【転倒せずにしゃがめる?】後ろに倒れずに「しゃがむ」ための簡単なイメージ練習法

 【転倒せずにしゃがめる?】後ろに倒れずに「しゃがむ」ための簡単なイメージ練習法
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体に起こる違和感や痛みなどの「負」とそれを引き起こしている「思い込み」について、解剖学的な視点を交えて考察するシリーズ、20回目のテーマは「しゃがむのが苦手で、後ろに倒れそうになる」です。無意識のうちに入ってしまう緊張と体の使い方の関係を探求するアレクサンダーテクニークの実践者が、思考から体の使い方を変えて、体の「負」を和らげる方法を提案します。思うだけでOKのカンタン思考術で、頑張らない日常生活を始めませんか?

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しゃがむのが苦手なのは足首が硬いせいだけではない

しゃがむのは床に座る文化がある日本ではとても馴染み深いものですが、椅子に座ることが日常的な現代では、足首が硬くなってしゃがむのが苦手という人も多いようです。しゃがもうとするとかかとが浮いてバランスがとれず、後ろに倒れそうになるという話もよく耳にします。

足首の柔軟性がしゃがむことに影響しているのは確かですが、しゃがむという動作に対する思い込みが全身のバランスをとりづらい状態に追い込んでいる可能性もあります。「しゃがむとは腰を真下に落とすこと」と思ってはいませんか?

重心の移動と腰を落とすことを勘違いして体が力む

しゃがむと重心が下がりますが、重心を真下に移動させることと腰を落とす動作が全く同じこととは限りません。骨格の構造上、腰を落とせばお尻は「後ろに、下に」向かいます。ところが、重心を真下に移動させるつもりで腰を「下に」落とそうと思うと、骨格の構造と反することを強いるため、どうしてもお尻や太ももに必要以上の力が入ります。そして股関節と膝を固まらせ、バランスがとりづらい体勢を作ります。

さらにバランスを補おうとして、上半身を起こそうとします。この上半身を起こすときに無意識に行なっているのが、肩甲骨を寄せて背中を反らすという行為です。これによって背中を強張らせて、脊椎の自由度までも失わせます。

しゃがんで安定しているのは重心が足首の上にある体勢ですが、「腰を真下に落とそう」と思うことで脊椎・股関節・膝の動きが制限され、重心が足首より後ろになってしまい、後ろに倒れそうになるのです。

全身の立体感をイメージして、膝とお尻が向かう方向だけを思う

「腰を真下に落とそう」と思う代わりに、次のように思いながらしゃがんでみてください。

1. 体は全てがつながっていて立体的であること思い出す

腰などのひとつのパーツに集中していると、他を忘れがちです。そこで頭や胸、背中、腕、脚などの全身のパーツを思い描いて、体は全てがつながっていて立体的であることを思い出しましょう。
実際に頭、首、腕、胸、お腹、太ももの前側、膝、脛、お尻、太ももの裏側、ふくらはぎ、足首と順番に触って、触覚に訴えるのもいいと思います。

体は全てがつながっていて立体的であること思い出す
イラストAC

2.「膝は前へ、お尻は後ろへ」と思ってしゃがむ

次に「膝は前に、お尻は後ろに向かって動く」と思いながらしゃがみましょう。「下」や「下がる」といった概念があると、どうしても力んでしまうものです。だから、ただ膝とお尻が動く方向だけを思ってください。そうすると無理せず安定してしゃがめます。

「膝は前へ、お尻は後ろへ」と思ってしゃがむ
イラストAC

足首を柔らかくするエクササイズはたくさんありますが、毎日続けるからこそ効果を発揮するもの。今日から始めて、今すぐスムーズにしゃがめるというわけではありませんよね。でも、全身の立体感をイメージして、膝とお尻がどっちの方向に向かうかを思うだけでも動きは変わります。しゃがむこと多い掃除などの日常で役立つので、ぜひお試しください。

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ホタカミア

ホタカミア

ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。



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