【ヨガの効果を科学的に検証】”幸せホルモン”の分泌を促す「セロトニンヨガ」とは?

 【ヨガの効果を科学的に検証】”幸せホルモン”の分泌を促す「セロトニンヨガ」とは?
Sayaka Ono

ヨガをすると“ハッピーホルモン”と呼ばれるセロトニンの分泌が促される——その効果を科学で立証した「セロトニンヨガ®」。心穏やかな日常へ導くその魅力をご紹介!

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悩みが消えて心満たされるヨガ後の至福の正体とは!?

ヨガをするとリラックスしてストレスも解消される……これまでなんとなく体感していたヨガの効果が、科学的に立証され誕生した「セロトニンヨガ®」。
「セロトニンヨガ®は、幸せホルモンといわれるセロトニンの分泌を促すとともに、ストレスホルモンであるコルチゾールを抑制する効果に秀でたフロースタイルのヨガ。これはセロトニン研究の第一人者、東邦大学名誉教授の有田秀穂医師に監修いただきながら、ヨガに伴う心拍変動の測定、血液検査、国際基準の臨床心理テスト(POMS)を行い、1年以上かけて200名以上の有効データを集め、その中からもっとも効果の高いシークエンスを厳選しました。成果を立証できたことで、今後はヘルスケアはもちろん、運動療法として医療機関にヨガが導入されることを目指しています」(野村賢吾先生)

特徴① ホルモン量の変化を科学的に検証したヨガ

クラス前後に行った検証では、下図のように血中ホルモン値の変化、POMSで数値化されたネガティブ感情の減少など、確かな効果が多く見られました。 
「セロトニンが分泌されると、精神的に安定して多幸感やマインドの落ち着きをもたらし、日中は思考がクリアに、夜は睡眠の質が高まって生活リズムも整い、うつ病などの精神疾患にも効果を表します。さらにセロトニンは、興奮・依存を招くドーパミンやアドレナリンのバランスを調整する役目も。逆に、コルチゾールの抑制はストレスを軽減し、免疫を高める効果も期待されます。セロトニンヨガ®はシークエンスの組み方やリードの仕方など、どんな条件下でもっとも効果が高まるかを多角的に検証したプログラムなのです」

POMSを使って不安、緊張を数値化
左は通常のヨガクラス前後に測定したグラフ。右はセロトニンヨガ®後。不安、緊張度がより減少しているのがわかる。

”幸せホルモン”の分泌を促す「セロトニンヨガ」①
POMSを使って不安、緊張を数値化

POMSを使って怒りを数値化
通常のヨガクラス後の上図と比べ、セロトニンヨガ®の特徴である「協調運動」(後述)を意識した場合(右)は、怒り指数が30%以上も減少。

”幸せホルモン”の分泌を促す「セロトニンヨガ」①
POMSを使って怒りを数値化

クラス前後のコルチゾール濃度の変化
セロトニンヨガ®後は90%以上の確率で、ストレスホルモンのコルチゾールが抑制された。

”幸せホルモン”の分泌を促す「セロトニンヨガ」①
クラス前後のコルチゾール濃度の変化

クラス前後のセロトニンの分泌量の変化
セロトニンヨガ®の参加者の70%に、セロトニン分泌が増えたことも確認できた。

”幸せホルモン”の分泌を促す「セロトニンヨガ」①
クラス前後のセロトニンの分泌量の変化

特徴②「呼吸を深めるリズム運動」でセロトニンの分泌を促す

呼吸生理学に基づいたシークエンスも特徴のひとつです。
「セロトニン神経を活性化するには、呼吸を深めて血中酸素濃度を上げることが大切。そのためクラスを左のような3パートに分けて心拍数をしっかり測定し、それぞれの心拍変動が理想的なアーチを描くように組み立てています。
ピーク時は100〜140まで心拍数を上げられる運動負荷をかけ、そこから最後は60以下まで下げる。この『落差』がセロトニンの分泌を促し、深いリラクゼーションへ導くカギになるわけです。さらに、呼吸を深めるリズム運動も組み込んでいます。同じ名称のアーサナでも、背筋を使い胸郭を開くことで吸気が優位になる『吸えるポジション』と、背中を丸めて腹筋を使うことで呼気が優位になる『吐けるポジション』に分かれ、それを交互に繰り返すことでセロトニンの分泌を促します」

心拍数の変化がポイント!

