【腕がつらいときに試してみて】荷物の肘掛けがラクになる“思うだけでOK”の方法

 【腕がつらいときに試してみて】荷物の肘掛けがラクになる“思うだけでOK”の方法
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私たちは簡単な動作でも余計な力を使って、体を疲れさせることに慣れています。その要因の一つに「この動作はそういうものだから」という思い込みがあります。そこで、余計な力みをやめて効率的に体の使うことを探求しているアレクサンダーテクニークの実践者が、違和感や痛みといった体に関する「負」と思い込みの関係性を解剖学的な視点で考察し、思考から体の使い方を変える方法を提案します。23回目のテーマは「荷物の肘掛けで腕がつらい」です。

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腕がつらくなるのは肘に掛けた荷物を引き寄せたいという衝動があるから

カバンやスーパーの袋を肘に掛けて運んでいると、肩が痛くなったり、肘がしびれたりと腕がつらくなるものです。近年はプラスティック削減で多くの人がエコバッグを持ち歩いていますが、予定外の買い物で両手にビニール袋を下げなくてはならなくなった、なんてこともありますよね。また肘掛けにちょうどよくデザインされたバッグでも、長時間掛けていれば不具合が生じることでしょう。

荷物を肘に掛けていて腕がつらくなるのは、荷物の重さという物理的な負荷は当然ですが、同時に腕がつらくなるように無意識に体を緊張させているせいかもしれません。

荷物を肘に掛けるとき、その荷物を自分の体に引き寄せたいという衝動はありませんか?
そして、引き寄せた荷物を安定させるために、腕でしっかり支えたいと思ってはいないでしょうか?

荷物を引き寄せたいという思いが腕や肩を必要以上に力ませる

肘に掛けた荷物を引き寄せたいと思うと、自然と脇を締め、荷物の重さに対抗しようと肩を少し引き上げたくなります。加えて、腕でしっかり支えようとすれば、腕を動かさないように肩や肘の可動域に制限をかけ、動きにくい状態を自分で作り上げていることも考えられます。そしてこの状態を維持するため、肩や胸、背中の筋肉を収縮させたまま固めてしまうのです。

このように荷物の負荷以上の力を体に入れて、それを無理やり維持し続けているわけです。荷物が重いと思えば思うほど、それ以上の力でもって対抗するものなので、腕への負担は増すばかりです。

荷物の肘掛けをラクにする3ステップ

余計な力を抜いた状態で荷物を肘掛けで維持するには、次のように思いながら荷物を肘に掛けるだけです。

1.「脊椎はゆるやかなS字カーブを描いている。そして、その脊椎の先で頭はバランスをとっている」と思う
まずは頭と脊椎を意識することによって、習慣的に入っている全身の緊張を解く準備をします。

脊椎はゆるやかなS字カーブを描いている。そして、その脊椎の先で頭はバランスをとっている
イラストAC

2. 胸鎖関節に触れて「腕は鎖骨から始まっている」と思う
腕は胴体と上腕のつなぎ目である肩から先だと思われがちですが、実は胸鎖関節こそが腕と胴体のつなぎ目。鎖骨や肩甲骨も腕の一部です。それを思い出すため、片手で喉の下にある胸鎖関節に触れ、腕は鎖骨から始まっていることを自分に言い聞かせます。

腕は鎖骨から始まっている
イラストAC

3.「腕は外へ向かって伸びている」と思う
体には骨格的・筋肉的な流れのようなものがあるので、その流れに沿って、内から外へ向かって腕が伸びていることを思い描いてみましょう。
・体の前面:鎖骨→脇→肘→手首→指先
・体の背面:腰→肩甲骨→肘→手首→指先
たとえ肘が曲っていても、体の構造は同じなのでこの流れは変わりません。

腕は外へ向かって伸びている
イラストAC

既に歩き始めていて余裕がないときなどは、3.をイメージするだけでも十分。ちょっとした思考の変化が体の力みに影響を与えていることを実感できると思います。

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AUTHOR

ホタカミア

ホタカミア

ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。



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