加齢による【首下がり症候群にならないために】首と頭を支える「頭板状筋」を鍛える背骨のサポートトレ
更年期を迎えた頃から関節に痛みやきしみを感じるようになり、肩や膝が動かしづらくなることがあります。この連載では、関節の動きに関わる筋肉を鍛えて関節の可動性を維持・向上させる「背骨のサポートトレ」を村越美加先生がレクチャーします。プレ更年期からしっかり鍛えて関節に生じる不具合を予防し、日常動作をスムーズに行える体を目指しましょう。
関連筋を強化して関節にかかるダメージを軽減
「加齢による軟骨のすり減りに加え、更年期に入り女性ホルモンのエストロゲンが減少すると関節に痛みやきしみが生じます。関節には骨と骨を連動して可動させる役割があり、筋肉には一つの関節をまたぐ単関節筋と、二つ以上の関節をまたぐ多関節筋があります。関節はこれらの筋肉が伸縮することで動くため、筋肉が衰えると関節の動きが悪くなり痛みの悪化にも影響します。
また、関節まわりの筋肉は、動作時に関節にかかる衝撃を吸収する役割を担っています。したがって、筋肉が衰えると関節にダイレクトに衝撃が伝わり、軟骨のすり減りなどを進行させるので早めの対策が必須。すでに関節に違和感があり熱を持っている場合は、無理してトレーニングを行うのは禁物です。まずは整形外科などを受診するのをおすすめします。痛みが和らいだら医師のアドバイスのもと関節の可動域を取り戻すストレッチから始めて、無理なく動かせるようになったら筋トレに移行しましょう」(村越美加先生)
頭を真っすぐ支える筋肉を鍛え、首の折れ曲がりを予防
「高齢になると頭を持ち上げて顔を正面に向けた状態を保てず、常に首が前方に屈曲する首下がり症候群の人を見かけます。加齢による筋力低下が原因の場合、頭を真っすぐ支えるには、頸椎の左右に位置し首を反らすときに働く頭板状筋の強化が必要。頭板状筋を強化し頭を真っすぐ保てると、背骨の自然なS字カーブが復活し、関節や背中側の筋肉にかかる負担がやわらぎます。紹介する首のアイソレーションはダンスの動きのテクニックのひとつ。スマホを使う際、首が前に出るスマホっ首の人は首下がり症候群予備軍の可能性があるので早めに対処しましょう」(村越美加先生)
首のアイソレーション
目的と効果:頸椎まわりの頭板状筋を鍛えて、背骨のS字カーブを取り戻し首の折れ曲がりを防ぐ。
〈やり方〉
1.椅子に座り、お腹を引き込み背筋を伸ばす。腕を胸の前でクロスして右手を左肩、左手を右肩におく。
2.顔の前にある壁をおでこで押すイメージを持ち、上半身は動かさず首を前方へ移動させる。
NG
背骨が丸まり上半身が前に傾き、首が前方に動いていない。
3.頭の後ろにある壁を後頭部で押すイメージを持ち、上半身は動かさず首を後方へ移動させる。10回×3セット。
NG
上半身ごと後ろに引っ張られて、首が後方に動いていない。
〈プロフィール〉
村越美加先生
ヨガ・フィットネス・ピラティスインストラクター。フィットネス運動指導歴34年。健康運動指導士、介護予防運動指導員。大手スポーツクラブの正社員として9年勤務しチーフインストラクターとして、エアロビクス、ヨガ、ピラティス、ボディメイクトレーニングの指導のほか、インストラクター管理、インストラクターの教育&育成業務を担当。現在はフリーランスに転向し、ヨガ、ピラティス、エアロビクス、シニアエクササイズの指導のほか、インストラクターの教育や養成コースの講師、企業出張フィットネス、講演、メディアにおけるエクササイズモデル、エクササイズの監修、モデル業と幅広く活動中。
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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