不安な感情にとらわれないために...日常に生かす「マインドフルネス瞑想」のやり方
コロナ禍による自粛期間中、出口の見えない不安を感じた人は多いはず。不安な感情に巻き込まれず、穏やかにい続けるためのヒントをマインドフルネスに学びます。
この瞬間に意識を向けて客観的に心を見る習慣を
マインドフルネス研究の第一人者であるジョン・カバット・ジン博士は、「瞬間、瞬間の体験に対して、いっさいの価値判断を入れず、意図的に注意を払うことで実現される気づき」だとマインドフルネスを定義しています。「簡潔に言うと、今に意識を向けて、あるがままを観察するのがマインドフルネスです。普段私たちは、感情や思考と一体化しているから心が揺れて苦しみが生まれます。また、過去への後悔、未来への過度な不安へのとらわれもネガティブ思考の原因。今に意識を向け、心を俯瞰してあるがままを見ていくとメタ認知(自分を客観視する能力)が高まり、『不安にとらわれていたな』と気づくもの。すると気持ちを切り替えて苦しみから解放されていくのです」と吉田昌生先生。
アメリカでは、Googleをはじめシリコンバレーを代表する先進企業が社員のストレス緩和や人材研修にマインドフルネス瞑想をいち早く導入しました。しかし瞑想は本来、生死を繰り返す輪廻から解脱し、生まれ変わる必要のない平穏な境地に至るための仏教の修行法。宗教性のある瞑想がビジネスシーンで受け入れられたのはちょっと意外です。
「そうですね。ジョン・カバット・ジン博士は、瞑想から宗教性を切り離し、生産性の向上をはじめ瞑想の効果を裏づける科学的なデータを提示したんです。それによりスティーブ・ジョブズのような経営者がマインドフルネス瞑想を実践し、洗練されたイメージが定着。今では日本でも企業や医療現場で導入され注目を集めています」
常にマインドフルネスであり続けるには、瞑想をベースとしたメンタルトレーニングが有効ですが、その方法は座って行う瞑想法に留まりません。「マインドフルネスは、日常的に気づきを重ね、快適に生きるためのメソッド。したがって座る瞑想だけでなく、食べる、飲む、話を聞くなど日常の行動を、五感を働かせてマインドフルネスに行うのも効果的。ぜひ生活の中で実践してください」
瞑想をやってみよう!
マインドフルネス瞑想の前には、軽く体を動かして気の流れを整えると集中力がアップします。瞑想中は雑念が浮かんでも否定せず、その状態を観察することを心掛けて。
STEP1:ヨガで呼吸と体を整えよう
安定して座り続けるためには、体の準備が肝心。まずは足先のストレッチとハーフナマスカーラで体の状態を整えましょう。
足指ストレッチ
気の流れが整うと、体が安定して集中力が高まり瞑想に入りやすくなります。足先は特に気の流れが滞りやすいポイント。巡りが悪くなると冷えやこわばりが気になって集中できません。瞑想を深める準備として足首と足指を入念にストレッチしましょう。
足首回し
長座になり右腿に左足首をおき、左手で足首を固定。右手を左足指の間に入れて足首を大きくゆっくり10回まわす。足を入れ替えて 同様に。
足指ほぐし
左足の親指と人差し指を持ち足指の間を広げるイメージで前後に動かし、ほかの指も一本ずつほぐす。足を替えて同様に。
ハーフナマスカーラ
全身の気の流れが整うのが太陽礼拝。吸う息で胸の広がりを感じ、吐く息でお腹がへこむ感覚を意識し、呼吸に動かされるように丁寧に動くことを意識して。前屈時に腿裏が張る人は膝を曲げると背筋を正したままポーズを深めることができます。今回は初心者も無理なくできるハーフナマスカーラにトライ!
両脚をそろえて立ち、息を吸い両手を天井へ。脚と手で、腰椎を上下に引っ張り合う感覚を意識する。
吐く息で上半身を股関節から前屈させ、手を床につく。膝をゆるめてもOK。
吸う息で上半身を半分起こし、腹圧で腰を伸ばす。頭頂から尾骨は一直線に。
息を吐いて前屈。腰の伸びを意識し、上半身は脱力する。
吸う息で上半身を起こし、両手を天井へ。腹圧で腰を伸ばしお腹を引き上げる。
これもやってみよう:〈マインドフルネスの手法のひとつ:ジャーナリング〉
ネガティブ体験は紙に書き出すと心が楽に
目の前の出来事や、浮かんだ感情や思考を思うがままに紙に書き出すのがジャーナリング。書くことで事実と解釈は別物だとわかり冷静な判断ができるように。結果、感情と思考に距離が生まれ、ネガティブになりにくくなります。
・事実を書き出す→「 今日、〇〇さんに無視された」
・自動思考を書き出す→「 昨日のこと、怒ってるのかな...?」
・感情を書き出す→「悲しい」「つらい」「いつまで怒ってるの!腹が立つ!」
・体の感覚を書き出す→「胃のあたりが重い」「肩がこる」
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