【よく眠れない】寝てもリラックスできない人に試してほしい「緊張を緩める仰向けの方法」

 【よく眠れない】寝てもリラックスできない人に試してほしい「緊張を緩める仰向けの方法」
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私たちは長年の習慣に基づいた思い込みによって、常に体を緊張させて生活しています。そこで、いつの間にか入ってしまった緊張を解放し、より効率的に体を使うことを探究しているアレクサンダーテクニークの実践者が、体に関する悩みとその根底にある思い込みについて、解剖学的な視点を交えて考察。習慣をやめるための新しい解決策を提案します。22回目のテーマは「不眠」です。

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よく眠れないのはリラックスしようと頑張っているから

なかなか寝つけない、眠りが浅い、寝ても疲れがとれないと悩んでいる人は多いです。ストレスが多い現代社会では、精神的にも肉体的にも簡単にはリラックスできない状況になっているいるのかもしれません。筆者は心理学の専門家ではないので、不眠を完全に解決することはできませんが、寝るという動作に対する習慣的な考え方もリラックスできない一因だと思っています。

寝る、仰向けになる、横になるなどの体勢=リラックスだととらえてはいませんか?
そして、寝るときにリラックスしようと頑張ってはいませんか?

背中を床にしっかりつけようとして寝ながら「気をつけ」をする

もちろん寝る体勢がリラックスモードの入り口であることにまちがいはありません。しかしながらリラックスすることに執着しすぎると、仰向けで背中を床にしっかりつけようとするといった余計なことまでしがちです。特に日本では「良い姿勢」として「気をつけ」を小さい頃から習慣づけられていることと相まって、背中を床につけることと、床と平行になるように背中をまっすぐにすることを混同している可能性があります。

そうすると、無意識に肩甲骨を背中に寄せて腰を反らせるという、無理な「気をつけ」を床の上でしていることになり、脊椎のカーブが崩れた緊張状態に陥ります。つまり、仰向けになるときに敢えて体を緊張させているのかもしれないのです。リラックスモードの入り口でこのような状態であれば、様々な不眠対策を行なっても効率的にはできないのではないでしょうか。

緊張を緩めるための仰向けの7ステップ

そこで緊張を緩める方法として、次のように仰向けになってみてください。

1. 頭頂部や指先、お尻、つま先を思いながら、体育座りになる
体の各部位をイメージに含めることで全身が連動し、緊張を緩めます。

頭頂部や指先、お尻、つま先を思いながら、体育座りになる
イラストAC & illustration by Mia Hotaka

2. 体側に手をついて、お尻を少し前にずらす
強制的に骨盤の後傾を促し、腰を反らせることを抑制します。

体側に手をついて、お尻を少し前にずらす
illustration by Mia Hotaka

3. 尾骨→腰→背中→首→頭の順に上体を床に下ろす
腰や背中の緊張を押さえながら寝ることができます。手は床について支えにしましょう。

尾骨→腰→背中→首→頭の順に上体を床に下ろす
illustration by Mia Hotaka

4. 目で天井を水平に追いながら、頭を左右にゴロゴロ
無闇に頭を振るのではなく、目で見えているものを追うことで、首回りの緊張を緩めます。

目で天井を水平に追いながら、頭を左右にゴロゴロ
illustration by Mia Hotaka

5.「膝は外に向かう」と思って、片脚ずつ伸ばす
体育座りから始めたので、立て膝になっています。膝で外側に円を描くように脚を伸ばすと、股関節や太ももの緊張を緩めることができます。

「膝は外に向かう」と思って、片脚ずつ伸ばす
illustration by Mia Hotaka

6. 両手を胸の前で合わせ、「指先が天井に向かう」と思いながら挙げる
仰向けになると肩の先を床につけようという衝動が起こりやすいため、それを防いで肩を自然なポジションにする準備です。

両手を胸の前で合わせ、「指先が天井に向かう」と思いながら挙げる
illustration by Mia Hotaka

7.「肘と肘が離れていく」と思いながら、肩→肘→手の順に腕を降ろす
脇が締まらずに、広い背中のままでいることができます。手は床に置いてもいいですが、お腹の上の方が肩には楽かもしれません。

「肘と肘が離れていく」と思いながら、肩→肘→手の順に腕を降ろす
illustration by Mia Hotaka

このように自分の体がどう動くのかを思い描きながら仰向けになると、いつも寝るときとは違うはず。寝転がるのに面倒なステップを踏むと思うかもしれませんが、丁寧に仰向けになることで“積極的に”リラックスすることもあります。余裕がないときは1〜3だけでもいいので、試してみてくださいね。

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AUTHOR

ホタカミア

ホタカミア

ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。



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体側に手をついて、お尻を少し前にずらす
尾骨→腰→背中→首→頭の順に上体を床に下ろす
目で天井を水平に追いながら、頭を左右にゴロゴロ
「膝は外に向かう」と思って、片脚ずつ伸ばす
両手を胸の前で合わせ、「指先が天井に向かう」と思いながら挙げる
「肘と肘が離れていく」と思いながら、肩→肘→手の順に腕を降ろす