エビデンスを得て、日本の学校教育に「マインドフルネス」を届けたい|瞑想サロン・MELONの挑戦

 エビデンスを得て、日本の学校教育に「マインドフルネス」を届けたい|瞑想サロン・MELONの挑戦
GettyImages
南 舞
南 舞
2021-05-11
広告

マインドフルネスを継続的に実践していく中で、少しずつ心が楽になっていく感覚があった

――橋本さんがマインドフルネスに出会ったきっかけを教えてください。

橋本さん:もともとスポーツが好きで、ラグビーなどをずっとやってきました。その影響もあって、体に対する関心も強かったです。【ウェルネス】という言葉が流行る前から、睡眠、食べ物、運動などを気にする、いわゆる健康オタクで(笑)。だから昔から体のケアは手厚くやってきました。

ある時、個人的な悩みを抱え、軽く鬱になった時期がありました。約15年、外資系の投資銀行などでお金を運用する仕事をバリバリやっていたので、『自分はタフだ』と思っていたのに、仕事が手につかない、ご飯も食べられない状態で。心療内科にお世話になった時期もありました。『体のケアのことは分かるけど、心のケアって分からない。どうすればいいんだろう?』と思い、色々方法を探していく中で、マインドフルネスに出会いました。最初は正直、マインドフルネスに対して『スピリチュアルな感じなのかな?』と苦手意識を持っていましたが、エビデンスがあるものだということを知り、それならと思ってやってみることに。継続的に実践していく中で、少しずつ心が楽になっていくのが分かりました。

友人の死……マインドフルネスを広めなければ、という想い

橋本さん:その後、自分は元気になっていきましたが、今度は仲の良い友人が鬱病を患い自殺してしまったんです。悲しみでいっぱいなのと同時に『友人に対して、何かできることあったのでは?』と、自分に問いかけ続けていました。

当時は30代後半で、『このまま今の仕事で働き続けていていいのか』と、自分の将来について考えている時期でもあったので、それについても悩みましたね。自分自身が心の不調を経験し、心をケアすることの大切さを感じたことや、友人の死を無駄にしたくないという強い想いから、『マインドフルネスを世の中に広げるサービスを提供していく』と心に決めました。周囲からは、『マインドフルネスをビジネスにするのは難しい』と心配される声もありましたが、『頑張ればできる!』と信じて疑わなかったですし、当時は『どうしたらマインドフルネスをする人を増やすことができるのか?』という想いしかありませんでしたね(笑)

アメリカのマインドフルネス・スタジオへの視察。そこで見たものとは?

橋本さん:マインドフルネスのサービスを提供するにあたり、アメリカに視察に行きました。アメリカはマインドフルネスの文化が盛んだと聞いていたので。マインドフルネスのスタジオに行ってみたら、年齢性別問わず、とても盛り上がっていました。マインドフルネスが特別なイベントではなく、ライフスタイルの中に心のケアとして根付いている。それがとてもかっこいいなと思って。日本にもそういったかっこいいスタジオを作り、マインドフルネスをライフスタイルの一部に取り入れてもらおうと決めました。

そこで2年前より株式会社Melon(メロン)を立ち上げました。会社を始めた当時は、週に何回かマインドフルネスのレッスンを提供するという形を取っていましたが、コロナ禍を機に去年の今頃からオンラインスタジオを立ち上げました。今となっては『こっちが正解だったかも』って思います。オンラインであれば、住んでいる場所に関係なく、低価格で継続することができますよね。

今では日本を越えて、海外からも参加して頂けるようになりました。MELONの魅力は、メディテーションサロンとして人々が集まるコミュニティ機能になっていること。人間は個では生きられない生き物なので、関係が遮断されることが毒になってしまうと私は考えています。特に、このコロナ禍で外出が制限される中で、孤立・孤独は避けなければいけない問題のひとつ。そういった中で、オンラインでも集まって話せること、人の気配を感じることに価値があると感じています。

広告

AUTHOR

南 舞

南 舞

公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

GettyImages
GettyImages
子供たちにもマインドフルネスを
子供たちにもマインドフルネスを
子供たちにもマインドフルネスを
橋本大佑さん