【歩行時の膝の痛みに悩む人へ】意識するだけでOK「膝の負担を軽くする歩き方」

 【歩行時の膝の痛みに悩む人へ】意識するだけでOK「膝の負担を軽くする歩き方」
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緊張とは人前などの大舞台で起こるものばかりではありません。「この動作はこうするもの」と思い込み、それに伴って体に無意識に力が入ってしまっているのも一種の緊張です。その力みが最終的に痛みを引き起こしていることもあります。そこで緊張と効率的な体の使い方の関係性を探究するアレクサンダーテクニークの実践者が、痛みなどの体にまつわる「負」と根底にある思い込みについて、解剖学的な視点を交えて考えてみました。そして思考から体の使い方を変える「思うだけの解決策」を提案します。19回目のテーマは「歩行時の膝痛」です。

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歩行時の膝痛の要因は「脚を動かそう」という思い

無理をして走ったわけでもなく、ただ歩いているだけなのに膝が痛くなるというのはよくあることです。非情に日常的ですが、その人の個性が最も現れる動作でもある歩くという行為。無意識に歩いている人がほとんどだとは思いますが、それでも「脚を動かそう」「速く前に進もう」というように潜在意識は脚にあるはずです。

横断歩道で急がねばならないときなどは、「もっと速く」と自分を追い立てることもあります。膝を傷めるのはそのようなシチュエーションが多いのではないでしょうか。

脚を動かそうとして太ももが過剰に力み、膝に捻りが入る

脚に意識が向いているとき、たいていは太ももが過剰に力んで、内股になるように閉じようとしているか、外股になるように開こうとしているかのどちらかです。X脚やO脚ほどではなくても、誰もがこのような状態に陥っています。

一方で膝やつま先は意識の外になっていることが多く、力んで内股(あるいは外股)になっている太ももとは向きがズレていることが多いです。足元を確認してください。膝がつま先より少し内側(あるいは外側)を指してはいませんか?

膝とつま先の向きがズレている=膝で捻って負担をかけている
photo by Mia Hotaka

膝とつま先の向きがズレているということは、膝の関節で捻りが生じているということ。膝の関節は座っているときなどのように、大きく曲がっている場合であれば捻ってもそれほど負担にはなりません。でも歩行時のように、膝が伸びている(曲がっていてもわずか)ときに捻って体重をかけると大きな負担となります。

膝を捻らずに歩く方法

膝を捻らないようにしようとしても、太ももに入っている過剰な力を抜くことはなかなかできません。それではどうすれば膝を捻らずに歩けるのでしょう?

「脚を動かそう」と思う代わりに、次のことを実践してみてください。

1. 膝とつま先は同じ方向を向いているものであることを認識する

膝とつま先は同じ方向を向いているものである
photo by Mia Hotaka

まずは上の画像で膝とつま先が骨格的には同じ向きであることを確認します。そして自分の脚を見て、同じ構造が自分にもあると想像しましょう。想像によって、それに合った動きをするように体が準備してくれます。

2.「膝とつま先は同じ方向を向いている」と思って歩く
1. で認識したことを踏まえて、あとは「膝とつま先は同じ方向」と思って歩くだけです。1. の画像のように、自分の膝とつま先にも矢印があって、その矢印が同じ方向を向いている様子をイメージするのもいいかもしれません。

注意したいのは、膝とつま先を同じ方向に“向けよう”とするのではないこと。向けようという意欲が強いと、それだけで太ももに力が入ってしまいます。矢印の方向が同じであると思うだけで十分です。太ももの力みがなくなれば股関節も動きやすくなるので、ぜひ試してみてくださいね。

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ホタカミア

ホタカミア

ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。



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膝とつま先は同じ方向を向いているものである