【重い荷物を持ち上げるときに試して】思うだけでOK!腰が痛くならない簡単な思考法

 【重い荷物を持ち上げるときに試して】思うだけでOK!腰が痛くならない簡単な思考法
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私たちは日常的に余計な力を入れることに慣れて、常に緊張しながら生活しています。そんな緊張と効率的な体の使い方について探求しているアレクサンダーテクニークの実践者が、痛みなどの体にまつわる「負」とその根底にある思い込みについて、解剖学的な視点を交えて考察し、思考から体の使い方を変える方法を提案します。25回目のテーマは「重い荷物を持ち上げると腰が痛い」です。引っ越しなど、荷物を持ち上げる機会が増えるこれからの時期、カンタン思考術で乗り越えましょう!

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持ち上げるのは腕の仕事という思い込みで腰が痛くなる

重い荷物や床などの低いところに置いてあるモノを持ち上げるときに腰を痛めるというのは、多くの人が経験していることだと思います。起き上がれなくなるほど重症ではなくても、持ち運んでいるうちにジワジワと痛みが増して、後日まで残ってしまうということもあるでしょう。インターネットを検索すると重いモノを持ち上げる方法として、脚力を利用するといった対策がよく見受けられますが、そもそもなぜ脚力が必要になるのでしょう。

そこには、モノを持ち上げるのは腕の仕事だという思い込みがあるせいかもしれません。持ち上げる対象を意識し、腕を使うことにばかり集中して、腕だけを頑張らせてはいませんか?

腕や背中がロックして腰だけで動こうとする

持ち上げる対象に触れて、そこから持ち上げなければならないので、腕や手が重要なのは確かです。しかしながら、持ち上げるという動作を腕だけの仕事だと思っていると、上腕や肩にどうしても力が入ってしまうものです。それに伴って背中も固まり、上半身の中で可動域が広い腰だけに頼って動こうとしてしまいます。

さらに低い位置にある荷物の場合は、腰を曲げて取りにいきがちです。そして、取り落とさないように脇を締めて肩に力を入れ、腰を伸ばすことで持ち上げるのです。

このように上半身だけで、しかも腰以外の部分は荷物の重量に対抗しようと余計な力が入っているため、腰にばかり負担を強いることになるのです。

持ち上げるときに下半身を参加させるカンタン思考術

持ち上げるという動作に下半身を参加させるには、次のことを試してみましょう。

1.「脊椎はカーブを描いていて、頭はその先で自由に動ける」と思う
まずは脊椎と頭の構造を思い出すことによって、固まっている上半身の緊張を解きます。

「脊椎はカーブを描いていて、頭はその先で自由に動ける」と思う
イラストAC

2.「膝は前へ、お尻は後ろへ向かう」と思いながら膝を曲げて荷物を手に取る
膝や股関節がどのように曲るのかという方向性を意識すれば、膝や股関節、さらに足首までが過度な力を入れずに動いて、無理なく荷物に手が届きます。

「膝は前へ、お尻は後ろへ向かう」と思いながら膝を曲げて荷物を手に取る
illustration by Mia Hotaka

3.「頭は前へ上へ向かう、そして股関節と膝が伸びる」と思って持ち上げる
そして持ち上げるときも、下半身がどう動けばいいかを意識してみてください。持っている荷物に注意が向き過ぎると前述のように、脇を締めたり肩に余計な力が入ったりしてしまいます。荷物を持っている手や腕を信頼して、あとは股関節や膝が動くことに任せるだけ。必要なところに必要なだけの力で、荷物は持ち上がります。

「頭は前へ上へ向かう、そして股関節と膝が伸びる」と思って持ち上げる
illustration by Mia Hotaka

荷物を持ち上げるという動作は、腕を中心とした上半身だけではなく、下半身も含めた全身の仕事。特に荷物の重量が重くなるほど、下半身の役割は大切です。このカンタン思考術で下半身も使うことを意識に加えれば、荷物運びもラクになることでしょう。

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ホタカミア

ホタカミア

ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。



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