人前で緊張して声が震える!緊張とうまくつき合いながら話すのに役立つ思考術

 人前で緊張して声が震える!緊張とうまくつき合いながら話すのに役立つ思考術
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私たちは様々なストレスを抱えて、知らないうちに体を緊張させたまま生活しています。巡りめぐって、思うように体を動かせない、どこかが痛いなどの悩みとなって蓄積されていきます。そんな体にまつわる「負」について、緊張と効率的な体の使い方の関連性を探究するアレクサンダーテクニークの実践者が、解剖学的な視点を交えて考察し、思考から体の使い方を変える方法を提案します。17回目のテーマは「緊張で声が震える」です。

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緊張して声が震えるのは声を“出そう”と思っているから

普段、家族や友人と話すときには問題ないのに、誰かに意見を求められたときなど、人前では途端に緊張して声が震えてしまう、大きな声が出ないと悩む人は多いと思います。周囲に聞こえるように話そうとしているつもりなのに、思っているよりも大きな声が出なくて、焦って余計に緊張してしまう。そんな悪循環に陥ってしまうこともありますよね。

大きな声を出そうと思えば思うほどうまくいかずに声が震えてしまうのは、「声を“出す”」という考え方そのものに起因しているのかもしれません。そこには、声とは体内から口を通して、何かしらの力やエネルギーをもって外へ出すものというようなイメージがあるのだと思われます。

声を“出そう”とすると顎をつき出すような仕草をしてしまう

声を出そうと思うと、声を届ける先である前という方向を意識することにより、顎を軽くつき出すような仕草が起こりがちです。また、話す相手と少し距離があるときや複数の人に話さなければならない場合、より遠くに声を届けようと前への意識が強くなり、顎のつき出しも大きくなる傾向にあります。これは多かれ少なかれ、ほとんどの人に無意識の習慣として根付いています。

声を出そうとすると顎をつき出すような仕草をして余計な力が入る
イラストAC

この顎のつき出しは首を縮めて詰まらせ、胸部を押し下げる行為でもあります。発声器官である喉があるのは首ですし、発声に必要な息を送り出す肺は胸部にあるため、これらが縮こまった状態で無理に声を出せば、さらに余計な力が入るのは当然のこと。声を出そうと思うほどうまくいかないのは、このような思考と習慣的な動作によって、無意識に喉や肺を自分で縮こませていたからなのです。

話し始めるときの顎のつき出しをやめる方法

1. 「息はお腹の下の方から上に向かい、そこに声が乗る」と思って話す

息はお腹の下の方から上に向かい、そこに声が乗ると思って話す
イラストAC


息は肺から送り出されているものではありますが、そこには横隔膜などの胸部の腹筋だけではなく、骨盤底筋群なども参加しています。だから、息を吐くときの息の方向は「お腹の下の方から上へ」です。一番上まで上がった息は喉の奥(軟口蓋)に当たり、そこで勝手に方向転換をして、口から外に出ます。つまり私たちが肉体的にできる仕事は、息を送る方向をお腹の下の方から上へイメージするだけ。そこに声を乗せればいいのです。そうすれば、声は空気を震わせて周囲に響いてくれます。

2. より大きな声で話したいなら、周囲を見回して空間を認識する
大きな声を届けたいときは、まず落ち着いて周囲を見回してください。自分がいる空間の四隅などを黙視確認したり、話す相手の顔を一人ひとり見たりしてみましょう。それから1. の要領で話し始めて。

息の方向を下から上へと具体的にイメージし、空間を改めて認識するだけで、その場に見合った大きさの声が出るものです。人前で話すのが苦手という人は、ぜひ試してみてくださいね。

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AUTHOR

ホタカミア

ホタカミア

ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。



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