【スマホのしすぎによる首の痛み「テックネック」とは?】首の痛みに効く「9つの緩和ストレッチ」
猫背で画面を見ることは、もはや生活の一部になっているかもしれない。悪い姿勢からくる痛みが、生活の一部にならないように注意しよう。
会社員時代、パソコンの前に何時間も座っていると首や肩の痛みがひどくなり、ドライニードルやオステオパシー、理学療法などを繰り返し受け緩和を図った。しかし、どれも助けにはならなかった。
携帯電話でスクロール、タブレットで読書、パソコンで文字入力等々、私たちはほぼ常に前傾姿勢でいるため、「テックネック」がますます一般化している。調査によると私たちは1日に平均7時間以上画面を見ているそうだ。この姿勢は見た目に美しくないだけでなく、首の痛みにもつながる。
テックネックとは?
まっすぐに座っている時、頭は背骨に4〜6キロの圧力をかけている。しかし、画面に体を寄せるために首を前に倒して肩を丸めた際はその圧力は22キロ以上にもなり、首が引っ張られることになる。
毎日数時間そのような負荷がかかると、頭が前傾し、肩が丸くなり、胸の上部の筋肉が硬くなる。首や頭を前に傾けたりずらす習慣的な負担は筋肉の緊張を高め、背骨を圧迫し、首や肩に痛みを生じさせる。また、首の緊張は血圧の上昇、胃腸障害、呼吸機能の低下など、明らかな関係性を感じない身体機能にも悪影響を及ぼすと言われている。
首のコリ、頻繁な頭痛、首や肩の筋肉の緊張を感じる人は、テクノロジーの使い方が要因かもしれない。
テックネックを解消する方法
痛みやひどい症状がある場合は必ず医師または理学療法士に相談を。医療機関で疾患の可能性が除外された場合は、自宅でもテックネックの緩和を探る方法がある。
テックネックを解消するための行動変容
テックネックを解消する最も確実な方法の1つは、痛みの原因となる習慣を変えることだ。デバイスとの付き合い方を意識するようにしよう。
1. 画面を目の高さに保つために本や箱をいくつか重ねてデバイスを支える。
2. スマホやタブレットを持つ手をこまめに入れ替える。
3. こまめに休憩をとる。
4. スクリーンタイムを制限する。
テックネックを解消するためのストレッチ
すぐに不快感を和らげることはできないかもしれないが、テックネックを生活から根絶するためには行動変容が不可欠だ。それでもダメなら、ヨガがある。
いくつかの研究により、ヨガはテックネックからの痛みを大幅に軽減することが示されている。週に数回、痛む部分の血流を良くすることは首や肩の緊張を和らげるが、他の運動と同様、痛みを悪化させると感じたら行わないようにしよう。
私の首と肩の痛みを和らげてくれるのはヨガの練習だけだった。この2年間、この一連のポーズのバリエーションを練習してきたが、する度に解放を与えてくれる。弱っているところを強化し、硬くなっているところを伸ばすという2つの要素で働きかける。以下のポーズを一連の流れとして練習すると、まさにその2つが実現する。
1. バーラーサナ(チャイルドポーズ)
マットの上に膝をつき、膝をマット幅に開き腰をかかとに向けて沈める。尾骨が地面に下りていくのを感じながら両腕を前に伸ばし、胸と額をマットにつけてチャイルドポーズをとる。ここで好きなだけ、深くゆっくりと呼吸をする。
2. マルジャリャーサナ-ビティラーサナ(キャットアンドカウ)
準備ができたらチャイルドポーズからテーブルトップに移行し四つん這いになり、手首を肩の下に、膝を腰の下に位置させる。ゆったりと安定したキャットアンドカウに入る前に自由に頭を回したり首を動かそう。息を吸ってお腹をマットの方に沈ませ頭を持ち上げる。
そして吐く息で尾骨をたくし入れ、マットを押し背中を丸める。背骨の全体を動かすように意識する。心地良く感じる分だけ繰り返す。
3. スレッドザニードル
