【目に見えないエネルギーを身近に感じるヒント】氣の流れ「プラーナ」をポーズに活用してみよう
エネルギーや氣の流れ、はたまた呼吸のこと?「プラーナ」という言葉はよく聞くけれど、目に見えないし、いまいちよくわからない……。そんなプラーナについて、グッと身近に感じるヒントを鈴木伸枝先生が教えてくれました。
プラーナは意識を向けたそのとおりに流れていく
呼吸法のことを「プラーナヤーマ」ということから、プラーナ=呼吸というイメージも大きいけれど、実はもっと幅広くて、もっと身近で、誰もが意識ひとつで日常に生かせるもの、と伸枝先生。
「生命エネルギーや氣といった表現も使われますが、プラーナとは私たちを動かす力のこと。たとえば、車にとってはガソリン、スマホにとっては電気のように、私たちを動かし生かしてくれるエネルギー源。『天の氣』『地の氣』『人の氣』という3つから、私たちはプラーナを取り入れています。呼吸や食事によって生かされていることは理解しやすいと思いますが、インドでは食材をどこで誰が育て、誰が運び、誰がどう調理して、誰と一緒に食べるかまで、育った土地や関わった人すべてのエネルギーが入ると考えられているんです。食材から摂れる栄養素と同じように、生産に関わる人や土地、鮮度によってもプラーナの質が異なり、生命をいただくことへの感謝を尊びます。食に限らず、イライラした人の側にいると自分も落ち着かなくなるなど、人の氣による影響を感じる場面も多いはず。不安を煽る情報やゴシップばかりを取り入れていると活力が削がれ、逆に前向きな言葉をもらうとやる気が出るのも同じ。プラーナは呼吸、食事、人との関わりで自分に影響を及ぼすものなのです」
情報が溢れる現代だからこそ、肉体を通るプラーナを意識的にコントロールして、心身を整えることが効果的なのだそう。
「不安や緊張、ストレスを感じるときは、下半身を使ってプラーナを下に落とすと、自然と心のざわつきが落ち着いてきます。体は本来、上が軽く、下は安定している状態の『上虚下実 じょうきょかじつ』が理想ですが、今は体を使わず頭を酷使することが増えていて、エネルギーが上がりイライラしたり頭痛や肩こりに悩むことも。逆に丹田に力を入れて重心を下げると心が落ち着きます。つまり体のどこにプラーナを流すかで体感が変わるのです。プラーナは『意識を向けたところに集まる』という法則があって、前屈も苦手意識で緊張しながらやると硬いままだけれど、柔らかいと思ってやるといつも以上に深まることが。そう考えると、食事や人や情報も、どんなプラーナを受け取りたいかを選択しやすくなり、自分にとって心地よくないものを外していけますよね。ヨガ以外にも自然の中に身を置いてプラーナを充填したり、好きな音楽で充電したり、いろんな取り入れ方を持つといいですね」
目に見えないプラーナですが、実際に作用を体感できる方法がたくさんあるそう。
「人は誰もが手からプラーナを放出しています。『手当て』という言葉がありますが、不調のあるところに手を当てると痛みが緩和する現象も、何も特別なことではないんです。落ち込んでいるときに背中をさすってもらうと安心するのもそう。肉体だけじゃなく、考え方や心の在り方などにも作用するプラーナを、心身の健康のために役立ててください」
WORK1集めたプラーナをポーズに活用してみよう
イメージが難しくても、プラーナは意識が向かう先、つまり筋力が使われるところに集まるのでポーズで体感できます。ナーヴァーサナも丹田を意識すると快適に!
【work1の前にチェック!】
work1後の変化を感じるために、work前に首を回し、動きづらさや上を向ける首の角度をチェックして覚えておこう。
・首の回り具合は?
・上を向ける角度は?
【HOW TO】
背中が丸まると太腿が辛くなる!
バランスをとろうとするあまり骨盤が後傾して背中が丸まると、丹田にプラーナが集まらず、太腿の力だけでポーズをキープすることに。
丹田に集めたプラーナを使うとポーズが安定!
下腹に集めたプラーナを意識する。すると、スッと骨盤が立ち、背筋も伸びて快適に。イメージしにくいときは、下腹部と股関節を軽くたたいて意識づけしてみよう。
体の使い方はどう変わった?
上虚下実になると上半身の力みが解かれて、首はスムーズに回しやすくなり、上を向いたときも視界が後方まで広がっているはず!
首の回り具合は?…大きく回る!
上を向ける角度は?…深く上を向ける!
WORK2半分の太陽礼拝で全身にプラーナを巡らそう
太陽礼拝も全身でプラーナの流れを感じながらトライ。動きは同じでも、意識をどう向けるかによっていつもの太陽礼拝とはまるで違う感覚を味わえ、よりエネルギッシュに!
【HOW TO】
両脚で立ち、丹田に力を入れて下腹部を引き上げ、足裏で地面を感じる。頭頂を糸で引っ張られるように引き上げ、胸の前で合掌。
吸いながら両手を横から大きく回して、万歳していく。このとき両手のひらで空気中のプラーナを集めていくように頭上で合掌する。
吐く息で前屈に入りながら、集めたプラーナを頭のてっぺんから背骨を通して、下腹部から両脚まで流し、足裏まで通すイメージを。
足裏までプラーナを流しながら、両手を両脚の横の床について前屈する。今度は頭のてっぺんに意識を向けて次へ。
吸う息で少し上体を起こしながら、頭のてっぺんからプラーナを吸い入れ、背骨を通して尾骨まで流す。
吐く息で尾骨を床に向ける。ロールアップしながら、背骨が一つひとつ積み上がっていくところにプラーナが通るのを感じ、体内でどんどん上昇させていく。
吸いながら両手を大きく広げ、下から流し上げてきたプラーナを、今度は胸から放出させて、それをまた両手で集める。
吐きながら頭のてっぺんから背骨にプラーナを通し、それを骨盤に溜めていくイメージを持つ。合掌をして最初に戻り、4回繰り返す。
教えてくれたのは…鈴木伸枝先生
「自分を生かすYOGA」をモットーにヨガの普及に努める。誰でも簡単にヨガを生活に取り入れられるよう、平日は毎朝インスタグラム(@nobue.style)からヨガクラスをライブ配信。
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