ネガティブな空気を蔓延させないために|元CAに学ぶ「不調だけど大丈夫」を伝える簡単な方法
たとえ寝不足でも、体調が悪くても、残酷にフラれて泣き明かして目がパンパンでも…仕事は休まずに続けなくてはなりません。そんなとき、どんな態度で仕事に臨むのがプロなのか?それは、周りに「調子悪い?」と心配されずに通常通り業務をこなしきることではないかと思います。日々、激務をこなしていたCA時代、笑ってしまうような習慣(本人たちは真剣です)を行なっていました。コロナ禍で心が弱ったとき、つい不機嫌になってしまいそうな時にも使える方法をご紹介します。
「怒ってないですよ」そう伝えるための暗号とは…
朝一便。客室乗員部のロッカールームは不機嫌な黒い空気が渦巻いています。みんなの背中が「それぞれの夜があった」と物語ってる……。昨日と同じワンピースから制服に着替えている先輩の寡黙な姿。誰とも目を合わさず「話しかけないで」オーラ全開の同期。ポーチから何やらビタミンを取り出し、水で流し込んでいる後輩……。そんなローな状況の中でも、私たちが暗黙の了解で欠かさずすることがありました。それは、ハミング。
正直に言ってしまうと、誰とも話したくない。あいさつする気力すらない。だけど、「怒ってるわけじゃないのよ。ちゃんと仕事する気はあるからね、そこは頼みますよ」という意思表示を「ん〜♩」という鼻息(?)で暗号のように伝え合う……。一体誰が最初に始めたのか、シンプルかつ重要なコミュニケーションとして定着していました。
他人に期待しない。気力・体力を資本になんとしても乗り切る
なぜ、ここまでして「大丈夫」をアピールしあうのか?というと、CAの世界では「自らの不満を気軽に人に伝えるのはタブー」という空気があるからです。「自分の体調管理さえも出来ない人間に、空の上のような非日常空間で人にサービスできるはずがない」ということを会社から叩き込まれているからです。
普通、風邪の症状を人に見せたら「大丈夫?」と声をかけてもらえそうなものだけど、CAの世界では「風邪ひくのは自己管理ができていない」と見なされてしまうし、そもそも周りから優しさを期待するのがNG。自分だけが頼りだったのです。
だからこそ、漢方から睡眠お助けグッズまで、健康周りにやたら詳しいのがCA。「常に最高のコンディションをキープする」ということは、体力的にハードなフライト環境の中でお金や努力を注いだ上でそれぞれがモノにしている資本なんですね。
使うのが禁止されていたNGワード
私が先輩たちから教わっていた習慣でよかったな、と思うのは、どんなに疲れていても「疲れた」と言わないというルールです。他にも暑い、寒いを言うのもタブーでした。「疲れた」という、聞いた人も疲れさせる言葉を使う代わりにお茶をいれて「一緒にいかがですか」とすすめるとか、「寒い」と言う代わりに温かいおしぼりを手渡すとか、そういう別の角度からのアプローチをしなさい、と習いました。
元々、CAの世界は個性が強い女性が集まる職場だから、それぞれが「常に前向きなスタンスと健康をキープする、ネガティブな言葉を使わない」という心構えでいることで、統率が計れているのかもしれません。
コロナ禍で心が弱ってしまったり、つい不機嫌になって周りに当たり散らしてしまいそうな時にも使える方法、ぜひお試しください。
ライター/栗尾モカ
漫画家 / コラムニスト 横浜育ち、シンガポール在住。美大デザイン科卒業後、国際線CAを経て出版社へ。人気女性fashion誌で10年、教育メディアで5年企画・執筆を担当。シンガポール移住後、女性向けmediaをローンチ。旅先のBali島でYOGAに出逢ってから、心身を整えるライフワークとしてのYOGAに魅了され、VYASA Yoga SingaporeのYoga Instructor Certificate Courseに毎日通学中。また、アーユルヴェーダを学んだインド人料理研究家から身体に効くspice&cookingを学んでいる。モダン&スタイリッシュ、女性の毎日が輝くようなアイデアを盛り込んだIndian culture bookを出版することを目標に、YOGAとcookingに励む日々を送っている。著書は『サロン・ド・勝負』(KADOKAWA)『女のネタ帖』(学研)など。
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