家族の振舞いにイラッ!「近過ぎてぶつかる」を防ぐには?

 家族の振舞いにイラッ!「近過ぎてぶつかる」を防ぐには?
Getty Images
南 舞
南 舞
2019-11-22

「家族」といえど自分とは違う人間。一緒に暮らしているからこそ不満を感じたり、ネガティブな感情を抱くこともありますよね。他人より家族にそういった感情を抱きやすいのはなぜ?ストレスを極力ためないためにできることは?すぐにできる心理学のスキルを臨床心理士である筆者がお伝えします。

広告

なぜ家族にストレスを感じるの?

夫婦、親、きょうだいなど、家族という存在がいることで安らぎを感じたり、幸せに思うこともある一方、「何で○○してくれないんだろう」「どうして○○できないの?」など不満やネガティブな感情を感じることってありませんか?それがきっかけで時に大喧嘩になったり、直してほしいと伝えても理解してもらえずに余計にイライラしたり。一番身近にいて理解しあえるはずなのに、なぜ私たちは家族とぶつかってしまうのでしょうか?

相手を変えようと一生懸命になるから

家族とは一緒にいる時間も長いため、物理的にも精神的にも距離が近くなりやすく、良いところよりも悪いところの方が目に付くようになりがち。衝突しやすくなり、そんなときに私たちが起こす行動や言動は、「○○すべきじゃない?」「○○してよ!」など相手を変えようとしていることが多くありませんか?

アメリカの精神科医であるエリック・バーンによると、「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」のだそう。つまり、自分以外の何かを変えようとするのは不可能に近いことなのです。

考え方の違いを認識できていないから

こういった思考は心理学において、自動思考と呼ばれます。自動思考は、気づくと自然に浮かび上がってくるくらい自然なクセになっていたり、一見事実のように見えて、実は事実でないことが多いのが特徴。あなたの中で当たり前と思っていることが、家族にとっては当たり前でないなど、家族とは言えども実は全然違う考え方だったというのはよくある話なのです。

家族と上手くやっていくための心理学メソッド

自分の考え方のクセに気付く

相手が変わらないことが分かった以上、ネガティブ感情を感じている家族とうまく付き合っていくために大切なのは、自分の考え方のクセに気づき、考え方を少し変えてみることなのです。心理学では、認知の再構成と呼ばれ、心理カウンセリングの中でも使われます。

自分に対してかける言葉を用意しておく

家族に何か大切なことを伝えないといけないとか、あるいはケンカになりそうなどの葛藤場面に立たされると、ネガティブな感情でいっぱいになってしまうことがあります。

そんな時に実践してほしいのが、セルフトーク(別名・自己会話)。セルフトークとは、自分に対してかける言葉のこと。メッセージのようなものや好きな言葉、好きな歌詞、あるいはマントラなど、自分を安心させるための言葉をいくつか用意しておくと良いでしょう。ヨガのクラスでもよく使われるマントラには、ネガティブな感情から心を解放するという効果もあるのでおすすめ。

落ち着く言葉を書いたカードを持ち歩く

また、自分のために考えたセルフトークを書いたコーピングカードを持ち歩いておくと、気持ちが揺さぶられた時に役立ちます。カードサイズの紙の表には、いつも家族に対して感じたり、言ったりしてしまうこと(=自動思考)を書き、裏にはセルフトークを書いておきます。普段から見るようにしておくと、いざという時にネガティブな感情から距離を置いて対処することができるでしょう。

家族とうまく付き合っていくには、実は自分の思考や感情に変化を与えることが近道。自分のクセを知り、家族とちょうどよい関係を築いていけると良いですね。

ライター/南 舞
臨床心理士。岩手県出身。多感な思春期時代に臨床心理学の存在を知り、カウンセラーになることを決意。大学と大学院にて臨床心理学を専攻し、卒業後「臨床心理士」を取得。学生時代に趣味で始めたヨガだったが、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングと近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。現在は臨床心理士としてカウンセリングをする傍ら、ヨガ講師としても活動している。

 Instagram: @maiminami831

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

広告



RELATED関連記事