鬱の手前「いつもやっていることが出来ない…」時に、気分を一新して思い込みを手放す「簡単ワーク」
ビジネスマンとして多忙を極めていた頃、無理が重なりうつ病と診断された経験を持つ、40代ヨガ講師・吉本憲太郎さんによる連載。ヨガに出合い、本来の自分を取り戻した経験から、心の痛みに寄り添える吉本さんの視点で、働く世代の心が軽くなる物の見方、考え方をアドバイス。実体験をもとに効果を感じた、体から心にアプローチする「お悩み解消ワーク」も紹介します。
今までの当たり前を手放し、新たな当たり前を作る
―タスクを詰め込みすぎたり、嫌なことがあったりして気力が奪われると、いつもやっていることがスムーズにできないときがあります。そうすると、こんなこともできないのかと落ち込みがちです。
「お風呂に入る、ごはんを食べるといった、当たり前だと思ってやっていたことが一時的にできなくなる経験は誰でもあると思いますよ。こんなことじゃいけないと思い、TO DOリストを作ってやるべきことをリスト化すると、”やらねばならない”という強制的な圧力を感じてもっと辛くなってしまう。できない自分が嫌になるし、深みにハマると生きている価値があるのだろうかと思い始め負の思考から抜け出せなくなります。何事もきちんとやろうとする完璧主義の人ほど陥りやすいかもしれませんね」
―一人で悶々としていると自責の念に押しつぶされそう。どうすればこの状況から抜け出せますか?
「自分が思っている、当たり前へのこだわりを手放してみましょう。何が言いたいかというと、新しいルーティンを作ってしまうのです。できなくなったルーティンに固執し自分にムチを打って動くより、今の自分にとって行動しやすいルーティンを作ったほうが精神的に楽だし前向きに進みやすいはず。視点を変えて、できることをできるペースでやればいいだけ。自分を責める必要はありません」
―当たり前の日常が壊れることに、人は怖さを感じるもの。ですが、この当たり前が今の自分に必要かを問いかけることも時には大切なんですね。
「そうですね。物事は変化しているので、その変化に合わせて自分を変えていけばいい。僕が教えている瞑想のクラスは、最後の30分を自習時間にあてているんです。ヨガとまったく関係ないことをしてもよくて、手つかずの英語の教材を広げたり、目指している資格を取るための勉強をしたりする生徒さんもいて、今までやらずにいたことを習慣化するための時間をあえて作っています。新たなルーティンができると日常が新鮮に映り、気分を一新して歩き出せるかもしれませんね」
朝の新しいルーティンに加えたい「簡単・太陽礼拝」
簡単・太陽礼拝
本来は12ポーズを連続して行う太陽礼拝を5ポーズに短縮。朝のルーティンに取り入れやすく、フィジカル面では背骨と股関節の柔軟性を高めて、呼吸を深める効果あり。心身ともにアクティブに一日をスタートできます。
目的と効果:朝のルーティンに取り入れて、新しい当たり前を作り執着を手放すのに役立つシークエンス。
1.脚を揃えて立ち、土踏まずの真上に膝、肩、頭のラインを合わせる。手は体の横に伸ばし、目線は正面。
2.息を吸いながら両腕を天井に持ち上げる。腰が反らないようにお腹を引き込み、胸を広げる。
3.息を吐きながら、腿のつけ根から上半身を屈曲し、両膝は軽く曲げる。上半身の力を抜き、指先または両手を床につける。
4.息を吸いながら、指先をついていた人は両手を床につき、肩の前方に手首をセット。両膝を床につけて、つま先は立て四つん這いになる。
5.息を吐きながら、お尻をかかとにのせる。両体側を伸ばし3呼吸キープ。息を吸いながら四つん這いになり、片脚ずつ手の間に歩かせて2→1の順で戻る。1セット行う。
〈プロフィール〉
吉本憲太郎さん
ヨガ指導者、「..with THE CLEAR YOGA」主宰。会社員を経て、自分が苦しんだ経験を含めヨガの魅力を伝えるべく、ヨガ指導者の道へ。熊本にオープンした自身のヨガスタジオでは、ビギナークラスからOMYOGA認定校として指導者養成講座(全米ヨガアライアンスRYT200)も開催。月に一度の屋外クラスでは、ドネーションを募り熊本の自然環境保護団体に寄付している。https://with-the-clear-yoga.jp/、Instagram:@kentarouyoshimoto
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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