精神科医・臨床心理士が語るヨガの話・後編|資格ジプシーに陥る前に大事にしたいこと

 精神科医・臨床心理士が語るヨガの話・後編|資格ジプシーに陥る前に大事にしたいこと
中野輝基さん・中野陽子さん/太田千瑞さん
南 舞
南 舞
2020-08-29

精神科医の中野輝基先生、麻酔科医での中野陽子先生、教育現場を中心として活動する臨床心理士の太田千瑞先生、そして同じく臨床心理士の筆者。様々なバックグラウンドを持つ4人の共通点は、ヨガ講師である事。メンタルヘルスの現場に関わる専門家という立場から、ヨガとメンタルヘルスの関係性、メンタルヘルスとヨガをどうつなげていくかということについて対談している様子を、シリーズでお伝えして行きます。前回から、ヨガインストラクターに求められるメンタルの知識についてお話ししています。今回はその後編。どんな話になるのでしょうか。

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メンタルヘルスの知識を学ぶ前に、ヨガインストラクターとして大切なことは?

中野陽子さん(以下、陽子):講座などでコアな知識を得ると、「勉強になった」って思うかもしれないけど、現場に実際持ち込むとなると、どうすればいいんだろうってなりがち。コアで専門的な部分を学ぶことが必ずしも必要なのではないと私は思っていて、むしろ生徒さんとどう関わるかっていうのを教えてくれる人がいてもいいのかなって思いませんか?そして、疾患名やその人の状態にラベルを貼るのではなく、目の前の人そのものを見てほしいですよね。私、研修医時代に、「今から心筋梗塞が来る」ってその一言で上司にものすごい怒られたの。心筋梗塞が来るんじゃなくて、心筋梗塞かもしれない人が来るんだって。大切なのは「病名で人を見ない」っていうことなんだと思い出しました。

:そういえば、私も学生の頃恩師に同じようなことを言われたことがあります。カウンセリングする対象は疾患ではなく、あくまで目の前の人だからねって。例えば、精神疾患などの知識が入りすぎて、生徒さんを「〇〇障害だよね」みたいに当てはめるというか、そういう風になるのは違うかなって。知識がありすぎるが故に、生徒さんとの接し方が難しくなっても困ってしまうんじゃないかなって思います。それに比べて、関わり方を学ぶことは、ヨガに限らず、日常生活にも生きると思うんですよね。少し話は変わりますが、よくカウンセラー仲間たちと、「みんなが相手の話を聴けるようになればいいんじゃないか」って話すことがあります。これをヨガの先生で当てはめると、メンタルの知識がなくても、話が聴ければ、生徒さんの悩みに寄り添うことができるかもしれない。先生ではなく、ヨガの生徒さん、ヨガをしていない人でも、相手の話を聞けるようになればコミュニケーションもスムーズになるし、人間関係なども豊かになるんじゃないかって。

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