理学療法士が解説【長時間同じ姿勢でいるリスクとは】姿勢の固定化を解放&リセットする「セルフ牽引」
牽引(けんいん)とは
牽引とは、「大きな力で物体を引っ張ること」です。医療では、主に首や腰を機器で引っ張って治療する牽引療法のことをいいます。
牽引療法の歴史は古く、「医学の祖」と称されるギリシャのヒポクラテスが、骨折や脱臼の整復に牽引を用いていたことが記されています。
牽引療法の目的は、整復・矯正・固定・安静・免荷・拘縮除去が主です。その効果は多数報告されていて、現代でも多くの接骨院や整形外科クリニックで牽引機器が導入されています。
セルフ牽引エクササイズ
今回は「リセットエクササイズ」として、自分自身で牽引する、「セルフ牽引」を4種類紹介します。写真を参考に行ってくださいね。
頚椎のセルフ牽引
タオルの両端を持ち、タオルを後頭部に引っ掛けるようにします。目線と顔を30度ほど上に向けて、タオルを目線方向の斜め上に軽く引っ張ります。首の後ろが引き上がり広がるような感覚です。10秒キープを3回行います。
胸椎と腰椎のセルフ牽引
肘掛けのある椅子に腰掛けて、それぞれ両手で肘掛けを握ります。そこからお尻を座面から持ち上げて、足裏は床についたままで両肘は突っ張るようにしてぶら下がります。腰の辺りが骨盤の重みで引っ張られて広がるような感覚です。10秒キープを3回行います。
肩関節のセルフ牽引
背もたれのある椅子に横向きに座ります。片腕を背もたれの向こうに垂らします。手には500mlのペットボトルを握り、おもり代わりにします。脇の下と背もたれとの間にタオルを挟んでおくと痛くないです。その腕を前後にブラブラと30回揺らします。圧迫した肩関節の中に空間ができるような感覚です。反対腕も行います。
股関節のセルフ牽引
ヨガブロックなど少し高い台の上に片足を乗せます。反対足は台から垂らします。その垂らした脚を前後にブラブラと30回揺らします。バランスが取りにくいので、壁などを支えにして構いません。圧迫した股関節の中に空間ができるような感覚です。反対脚も行います。これらのエクササイズによって、関節にかかる荷重を一時的に除圧することで、関節にかかる物理的ストレスを軽減し、関節内の循環の改善が期待できます。。
AUTHOR
堀川ゆき
理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。2006年に渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在大学病院にて慢性疼痛に対するリハビリに従事する。ポールスターピラティスマットコース修了。慶應義塾大学大学院医学部博士課程退学。公認心理師と保育士の資格も持つ二児の母。
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