古代インドから継承されるムドラ(手のヨガ)入門〜エネルギーを高める手のポーズ〜
ヨガジャーナルアメリカ版の人気記事を厳選紹介!古代から伝わる象徴的なジェスチャーが、ヨガ練習での集中力を深めてくれる。
手のヨガポーズ、ムドラとは?
瞑想する古代のヨギ、神々、女神たちが両手でさまざまな形を示しているのをよく見かける。あるいはヨガクラスで静かに座り、先生から両手を膝にのせて人差し指と親指をつけるように言われることもあるだろう。ハスタムドラ(印章、封印、身ぶりの意味)は、実践を深めて聖なる力を目覚めさせる手段として、何千年もの間さまざまな伝統において用いられてきた神聖なジェスチャーだ。そして今もなお、癒しが必要な体の部位にエネルギー(プラーナ)を行き渡らせるためのツールであり続けている。すべてのムドラには特定の目的があり、独特の方法で体のいたるところにエネルギーを動かすことによって、微細な身体的、精神的、感情的変化を生み出す。たとえば、瞑想に入ったときに気持ちの高ぶりや不安を感じていたら、手のひらを下向きにして太腿におくとエネルギーが落ち着きやすくなる。だるさや眠気があるときは、手のひらを上に向けるムドラによって活力が湧いてくる。
ビャクティ・ノヴァ・スクール・オブ・ヨガ・アンド・ダンスの創設者、ヌビア・テイシェイラは、私たちの手は心の一部であり、心奥に秘めた考えや祈りと外界とを結び付けていると語る。「私たちは手を通じて何かを取り、表現し、癒し、働き、育て、料理し、絵を描き、文字を書き、音楽を奏で、人を抱きしめます」と彼女は著書 『 Yoga and the Art of Mudras 』に記している。それ故、ハスタムドラが行動や思考をポジティブに導き、人生に美しさをもたらす手助けになるというのは理にかなっている。「ムドラによって内なる女神の存在が呼び起こされると、体に活力がもたらされます。そして、力強い真の自己の存在を感じられるようになります」
ヨガや仏教などでは、すべての現実はタットヴァと総称される5つの元素(土、空気、火、水、宇宙またはエーテル)で構成され、それらの関係性によって宇宙は変化する、と教えている。ムドラは内なるタットヴァに調和を生み出し、人生のどんな困難にも目を向けられるように手助けしてくれる貴重なツールだ。
ヨガの姉妹科学であるアーユルヴェーダによると、両手の各指はそれぞれ異なるタットヴァの元素とつながり、バランスをとっている。活性化させたいタットヴァの元素に関連する指同士を触れ合わせて刺激を与えるのだ。火の元素を象徴する親指は、呼吸の温かさをもたらす。人差し指(空気)を親指につけると、全身に呼吸が行き渡りやすくなる。中指(宇宙またはエーテル)と親指を合わせると広がりが増し、薬指(土)と親指(マザーアースムドラとも呼ばれる)では安定感がもたらされる。そして最後に親指と小指(水)をつけると循環がよくなる。
以降のページでは、これらの手のジェスチャーがどのようにアーサナの経験を変え、プラーナを流し、より深い自己認識を目覚めさせるかを探ることができる。まずは最も微細な元素であるアカシャ(エーテル)に捧げるシンプルなロータスフラワー・オファリングから始める。このムドラでエーテルを目覚めさせ、ハーフロータスポーズで祈りを唱えることにより、他の元素が創造的に広がるためのスペースが生み出される。
ロータスフラワー・オファリング
アルダパドマーサナ(ハーフロータスポーズ)で床の上か、お尻の下にブランケットを敷いて座る。右脚を曲げて外側に倒し、左足の甲を右の太腿にのせる。右足が左膝の下にくるように調整し、日によって上にのせる足を替える。ある日は右足、次は左足というように。
【ムドラ】
このムドラ、アラパドマは、満開の蓮の花を表している。両手を大きく開いたら、指を軽く曲げて蓮の花びらのように丸くする。
心の中で祈りを捧げる。「母なる神よ、恵みと慈しみに心から感謝します。私はあなたの幽玄な膝の上に身を寄せています。どうか御言葉をささやいてください。私の使命をお教えください」
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