テーブルトップから息を吸いながら右手を横に伸ばし、そして天井に向かって上げる。吐く息で右腕を胸の下を通しマットの左側に伸ばす。股関節を膝の上に保ち、ねじりが胸椎から起こるようにする。頬と右肩をマットにつけたまましばらく静止してもよいし、スレッドザニードルの動きを気持ちいい分だけ繰り返してもよい。左側も行う。
4. ウッタナシショーサナ(パピーポーズ)
テーブルトップから指先をマット前方に這わせて腕を伸ばし、胸と額をマットに向けて下ろしパピーポーズをとる。額の下、または各前腕の下にブロックを置いてサポートしてもよい。股関節は膝の上に保ち、肋骨に深く吸い入れ、完全に吐き出す。心地良い分ここに留まる。
5. アドームカシュヴァーナーサナ(ダウンドッグ)
パピーポーズで胸が開くのを感じたら、テーブルトップに戻りつま先を立てお尻を上げてダウンドッグに移行する。肩甲骨同士を引き離しながら数呼吸ホールドする。吸う息でお尻が持ち上がるのをイメージし吐く息でかかとが沈んでいくのをイメージする。好みで胸を太ももに近づけてもよい。
6. ラグドール
ダウンドッグから手首の後ろまでつま先を歩かせ足を腰幅くらいに置く。膝をたっぷり曲げて股関節から体を折り曲げ、胸を太ももに預けウッターナーサナ(立位前屈)に入る。 頭を重く垂らし、頭頂をマットの方に下ろしていく。ここでは脚の裏側のストレッチよりも、背骨にかかる圧迫を減少させ緊張をほどくことに目的をおいている。よって膝は曲げて保つことで背面上部に意識を向ける。反対側の肘をつかんで左右に揺れたり、左右に体重を移動させたりして、ダイナミックな動きを加えてもよい。
7. ロー
準備ができたらゆっくりと体を起こしてタダーサナ(マウンテンポーズ)で立つ。体を股関節から軽く前に折り曲げ胸がマットに対して斜めの角度を作るようにする。背中を平らに保ち背骨を伸ばす。膝は少し曲げておく。両手を体側に添わせ後ろにまっすぐ伸ばす。肩甲骨を寄せ、背中をひき下げる。(肩甲骨の間に鉛筆を挟むイメージをするのが私は好きだ。)前腕が胴体と平行になるまで肘を曲げ、また腕をまっすぐに伸ばし直す動きを好きな回数繰り返す。私は通常 10 〜12 往復行う。レジスタンスバンドか軽いダンベルを使ってもよいが痛みがある場合は自重のみにする。そしてマウンテンポーズに戻る。
+背面の筋肉をしっかりと鍛えるために、上腕二頭筋ではなく肘から動作を起こすようにする。
8. マウンテンポーズ・ショルダーシュラッグ
マウンテンポーズから肩を耳の方へ持ち上げ、マットの後ろ側へ下ろし背中を下げてからニュートラルに戻す。気持ち良い分繰り返す。
9.仰向けのツイスト
立っている状態から、マットに寝転び最後のエクササイズを行う。左を下にして膝を揃えて横たわる。膝を直角に曲げ、太ももがマットの短辺と平行になるようにする。両腕を胸の前に真っ直ぐ伸ばし重ね合わせる。左腕をマットに根付かせ骨盤を平行にして安定させながら、右手で虹を描くように右腕をマットの右側に伸ばす。目で手を追う。体に抵抗を感じ始めたところで腕を伸ばす動きを止める。右手を左手に戻し、またねじる動作を繰り返す。後ろに手を伸ばす際、骨盤と体側は固定し安定させておく。好きな回数繰り返す。
教えてくれたのは…ビアンカ・バトラー
燃え尽き症候群から自己免疫疾患と診断された後、ビアンカ・バトラーは職場にウェルネスをもたらすという目的を見出した。本業とライフワークのバランスをとりながら、水温が高いところならどこでもサーフィンを楽しみ、企業におけるウェルビーイングについての講演やヨガの指導を行う。
ヨガジャーナルアメリカ版/「Texting Messes With Your Neck. These 9 Essential Stretches Offer Much-Needed Relief」
AUTHOR
ヨガジャーナルアメリカ版
全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。
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