「ヨガを伝える」大事にしたいポイントとは

 「ヨガを伝える」大事にしたいポイントとは
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栗尾モカ
栗尾モカ
2020-09-21

「ヨガを教える立場になったとき、是非おさえておきたいポイントがあります。スタジオで生徒に教える際に実践してみてください」筆者が暮らすシンガポールで、現地でヨガを教えるインド人講師から教わった内容は、ヨガを人に伝える私たちにとって大事な軸となる内容でした。

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アーサナひとつひとつを丁寧に理解しよう

まず、アーサナの名前、タイプ(例:sitting/座位など)、カウントに合わせた動き方、カウンターポーズを正しく覚え、伝えましょう。名称はサンスクリット名で覚え、伝えるのが理想的です。英語に訳されている名称は、訳す過程において本来のアーサナの意味と離れている場合もあるので注意するようにしてください。サンスクリット語で表された言葉の意味と哲学を知ることで、どのようにアーサナを行うべきかが自ずとわかってくるはずです。

次に、サイレントの状態でのデモンストレーション、カウントしながらのデモンストレーションの両方を行います。呼吸をするタイミングの説明も忘れずに。このデモンストレーションは自分が行なっても良いですし、生徒の中からひとり前に出てきてもらって代表で行う形でも結構です。生徒がデモンストレーションを行う場合には、細かい動きを客観的に解説することができるでしょう。

効果と禁忌を正確に伝え、安全なヨガを行うようにしましょう

ひとつひとつのアーサナの効果と禁忌を伝えることによって、そのポーズを行う理由を理解して貰い、動機付けをすることができます。

また、「禁忌」を伝えることは「効果」を伝えることよりも更に重要で、ティーチングを行う上で最も重要視するべき項目です。

例えば、高血圧の人を前屈させてしまったりするようなミスは絶対に避けなければなりません。仮にヨガによって疾患を悪化させてしまうようなことがあっては大変です。クラスの中に、腰痛やその他の箇所に痛みを持っているような生徒がいる場合には、緩和の工夫がされたポーズを注意深く教えたり、ブロックベルトを使うなど、ポーズのバリエーションを伝えるための方法を日頃から学んでおく必要があります。

グループで練習を行いましょう

気づきを多く得ることができるのが、グループプラクティスです。

全体の生徒をAとBのグループに分け、それぞれのグループの練習をよくチェックした上で、お互いにコメントをして貰うようにしましょう。

この方法は、チャイルドヨガやコーポレートヨガにも効果的です。会社で行う場合、ヨガを行う社員それぞれが主体的に動き、自分らしさや多様性を発揮できるという面で、チーム・ビルディングとしてもヨガが役立つことになるでしょう。

質疑応答には真摯な姿勢で

クラスの最後に質問を受け付ける場合、コミュニケーションがとても大事になります。生徒から質問を受けたとき、もしあなたがまだティーチングを始めたばかりの場合には、経験が浅いことが原因で答えられないこともあるかもしれません。その場合には、正直にわからないと伝えることがとても大事です。決してその場であやふやな回答をするのではなく、一旦宿題として持ち帰りたいと伝え、自分が学んだ先生に尋ねるなどして正しい答えを得てください。インターネットで入手した検索情報は間違っている場合もあるので、気軽に伝えないようにしてください。生徒には必ず正確な情報を伝えるように努めてください。

基本的な動作をひとつひとつ自分で検証し、アドバイスに活かすようにしましょう

ひとつひとつのアーサナの動きを流すことなく、自分の体の動きうを観察することによって、自然に注意するべき点がわかってくるようになります。

例えば、アルダカーティ・チャクラーサナを例に挙げると、腕をまっすぐ上にホールドした時に「自然呼吸を続けてください」と声かけをすることがありますが、多くの人は息を止めてしまいがちです。このことは、実際に意識しながら動いてみることによって身をもって知ることができます。

教える立場になっても一生"学び続ける"

「ヨガを教える立場になっても、謙虚な姿勢で学び続けることは一生続けていくことが理想的です。自分なりの練習をコツコツと続け、深く探求していきましょう」

先生と呼ばれるようになっても、ヨガの学びは一生続くもの。筆者は講師のこの言葉を聞いて、この先も年齢にとらわれることなく気づきに出会える機会が続いていくのかと思うと、ヨガに出会えたことは人生の最大のギフトだったと思わずにいられませんでした。

ライター/栗尾モカ
漫画家 / コラムニスト 横浜育ち、シンガポール在住。美大デザイン科卒業後、国際線CAを経て出版社へ。人気女性fashion誌で10年、教育メディアで5年企画・執筆を担当。シンガポール移住後、女性向けmediaをローンチ。旅先のBali島でYOGAに出逢ってから、心身を整えるライフワークとしてのYOGAに魅了され、VYASA Yoga SingaporeのYoga Instructor Certificate Courseに毎日通学中。また、アーユルヴェーダを学んだインド人料理研究家から身体に効くspice&cookingを学んでいる。モダン&スタイリッシュ、女性の毎日が輝くようなアイデアを盛り込んだIndian culture bookを出版することを目標に、YOGAとcookingに励む日々を送っている。著書は『サロン・ド・勝負』(KADOKAWA)『女のネタ帖』(学研)など。

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