まずはほどよい心拍数でウォーミングアップ【コンディショニング(心拍数80~100)】
クラスの導入パート「コンディショニング」では、座位や膝立ちのポーズをメインにウォーミングアップ。心地よいフローで、平均心拍数が80~100bpmになるように調整。

運動量の高いフローで呼吸もリズミカルに【アクティベーション(心拍数100~140)】
クラス中盤のピーク時、「アクティベーション」では、太陽礼拝のような立位のシークエンスで運動量と集中力を高め、平均心拍数は100~140bpmまで上げていく。

心拍数をスローダウン、大きな落差が深い休息へ【リラクゼーション(心拍数60以下)】
最後の「リラクゼーション」で臥位のポーズからシャヴァーサナへ。集中的に使った背筋をはじめ、全身を休息モードへ。平均心拍数は60bpm以下までスローダウン。

同じポーズでも【吸う】【吐く】をポジションでコントロールできる!

バッダコナーサナ

【吸う】背筋を使うバッダコナーサナでは、呼気が優位になり心拍数と血中酸素濃度は上昇。

”幸せホルモン”の分泌を促す「セロトニンヨガ」①
photo by  Sayaka Ono

【吐く】背中を丸めると腹筋を使って吐け、呼吸器官も制限され心拍数や酸素濃度は低下。

”幸せホルモン”の分泌を促す「セロトニンヨガ」①
photo by  Sayaka Ono

アルダハヌマナーサナ

【吸う】両手はカップハンズ、背筋を使って上体を起こすと交感神経優位、酸素濃度は上昇。

”幸せホルモン”の分泌を促す「セロトニンヨガ」①
photo by  Sayaka Ono

【吐く】反対に背中を丸くしたアルダハヌマナーサナでは副交感神経優位、心拍数はダウン。

”幸せホルモン”の分泌を促す「セロトニンヨガ」①
photo by  Sayaka Ono

特徴③ 脳を活性化する空間認識力を上げ「協調運動」を促す

セロトニンヨガ®では講師を見る回数を減らし、自身のアライメントや内面に集中することも大きな特徴。
「生徒が講師を見る回数を減らすため、マットに時計の文字盤をイメージしてもらいます。講師が『頭を12時方向に伸ばして』などと誘導すると、自分の内側から背骨を伸ばそうとするだけでなく、クラスの後には負の感情がより軽減されることも、POMSの結果グラフに表れました。これは脳の働きによる違いであり、講師に意識を向けているときは、ポーズをとる行為が、単に肘を曲げる・脚を伸ばすといった大脳皮質運動野が司る単関節の運動に。一方、内側から各部の動きを連動させ、全身でバランスをとっているときは小脳が司る『協調運動』となり、空間認識力も高められる高次運動野の働きに。ポーズが正しいかを気にするより、自分の内側に集中する、変化を感じる。これもヨガの恩恵を享受する大切な秘訣です」

◎12時、3時、6時、9時と文字盤をイメージ。「右脚は5時の方向に伸ばして」など、微妙な斜めの方向を示す動きも把握しやすい。

”幸せホルモン”の分泌を促す「セロトニンヨガ」①
マットの上に時計の文字盤があると思って!
photo by  Sayaka Ono

教えてくれたのは…野村賢吾先生
ヨガインストラクター、鍼灸師、元立教女学院短期大学非常勤講師。多くのヨガの指導者向けトレーニングで解剖学を担当。インストラクター向けオンライン講座「ヨガシークエンスデザイン®」「セロトニンヨガ®」を監修。

モデル…密山礼巳さん
ヨガインストラクター。大手IT企業勤務の多忙な中でヨガと出会い、2019年に講師へ転身。2021年からセロトニンヨガ®のアシスタントティーチャーとしても活動中。

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photos by Sayaka Ono
hair&make-up by Yagi
text by Ayako Minato
yoga Journal日本版Vol.80掲載

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ヨガジャーナル日本版編集部

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