで優れたパフォーマンスを示しました。
これらの研究のひとつを実施した研究者の言葉をご紹介しましょう。「瞑想を行ったグループは、制限時間のある認知テストのすべてで特によい成績を示した。制限時間内に情報を処理しなければならないストレスのかかるタスクでは、短時間のマインドフルネスのトレーニングを受けたグループが有意に優れた成績を残した」
事例14:瞑想が認知力や注意力の衰えを防ぐ
米エモリー大学の研究チームは、瞑想を行ったグループと行っていないグループでの脳および認知能力を比較する研究を実施しました。対照群では、予想通り年齢の高い被験者ほど反応の速度と正確性が低下しました。
しかし、瞑想を行っているグループではこの加齢による低下が見られませんでした。高度な脳機能マッピング技法の使用により、通常は加齢とともに起こる灰白質の減少が瞑想により抑えられていたことがわかりました。
この本の著者…アンディ・プディコム(Andy Puddicombe)
イギリス保健医療委員会公認の臨床瞑想コンサルタント。元仏僧。大学在学中に僧を志し、アジアに旅立つ。世界各地の寺院や僧院で修行を積んだのち、チベットの僧院で正式な仏僧となるが、2004年にイギリスに帰国し、瞑想普及のための団体〈ヘッドスペース〉を創設。「瞑想を誰にとっても身近なものにし、なるべく多くの人に瞑想にしたしんでもらいたい」との理念をもち活動に励んでいる。
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く